1-13.問題児
「アルカ!遂に殺る気になったのか!」
問題児の第一声に頭を抱える。
「クレア、ギルド長はなんて?」
「アルカが一緒に遊んでくれるって!」
あんにゃろう!私を売りやがったな!
私とノアちゃんは約束の時間になって再びギルドに来ていた。
ギルドに入った瞬間彼女、クレアが出迎えた。
クレアは私と二人だけの最高ランク冒険者であり、剣士だ。
そして問題児だ。強い相手なら誰彼構わず戦おうとする。
戦うことが何よりも好きで、
特に私は目を付けられている。
私達は既に何度か戦ったことすらある。
しかし、クレアは満足していないようだ。
本気で私と殺し合いをしたいと願っている。
「おう揃ったな」
現れたギルド長を睨みつける。
ギルド長は私の視線を無視して会議室に移動する。
舐めやがって!もう仕事しないからな!
また引きこもってやるからな!
「行きますよアルカ」
私の内心を察したのかノアちゃんが私の手を引いて歩き出す。
ほんまええこや~
ささくれた心が少し癒やされていくのを感じる。
まず、ギルド長がクレアにことのあらましを説明する。
「要は切れば良いんだな!」
頭を抱える私とギルド長。
「証人はダメよ!それ以外は切っても良い!」
「わかった!」
本当に分かってるのかしら。
まあ、いざという時は私が止めよう・・・
そうして作戦を詰めていく。
「ノアちゃんは待っていて!」
「いえ、行かせてください!
第一、上の人間をどうやって見極めるつもりですか?
私も行った方が都合がいいんです!」
「そうだけど!殺そうとしてたとは言えノアちゃんの一族よ!
壊滅させるところを側で見せるわけにはいかないわ!」
「尚更です!私が原因でアルカが巻き込まれているのです!
私が見届けないでどうするのです!」
「巻き込まれたのはダンジョンの件が原因で、ノアちゃんのせいじゃないわ!」
「同じことです!私の一族が関わっているのですから私の責任でもあるのです!」
「そんなわけないじゃない!ノアちゃんの意地っ張り!」
「アルカこそ!」
ギルド長が見かねて大声を出す。
「お前達、今更何をやっている!
痴話喧嘩は先に済ませておけ!こうなるのはわかっていたはずだ!
今はそんな事をやっている場合じゃないだろうが!」
「「はい。すみません。」」
「ノア、一族が滅びる所を本当に見届ける覚悟があるんだな」
「はい!」
「アルカ、ノアがこう言っているんだお前が支えてやれ」
「はい・・・」
結局ノアちゃんも同行して、
私、ノアちゃん、クレアの三人で向かうことになった。
「ノアちゃん辛くて耐えられなくなったら絶対に言ってね。
私が絶対に守ってみせるから。ノアちゃんの心だって。」
「ありがとうございます。アルカ。でも大丈夫です。
アルカも私を信じてください。私はアルカを信じてます!」
「わかった。もう言わない。
一緒に行こうノアちゃん!」
「はい!」
「終わった?ならさっさと切りに行こう!」
「空気読めアホクレア!」
「お!殺る気か!殺るのかアルカ!」
「やらないわよ!行くわよ!」
「本当に大丈夫でしょうか・・・」
そうして、三人でノアちゃんの一族の拠点に乗り込んでいった。