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42-42.家族会議

「やっと出てきたわね。随分長い事楽しんでいたじゃない」


「楽しんでいたのは小春だけよ」


「お姉ちゃん? まだ足りなかったのかな?」


「あはは♪ 楽しかったぁ~♪」


「ちょっと、これ大丈夫なの? なんか不気味な笑い方してるわよ?」


 まあ問題無いっしょ。お姉ちゃんも頑張ってるし。とにかく最初は続ける事こそが重要なのだよ。



「マスターの方も問題は無いようですね。それではニクス世界に帰ると致しましょう」


「ええ。皆で今後の事を話し合いましょう」


「その前にもう一つやるべき事があるわ」




----------------------




「あなたがアルカさんですね。助けて頂きありがとうございました」


「セルマさんもお元気になられたようで何よりです。それで申し訳ないのだけど、今は少し余裕が無いの。手短にセルマさんの事情を聞かせて頂けるかしら? 一先ずはルネルとの関係性だけでも」


「特別な関係というわけではありません。あの国出身のエルフは皆ルネルの子供のようなものですから」


 なるほど。セフィ姉達と一緒か。



「ならそちらのセルフィーとは?」


「存じません。私は長く国を離れておりましたので。親族の可能性もあるかもしれません」


「セルマさんは私とエルヴィの両親についても知らないみたい。無理もないよ。セルマさんが国を離れたのは千年以上前って話しだから。その頃はまだ私達の両親だって産まれてないもん」


 そっか。じゃあ普通に偶然って可能性も高そうだ。



「それからセルマさんは長老の孫にあたるんだって」


「それは……セルマさん。今すぐ国に帰ってください。私が、いえ、セフィ姉お願い。送ってあげて」


「うん。任せておいて」


 どうやら私のせいで待たせてしまったみたいだ。セルマさんは挨拶を済ませるまで帰るわけにはいかないと考えていたのだろう。もっと早く済ませておくべきだった。とにかく後の事はセフィ姉達に任せよう。私はきっと今のルネルやエルフの国には近づかない方がいいだろうし。




----------------------




「集まったわね。先ずは皆、お疲れ様」


 家族皆に十分な休息をとってもらった後、私達は再び深層に集まって、これまでとこれからの事を話し合う事にした。



「邪神は討ち果たされたわ。皆の頑張りのお陰でニクス世界に残存していた寄生型金属生命体も一匹残らず駆逐出来た」


 プロトちゃん達によって死骸の回収も済んでいる。痕跡は一切残されていない筈だ。



「まだ戻ってない娘達もいるけど今後の事を話しましょう」


 いないのはイオス達とルネルだけだ。今回は所属がまだ移っていないルイザやアンジュ達も纏めて呼び寄せた。ほぼ全員がこの場に集合している。



「アルカ達もご苦労さま。ここでなら時間はいくらでもあるわ。焦らずゆっくり話して頂戴。今回の件についてはこの場の全員が正確に理解する必要があるわ」


 セレネの言う通りだ。ルイザ達にも多少の事情は説明してあるが、全員に実際に動いてもらったわけでもないから伝聞でしか事情を把握していない筈だ。正しく危機感を抱いているとは限らない。私と共に生きていくなら知るべきだ。



「こちらをご覧ください」


 シーちゃんがスクリーンに映像を映し出してくれた。今回の出来事を纏めて編集してくれたものだ。流石シーちゃん。内容もわかりやすい。未来ちゃんの件もバッチリ伏せられている。文句一つ無い完璧な仕事っぷりだ。



「どうかしら。ここまででわからなかった事はあるかしら」


「何もかもわからないわ。何よ最後の偽神モドキって」


 何もってことはないでしょ? 偽神モドキの件は未来ちゃんの件を伏せた弊害が出てるけど。



「詳細は不明よ。偽神が実験的に生み出した可能性が高そうね」


「それはイオス達の意見? とんだ悪夢だわ」


 取り敢えず納得してくれたっぽい。本当はこれこそちゃんと話したい所ではあるのだけど、今回ばかりは仕方がない。



「結局邪神が取り込んだ神々はどうなったのですか?」


 ミーシャはそこが気になるのね。案外誰か友達でもいたのかしら。いやいないか。ミーシャだし。



「大半は消滅してしまったわ。それでもイオスが可能な限りは回収してくれたわ」


 神々の魂のようなコアのような何かを集めていたそうだ。伝えてくれたお姉ちゃんも正確には把握していないらしい。イオスも明言はしなかったそうだ。その余裕が無かったのか、復活が絶望的なのかはわからないけど。



「邪神だとか偽神だとかについて話すのは後にしましょう。それより先ずは今後の身の振り方を考えるべきだと思うの。ニクス世界は大きく混乱しているわ。私達も尽力はしたつもりだけど、やっぱりアルカの放送はマズかったわね」


 悪かったってば。私も冷静じゃなかったわ。数字に囚われすぎて選択を間違えた。逆に混乱を広げてしまった。ああいう時こそもっと冷静に立ち回るべきだった。けど今更言ったって仕方がない。そもそも世界中にプロトちゃん達を派遣して人々を隔離した時点で騒動が大きくなる事自体は避けられなかったのだ。まるっきり無駄だったわけでも無いはずだ。とにかくここからでも挽回する方法を話し合わなくちゃ。

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