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42-38.まどろみの中で

『ねえ、アルカ。私に何を隠してるの?』


 ニクスが違和感を抱いたようだ。無理もない。未来ちゃん関連にはフィルターが掛かっているもの。空白が大きすぎたのだろう。こうして我慢できずに聞いてきたくらいだ。



『それよりエルフの国ついて聞かせてくれるかしら。先ずは長老の件とルネルの現状を詳しく教えてほしいの』


『……ダメだよ。その前に体調を戻して』


 そう。ニクスも話してくれないのね。


『マスター……』


 シーちゃんは知ってたの?


『いえ……。申し訳ございません。複製体がルネルの指示で意図的に伏せたようです』


 そっか。うん、わかった。ありがとうシーちゃん。調べてくれて。


『はい。マスター』


 プロトちゃん達に独自の判断能力を与えたのを間違いだとは思わないけれど、こういう事も起こり得るのね。今後は気を付けないとダメね。



「アルカ? どうかしましたか?」


「ううん。なんでも」


 笑顔、笑顔……。



「……少し寝てください。どの道今すぐには動けないのですから」


 ダメだったらしい。ノアちゃんに心配させてしまった。



「私達の事は気にしないで結構よ。アルカの寝顔を見ながらのお茶会も乙なものよね♪」


 セレネは流石だ。表面上は何時も通りだ。ノアちゃんが不審がっていないという事は内心だって隠し通しているのだろう。そもそも隠す事が正解なのか私にはわからないけれど。



「お姉ちゃん」


「ええ」


 私が頼むとお姉ちゃんはすぐさま意図を察してベットに潜り込んできた。そのまま私を抱きしめてくれた。




----------------------




『小春』


 お姉ちゃん?


『ええ。未来の方のね』


 移行が終わったんだね。


『そうよ。イオス達も既に離れたわ。でもまだ完全じゃないから一旦イオスの住処で続きの処置をするそうよ』


 苦戦してるね。


『そうでもないわ。本来もっと時間をかけて解くものだもの』


 そうなんだ。詳しいね。


『伊達に長く生きていないわ』


 それでもイロハより年下かもね。


『その比較に意味があるのかしら?』


 無いけどさ。お姉ちゃん、ううん。未来ちゃんは私の事を自分の小春としては想ってくれてないんだね。


『……突然どうしたの?』


 未来ちゃんの小春とはどれだけの時間を過ごしたの?


『……あの人と過ごした時間の方がずっと長いわ』


 私は三人目なんだ。


『小春にとっての私と同じね』


 けど私が唯一無二だよ。


『そう思い込めと?』


 うん。認識を改めて。お姉ちゃんの一部になったんだからお姉ちゃんに徹してもらわなくちゃ。ミーちゃんの席を譲ってあげたんだから努力して。


『……そうね。わかったわ』


 でも忘れないで。未来ちゃんの過去も捨ててしまってはダメよ。偽神の事も、未来ちゃんにとっての本当の小春の事も心に抱き続けていて。私だったらお姉ちゃんに忘れられるなんて堪らないもの。


『……ええ。約束するわ』


 ハルちゃんは?


『ついて行ったわ』


 イオス達に? 大丈夫なの?


『きっとまた強くなって帰って来るわよ』


 そうだろうけども。でもハルちゃんはたまにやらかすからなぁ。


『たまにかしら?』


 毎回? 案外あれで自信家だから。やりすぎちゃうのよね。


『案外? そのまんまじゃない?』


 未来ちゃんはハルちゃんの理解が足りていないのね。


『無理もないわ。避けられていたんだもの』


 そうなの?


『たぶん母である私とごっちゃにしたくなかったのよ』


 きっと他に理由があると思うよ。ハルちゃんの事だし。


『そうかしら』


 そうだよ。私が言うんだから間違いないよ。イロハはどう思う?


『さあ? 流石にそっちの時間軸でハルが何を考えていたのかなんてわからないわ。そもそも未来ミーちゃんの発生経緯自体がこっちの時間軸とは違うでしょ』


 そりゃそうか。


『話さないわよ。長くなるし』


 時間は幾らでもあるじゃん。


『少し深層に潜るのも良いやもしれません。アルカ様にはまだまだ時間が必要です。時間をかけて心を癒やしましょう』


 ならノアちゃん達も付き合わせようか。


『ダメよ。あの娘達だって不安を抱えているの。無駄に引き伸ばすのは悪手よ。私達だけで潜りましょう』


 私は良いの? 私だって続報が無いと不安だよ? 結論ありきで理由はこじつけじゃない?


『大丈夫よアルカなら。それから今回は未来ミーちゃんとの親睦を深めるのも目的だもの。今のアルカに遠慮している未来ミーちゃんを側に置き続けるわけにはいかないわ。少し強引だけど深層でたっぷり時間をかけて距離を詰めましょう』


『勿論私もお供致します。マスター』


 まあ良いけど。皆が必要だって言うならそうするよ。

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