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42-43.家族会議・続

 一通りの情報共有が終わった所で一旦チーム毎に分ける事にした。総勢八十七人が同時に話し合っちゃうとややこしい事になるし、そろそろ幼少組は寝かせてあげたい。それに今回の件と私世界の件はあまり関係が無いので、希望者を除いて下がってもらう事にした。


 そんな感じで、残った私達は九組に分かれる事となった。



 一組目は私とその側近の、私チーム。


 二組目はセレネ達、【教会】。


 三組目はレーネ達、【商会】。


 四組目はフロル達、【ヴァガル帝国】。


 五組目はツムギ達、【ムスペル王国】。


 六組目はリリカ達、【リオシア王国】。


 七組目はノルン達、【女神】。


 八組目はアメリの、【ギルド】。


 九組目はチハヤ達、【イロちゃんズ】。



 イロちゃんずは既に教会やヴァガル帝国に分かれての活動もしているが、今後はもう少し遊撃隊として全体的な補助を任せたい所だ。おそらく私達はニクス世界全土を相手取らねばならないのだから。



「アルカ、それからレーネ。商会は一旦手を引きましょう。現状では危険が大きすぎるわ。パンドラルカとしての活動もヴァガル帝国と教会の方面に統合する事にしましょう」


「そうね。ごめんね、レーネ。レーネがこれまで頑張ってくれたのを私のせいで」


「どうかお気を病まないでくださいませ。大丈夫です。全てが無駄になるわけではありません。世界が平和になれば私達は何時どこででも再開出来るのですから」


「ありがとう。レーネ。それにカノンもスミレもコマリもセシルも。いずれまた機会を作るから」


「はい。アルカ様」


「撤収作業は私も協力するわ。フロルも悪いけどそういう事だから。一日だけ休みを頂戴」


「もう少し時間をかけてもよかろう。カノンが抜けた穴はわらわが埋めてやるとも。気にせず片付けてこい」


「ありがとう。フロル」


 これで商会組は無くなってしまったわね。なら後は残り八組の動きについて討論していくとしましょう。



「ツムギの方はどうだったの?」


「心配要らないわ。これもきっと兄様のお陰ね♪」


 そんな明るく言われても流石に笑えないわ……。


 確かにシルヴァン王子の存在は何か関係があるのかもだけど。シルヴァン王子に寄生していたあの個体だけは異なる経緯で発生したものだったみたいだし。そうでなきゃムスペルだって今頃……。


 けれどどういうわけかあの城の中に他の金属生命体は存在しなかったのよね。シルヴァン王子の件で調査した際に当然シーちゃんがくまなく調べてくれたのだ。



「今回もムスペル王都及びその近郊には一人の寄主も確認出来ませんでした」


 無茶苦茶だ。考えられるとすれば私達が関与した時点で手を引いたって事もありえるかしら。邪神はギルドの情報網を握っていたのだし、組織的に私の居場所をマークし続けていたのだろう。私達がムスペルに行ったのはギルドからの依頼だったし、寄主だけを王都から遠ざけるくらいならそう難しくなかったのかもしれない。シルヴァン王子を除いて。


 いや、何か全然違う理由がありそうな気がする。今のところはなんの確証も見つけられないけれど。



「邪神の暗躍が無くなればギルドの動きは変わるかしら?」


「変わらないわよ。アルカは今後も危険人物のままだもの」


 それもそうか。



「アメリ一人にはしておけないわね。幾ら何でも手が足りないでしょ。イロちゃんズから何人か回してもらいましょう」


『それよりあの娘達に手伝わせたらいいじゃない』


「あの娘達って?」


『ヤチヨとヒサメよ。今回も結局呼び戻さなかったけれど、アメリを介してギルド関連の手伝いをさせるくらいは良いでしょ。きっとあの娘達だって気になっているわ』


 そっか。二人が気兼ねなく動く為にはかえってその方がいいかもね。私も二人の事は気になるし。



「悪いけどお願いできる?」


「承知いたしました。アルカ様」


 アメリなら安心だ。精々こき使って鍛えてあげてほしい。きっとあの娘達もそれを望んでいるだろうし。



「私も戻るわ」


「ダメよ。お姉ちゃんはイオス達が戻るまで私の側を離れないで」


 まったく何を言ってるんだか。今のお姉ちゃんから目を離せるわけがないのに。



「ギルドの件は一旦後に回しましょう。先にヴァガル帝国と教会の方を考え直すべきだと思うの。その方針次第でギルドやリオシアへの対応を考えましょう」


「そうね。なら次はフロル。帝国の情勢はどうかしら?」


「そこは問題無いが計画は練り直さねばならん」


「むしろ説得力になったりはしないかしら?」


「ダメだな。誰も信じぬだろう。あそこまでやっておいてアルカが敗北するなんてシナリオではな」


「そうよね……」


 セレネ達の計画もおじゃんだ。私の力を削いでただの人に戻してくれるつもりだったみたいだし。そっちの計画も考え直さなきゃだ。



「大量のプロト達はどうしているの?」


「私世界とお姉ちゃん世界の開発を任せる事にしたわ」


「お姉さんの方にも流し込んだのね」


「まっさらな土地だけだからね。それだけはイオスが残していってくれたんだけど。まあでもきっとすぐよ。私の時以上に人手も知識も揃っているんだもの」


「良いわね。次は私の方にもお願いするわ」


「ダメよ。セレネ世界には土地が無いじゃない」


「土地は無くても建物だけ用意できるじゃない。深層みたいに」


「ならノエルとセラフに頼みなさい。必要な資材やデータはシーちゃんから渡してもらうから」


「人手は貸してくれないのね」


「あの娘を増殖させたら?」


 セレネはプロトちゃんの中の一人を確保してるじゃない。今は連れて……ああ。同化してるのか。セレネも段々私みたいになってきたわね。



「羨ましいです。私も一人欲しいです」


「ノアちゃんは必要ないでしょ。ノアちゃんとセレネの世界は繋がってるんだから」


「後でイオスに土地を作ってもらいましょう」


 なんだかややこしくなってきたわね。けど既に管理者として適任な娘達までいるのよね。お姉ちゃんにはミーちゃん、ノアちゃんにはノエル、セレネにはセラフって。私のアリスみたいに。



「いっそ完全に新しい世界でも作るのはどうかしら?」


「ねえ? それってまさかクオレリアを捨てるって事?」


「コハル!?」


 捨てない捨てない。レリアも本気で驚かないで。ニクスは変な事言わないで。



「ほとぼりが冷めるまで避難しましょうって話。いっそ世界との関わりを最低限に留めちゃいましょうよ。家族とその家族とだけ仲良くしてるのでも十分なんじゃないかしら?」


 私達だけで既に百人近くもいるんだし。それから四十五万人のプロトちゃん達と三千人超えのフィリアス達も。ニクス世界ではシーちゃん達の力を自由に振るうわけにはいかないけれど、そういう制約の無い新しい世界が用意できれば何の気兼ねも無く生きていく事だって出来るのだ。



「ならん。わらわはヴァガルを捨てるつもりはない」


「そうだったわね。ごめんなさい。適当に話すぎたわ」


「これは決して逃げ出すべき場面ではない。アルカも重々承知の上とは思うがな」


「ええ。そうね。向き合って、乗り越えて行きましょう」

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