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42-35.新しいお姉ちゃん

「なんで一人に戻っちゃったの?」


「必要な事よ」


 むぅ……。


 さっきは普通に分かれてくれたのに。呼び方であーだこーだ言ったせいで気が変わったみたいだ。



「今はどのお姉ちゃん?」


「私は私よ。三人で一人の私なの」


 お姉ちゃんの頑固者め。



「キーちゃん、未来ミーちゃんと話しがしたいです」


 ノアちゃんは気にせず話を進める事にしたようだ。



「どこから話したら良いのかしら」


「では私から問いましょう」


「良いわ。何でも答えます」


 一人になったお姉ちゃんはまるで自分自身こそが未来ミーちゃんであるかのように居住まいを正した。いや、まるでも何も本当にそう思っているのだろう。キーちゃんが表に出ているというわけじゃなくて、言葉通り"お姉ちゃん"が三人分の過去を背負うつもりでいるのだろう。



「先ずは改めて。あなたは味方ですか?」


「そうなりたいと願っているわ。調子が良いとは思うけど」


「もちろん受け入れます。お姉さんが全ての責任を背負うと言うなら私達があなたを責める理由はありません」


 そうね。結局私達目線で未来ミーちゃんが直接関与したのはミーちゃんの件だけだもの。ミーちゃん本人が受け入れているのに私達が……いや、私には文句を言う権利あるわね。勿論それで未来ミーちゃんを追い返すような真似はしないけど。



「ありがとう。ノアちゃん」


「はい。では次の質問です」


「ええ」


「今の偽神、キーちゃんのよく知るアルカは私達の事をどう認識していますか?」


「……わからないわ。多分興味は無いと思う。最初は何度も愚痴っていたけれど、本当にそれも最初だけだったの。すぐにあなた達の事は忘れ去ったわ。いつも通りにね」


「けれど今回偽神はキーちゃんと偽神モドキを放り込んできました」


「標が手元にあったからという以上の理由は無いと思う。或いは道を開いたのはあの邪神の、えっと偽神モドキの方だったのかもしれない」


 そっか。偽神が邪神に分け与えた力が偶然この時間軸のイオスのものだった可能性があるのか。あくまで可能性の話だけではあるけれど。



「そこのところどうですか?」


「……ダメみたい。イオス達はまだ手が離せないの」


 偽神モドキの中から何かしら回収して解析でもしているのかも。それか合体を解くために苦戦しているか。或いは力を萎ませるのに時間と集中が必要なのか。何にせよ私達が手を出せる事じゃない。だからって心配も要らない。イオス達ならきっと大丈夫だ。



「今の偽神の側に他の誰かはいますか?」


「……いないわ。いない筈よ」


 どうせまた誰か補充するわ。偽神は私でもあるんだもの。私が一人で生き続けられる筈なんてないわ。ノアちゃんに執着しているのが何よりの証拠よ。次に会う頃までには何人も従えているかもね。



「取り敢えずはこんな所でしょうか。アルカからは何かありますか?」


「いいえ。これから私とお姉ちゃんは何時でも話せるもの。それより早く帰りましょ」


「焦っても帰宅時間は早まりませんよ。アルカ」


「……むぅ」


 ノアちゃんの意地悪。そんなのわかってるもん。



「じゃあキーちゃんに質問」


「何かしら?」


「キーちゃんは今何歳くらいなの?」


「女性に年齢を聞くものじゃないわ。小春」


「キーちゃんは私のお姉ちゃんだもん。それくらい教えて」


「……さあ? 正直よくわからないの。幾度も時を超えてきたんですもの。時間の感覚なんて無くなってしまったわ。少なくとも千を超えているのは確かね」


「じゃあキーちゃんが長女なのね」


「ユーちゃんが次女でミーちゃんが三女になるのですね」


「今更定めることに意味があるのかしら?」


「キーちゃん距離取ろうとしてる?」


「……違うわ。詰め方がわからないだけよ」


「キーちゃんは長い悪夢を見ていただけだよ。今はもう私達の家族なの。それだけ考えれば良いんだよ」


「……ありきたりね」


「やはりお姉さんはお姉さんですね」


「同感」


「どういう意味よ」


 自分でもわかってるくせに。



「そうだ。ミーちゃんはそろそろ私の方に移らない? ハルちゃんも返してほしいんだけど」


「まだ無理よ。イオス達が落ち着くまで我慢して」


 ならしゃあないか。



「アルカの中に住むのはキーちゃんにするべきでは? 暫く見張っておいた方が都合も良いでしょう?」


「いいえ。私が見ているわ。私に任せなさい」


 これはユーちゃん、六百年お姉ちゃんの言葉だよね。ややこしい。



「一人称も変えてみない?」


「勘弁して」


 本気っぽい。まあ余計ややこしくなりそうだものね。



「当然だけど信用されてないわね……」


「別にキーちゃんが裏切る事を疑っているわけではありません。ただあなたの精神状態が心配なのです。お姉さんと一緒にしておくよりはアルカに見てもらっていた方がかえって気付ける事も多いかもしれませんから」


 なるほど。一理ある。



「二人ともいらっしゃい。ミーちゃんもキーちゃんの監視を手伝って」


「無理よ。どちらか一人だけ。今は私の方が強いって事忘れないで」


 そうだった……ぐぬぬ……。


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