43-15.花と音楽
「いいわ。お疲れ様。いったんこれで十分よ。ありがとう。とても助かったわ。また何か思いついたらすぐに提案してみて頂戴。アルカの視点や経験はとても参考になるわ」
セレネは乗せるのがお上手ですね。そんな風に言われたら次も頑張りたくなっちゃうじゃない♪
「てなわけで。次に何をするべきか考えてみましょう」
アニメやドラマも何か思いついたら作ってみてもいいけど、それ以外にも私達に出来る事を考えてみましょう。
「家で出来る事だろ? そんなん限りがあるじゃねえか」
「クレアにしてはネガティブね。らしくないじゃない」
「気分転換しようぜ」
なるほど。暫くデスクワークが続いたから気が滅入っているのか。今から会議を始めるのは不服ってわけね。
「何がしたいの? 別に普通に遊ぶんでも構わないわよ」
クレアもいっぱい頑張ってくれたから今ならなんでも聞いちゃるぜ♪
「エリスは何がいいんだ?」
「う~ん♪ なんでもいい♪」
エリスはこの三人で何かするだけでも楽しくて仕方がないらしい♪
「イリスはどう?」
『合わせるのデス♪』
もしかして何か期待されてます?
「アルカが考えてくれよ。ついでにセレネ達の役にもたてれば完璧だな♪」
ハードルをあげおって。
え~。何かあるかな? 気分転換にもなって国の為にもなるやつ。ただ身体を動かすだけじゃなくて何か生み出せるといいわよね。
「畑仕事でもしてみる?」
「地味だぜ」
「もう一声!」
「色々品種改良とかしちゃってさ。なんか面白い植物やら動物やら生み出してみるの。流石にいきなり現実世界でやるのは問題があるだろうし、先ずはアイリスでね。そうだ。アイリスに良いのがあったよね。あの想像が現実になる空間。あそこで動植物に限らず色々考えてみるのも良いかも♪」
「面白そうだな♪」
『「さんせ~♪」』
よし! なら早速始めましょう♪
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「よこう」
「れんしゅう」
「ここで融合してみるの?」
「そう」
「シイナと」
「やりましょう」
クレアとエリスは思い思いの品を生み出して燥いでいる。少しくらいなら放っておいても大丈夫だろう。
早速シーちゃんが私の中に入ってきた。既にこの仮想現実空間内においても魂の融合システムは実装されている。現実のハルちゃん達と同じくシーちゃんも私の魂と混ざり合い一つの存在へと溶け合っていく。
「あっさり成功しちゃったわね。どう? 問題なさそう?」
『かんぺき』
『問題ありません。これなら現実でも成功する筈です』
さっすがハルちゃんね♪
「あまり油断してはダメよ。どうせならもう少し条件を厳しくして実験してみましょう。向こうでは何度も試す事なんて出来ないんだから。次は私とツクヨミもサポートするわ」
『『「がってん!」』』
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「アルカ~」
「アルカ様~」
「は~い♪ 何か面白いものは出来た?」
「「これ!」」
なにかしら? 穴がいっぱい?
「なにこれ?」
ダメだわからん。おもちゃ?
「知らねえか?」
「知らないの?」
「うん。知らない。もしかしてムスペルの?」
「「そう!」」
なるへそ。郷土限定的なやつなのかしら?
「こうやって使うんだぜ♪」
そう言ってクレアが謎の玩具を口に咥えた。どうやら楽器だったらしい。随分と変わった形をしていたから気付かなかった。しかも驚いた事にクレアは達者な指使いと息使いで綺麗な音色を奏で始めた。
「びっくり。クレアって上手なのね」
「ね! 私もお母さんもあんなに上手く吹けないよ! 流石クレア叔母様だね!」
まさか音楽の才能まであったなんて。それにとっても楽しそうに演奏している。きっと昔から好きだったのだろう。ふふ♪ 可愛い♪
「次は音楽でもやってみる?」
「またテレビで流すの?」
「そうそう。私達でバンドを組むの。折角なら国歌でも作っちゃいましょうか♪」
「さんせ~♪」
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『いらないわ。こっちで作らせてるから』
だよね~。ちょっとそんな気はしてた。
『国歌以外なら好きに作りなさい。機会があれば積極的に使わせてもらうわ』
『は~い』
また次のお仕事が決まったね♪ もういっちょ頑張っちゃいましょう♪
『それより品種改良を施した植物とやらの方が気になるわ。ニクスの説得はしておくから一先ず綺麗な花でも作ってみなさい。最初は敢えて口に運ぶものは除外しておきましょう。観光地らしく旅の想い出になるような特別な花園でも作るとしましょう。場所も教会の中庭だけに絞って植えるとしましょう。そんな感じで考えてるから雰囲気も合うようにお願いね。成果に期待しているわ』
あらら。そっちだったか。けど期待には応えましょう♪ それはそれで面白そうだもんね♪