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9-2.情報共有

セレネとグリアの仕事が落ち着いて、

私達はルネルから聞いた話をメインに情報交換をしていく。



驚いたことにセレネとグリアは殆どの事を既に知っていた。

流石に魔王の詳細な人間性や勇者のその後などは知らなかったが、

初代聖女については殆どの事を調べ上げていた。


聖女がどれだけ頑張ろうとも、

当然ながら女神ニクスへの信仰を捨てていなかった者達も当時はまだいたのだ。


教会内の資料は徹底的に聖女によって改変されていたが、

世界中の書物を漁る事で女神の本当の名前すら見つけ出していた。



「当然、生きた証人の言葉はありがたいとも。

エルフは人間種の信仰になど興味は無いと思っていたが、

まさか当事者達と会った事まであるとは。

これは嬉しい誤算だね」



「わしはそこまで彼らと親しかったわけでも無いのじゃ。

すまんが、あまり力にはなれん。

殆ど全ての事が伝聞じゃしの」



そんな事を言っているけれど、

聖女達とだって私達と同じくらいには仲良くしていたのだろう。

ルネルが弟子にした人達をぞんざいに扱うはずがない。


だからこそ、何もしなかった事に罪悪感を抱いているのだから。

そうして、今回は私達についてきたのだろう。

手は出さないと言うが、

私達が危機に陥れば助けてくれるのだと思う。


私達はルネルに手を出させないで済むように、

絶対に強くならなければいけない。

ルネルを早く安心させてあげよう。




「今この教会では女神ヘメラという神が崇められているの。

書物では架空の神であるとまでは確信できなかった。

もしかしたら実在していて、

宗旨替えしたとか、

女神ニクスの後継だとか、

いろいろ想定していたの。

そこが当時の勇者の証言で確定したのも大きな事ね。

ありがとうございます!ルネル様!」



「様はやめい。

性に合わんのじゃ。

役に立ったのなら何よりじゃ。

今更じゃが、あの勇者の想いが継がれるなら悪くはない」



「ええ。とっても。

これで容赦なく女神ヘメラを否定していける。

女神ニクスの力を取り戻すのは癪なことではあるけれど、

どうしても必要なことなの」



なんかセレネがちょっと怖い!?

勇者や聖女の話を広めるために女神の力を利用したいって事?

セレネ逞しくなったのね・・・




そこからは、セレネ達が調べた事も共有してくれた。


まず、今の教会が定義する聖女とは本来の意味での聖女ではない。


本来の聖女とは女神ニクスが世界の外敵に対抗するために指名した者を指す。


対して、今の教会が聖女と呼ぶのは、

初代聖女の子孫達の中で力を多く継いだ者達の事だ。

つまり、正確な意味では聖女でもなんでもない。

ただ聖女が女神から授けられた神の力を引き継いでいるに過ぎない。


そもそも初代聖女も教会としての呼び名であり、

本当の意味での初代ではない。



魔王と戦う際に出会った神官の言葉が真実なのだそうだ。

けれど、神の代弁者であるあの神官は嘘はついていなくとも、

本当の事を全て話したわけでもない。

聞かれていない事には答えていないし、

神官自身が知らないこともある。


もう一度問い詰めに行くべきだろうか。

今ならこちらも多くの事を知った。

前より情報を引き出せるのかもしれない。


「女神ニクスの思惑がわからない以上、

あの神官に接触するのは止めておきたいの。

あの場所は少しとはいえ女神ニクスが干渉できるみたいだから、

あそこで話した事は聞かれてしまうかもしれない」


まあ、確かにその通りだ。

女神ニクスは聖女が偽の神を信仰する事を止めなかった。

なにか想定外の思惑がある可能性も否定できない。




そして、ノアちゃんのように在野に存在する聖女の子孫は、

まだ枢機卿達が暗躍していない時代の者達や、

暗躍後も力が継がれず放り出された者達が殆どらしい。


ノアちゃんの力の量から考えるなら、

おそらく前者の子孫であるはずだ。


六百年の月日で巡り巡って、

今代の聖女であるセレネと出会うことになった。


ルネル曰く二人の容姿は初代聖女にそっくりなのだという。

セレネが似ているというのは内面的な意味だけでは無かったらしい。


なにか運命的なものでもあるのだろうか。

隔世遺伝と言ったって、

同じ世代の同じ年に二人も誕生するなんてどんな確率よ。


というか、ノアちゃんの白い髪はアルビノとかじゃなかったのね。

まあ、ノアちゃんは太陽に弱いとか特に無かったけれど。

黒猫一族にいつ聖女の血が入り込んだのかは知らないけれど、

ノアちゃんの毛色は初代聖女の影響らしい。





「情報はとっても助かりました。

これで私達の活動も大きく前進します。

それで、ひとまずこの話は終わりにしましょう。

せっかく時間を空けたのだから何時までもお仕事の話はしたくないの」





セレネの号令で、この場は一旦お開きになった。


グリアとルネルは気を使ったのか、

私達は三人で取り残された。



せっかくだし、久々に母娘三人水入らずで楽しみましょう!


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