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42-33.vs偽神モドキ

「驚いたわ。本当に」


 未来ミーちゃん曰く、今の私達と同じ事をした者達はどの時間軸にも存在しなかったらしい。偽神の干渉が大きく影響しているから当然とも言えるのかもだけど。



「あなた達は本当にあの人を倒すつもりなのね」


「止める?」


「……いいえ。私にも協力させてほしい。私はあの人の方をこそ止めたいの」


 うん。知っていたよ。あの時もそう言っていたものね。



「その言葉信じてあげる。あなたも私のお姉ちゃんだもの」


「ありがとう。……小春」


「よろしくね。お姉ちゃん」


 未来ミーちゃんの肉体から魂が抜け出した。お姉ちゃん達が回収したのだろう。早速融合させるつもりのようだ。今のお姉ちゃん達なら未来ミーちゃんに乗っ取られちゃうような事も無いだろう。イオスがついていてくれるのだから心配は要らない筈だ。偽神はともかく未来ミーちゃんの力なんてたかが知れている。偽神は未来ミーちゃんに大した力は与えなかったようだ。以前の私達ならともかく、今の私達にとって未来ミーちゃんは大した脅威とも思えない。偽神はやっぱり自分以外を信じてなんていないのだろう。どうりで簡単に切り捨てるわけだ。今まで数多くの私達を見てきた筈なのに何も学んでいないのだろうか。



「シーちゃん」


「イエス、マスター。お任せを」


 未来ミーちゃんのナノマシンで構成された肉体をシーちゃんに預けて解析してもらう事にした。悪いけど全てを晒してもらいましょう。きっとシーちゃんの力になる筈だ。未来ミーちゃんの身体自体私達の知るものより高い技術が使われている筈だし。もしかしたらこの肉体が記録している情報もそのまま読み取れるかもだし。



「これで二凸。完凸まではあと二人でしょうか」


「ノアちゃん。いい加減にしないと本気で怒るわよ」


 そういうのフラグになっちゃうんだってば。冗談としても別に面白くないし。これ以上お姉ちゃんに不幸になんてなってほしくないもの。例えどんな時間軸のお姉ちゃんだって。



「アルカの気持ちはわかります。ですが現実的な問題として認識する必要はあるのです。偽神が未来ミーちゃんを手放してしまった以上、再び自身の理想とするお姉さんを取り戻すために暗躍するかもしれません」


「笑えないってば」


「笑わせる為にこんな事を言っているわけではありません。もちろんアルカには何時だって笑顔でいてほしいと思っていますが」


「……」


 偽神の目的はノアちゃんだけじゃないのかもしれない。偽神にとっての真のお姉ちゃんはミーちゃんの方じゃないお姉ちゃんなのだ。未来ミーちゃんへの執着が中途半端なのはそのせいなのかもしれない。お姉ちゃんである以上は大切な存在なのだけど、それでも最も望むお姉ちゃんとは離れ離れになってしまったのだ。少なからずその要素を持つ私のお姉ちゃんは、今や偽神にとって最も望ましいお姉ちゃんなのかもしれない。他のどんな時間軸にだって存在しない、偽神とも並び立てる可能性を秘めた唯一のお姉ちゃんなんだから。


 ノアちゃんが言いたいのはそういう事だろう。偽神が再び目をつけるかもしれないから気をつけろと言っているのだろう。もしくは私のお姉ちゃんと似た存在を自らも生み出そうとするのかもしれない。例えどんな手段を使ったとしても。



「お姉ちゃんは私が守るよ」


「その意気です」


 うん。頑張る。



 未来ミーちゃんを仲間に加えたお姉ちゃんは全ての力を小さく小さく圧縮し始めた。そうしてあのアイリスの魔神と同じように蛇の鱗のような鎧を纏った人型に変化した。偽神モドキと対等な条件で戦う事にしたようだ。確かにその方が勝ち筋もありそうだ。そもそも相手があのサイズなら大蛇のままでいる必要もない。同じエネルギー量なら人型で戦った方が効率も良い。



「これなら私達も参加出来るでしょうか」


「掠るどころか余波だけで消し飛びますよ」


 お姉ちゃんと偽神モドキは特に激しい動きをしているわけでもない。なんなら本人達は殆どその場を動いていない。単純に力と力をぶつけ合っているだけだ。それ故に私達では入り込む余地が無い。シーちゃんの言う通りだ。きっとあの場に飛び出した瞬間に跡形もなく蒸発してしまうだろう。



「もしかしてノアちゃん見えてない?」


「ええ。むしろアルカには見えるのですか?」


「なんとなくね」


「そうですか。お互いまだまだですね」


 そうね。本当に偽神本人が乗り込んでこなくて何よりよ。私も修行が全然足りていないわ。早くお姉ちゃんに追いつかないと。そしてまた追い抜くんだ。次は私がお姉ちゃんを守るんだから。



「いっそこのままお姉さんに偽神も倒してもらっては如何です?」


「そんな事させられるわけないでしょ」


 ノアちゃんだってわかってるでしょ。ついさっき自分で気をつけろと言ったばかりだもの。



「……そうですね。すみません。バカな事を言いました」


 お姉ちゃんは例え相手が偽神であろうと、私を手に掛けるなんて出来る筈がない。それはきっと隙になる筈だ。



「偽神は私がこの手で必ず討つわ」


「私も次こそは共に戦えるよう精進します」


「ええ。一緒に頑張りましょう。ノアちゃん」


「はい!」

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