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41-28.延長戦

「賛成派の論はこれまでの話を前提としましょう。反対派の立論からお願いね」


 再び司会席に戻ったトニア。見学席には私とアムルとアンジュだけだ。トリプルAトリオだ。実際Aなのはアムルだけだけど。


「アルカ」


 抓られてしまった。失礼な事を考えたのがバレたらしい。流石ね。アムルも私のことをよく理解してくれているのね。



「何故嬉しそうなんです?」


「ふふ♪ わかってるくせに♪」


「そこ! 見学者は無駄口叩かない!」


「「はい!」」


 いけないけない。もう会議は始まってしまっているのだ。大人しくしていよう。




----------------------




「反対派の意見は以上よ」


 反対派の代表であるセレネが話を終えた。反対派の意見を総括すると「人には適材適所がある」という話だった。


 王には王の。補佐官には補佐官の。王を攫ったところで補佐官として有能だとは限らない。重要な人員を削りすぎれば敵が暴走してしまうかもしれない。かの王がいるからこそ反乱軍は纏まっているのかもしれない。


 反乱勢力は帝国内の七割もの勢力を集めたにも関わらず、今尚帝国に攻め入るどころか大々的に兵を動かしているわけでもない。集めてはいても抑え込めているのだ。おそらく中心となっているギヨルド王がそれだけの統制力を備えているからなのだろう。彼を動かすのはリスクが大きすぎる。


 反対派の意見としてはそんなところだ。ぶっちゃけアンジュに聞いたら答えが出るやつだ。誰も聞くつもりは無いみたいだけど。そもそもさっきまでもアンジュが意見を言う事はなかったらしい。やっぱり最初から見学に徹していたようだ。能力的にこの手の論争とは相性が良すぎるからね。私を通して知った賛成派の考えを仲間たちにバラしてしまう事だって出来たわけだし。切り分けて話すのも神経使うだろうしね。何も喋らず終わらせようと思うのもやむを得まい。



「このまま賛成派の反駁へと移らせてもらおう」


 フロルは作戦会議の必要は無いと宣言した。反対派の論は想定済みだったのだろう。既にその回答も用意してあったようだ。



「全て問題ない。かの王に出来る事が我らのアンジュに出来ぬ筈もない。確かにそれが恒久的ともなれば綻びも出よう。アンジュには向いておらんからな。しかしあくまで一時的なものだ。更には我らのバックアップもつく。万全だ。何の心配も要らん。これがただの傲慢だと思うか? まさかその程度の自信も無しにお主らは国を取ろうとしているのか?」


「フロル。警告一だよ。挑発はダメだってば」


「むぅ」


 次で退場? 警告三で強制敗北かな?



「良いでしょう。その挑発に乗ってあげるわ。当然私達の考えはこの程度で終わりでは無いもの。お互いに納得するまで全ての論をぶつけ合いましょう」


「うむ! 望むところだ!」


 ありゃりゃ。これは長くなりそうだ。




----------------------




「ふふん♪ その程度? フロルも口程にもないわね♪」


「まだだ! まだ終わらんよ!」


「二人とも~。また警告出すよ~」


 白熱してるなぁ。あれから何時間経ったかしら?


 やっぱりフロルとセレネにやらせるのは危険だったわね。二人とも絶対に負けを認めたりしないだろうに。この論争何時まで待っても終わらないんじゃないかしら? 負けを認めさえしなければ負けじゃない的な感じで。



「ふふ♪ お二人とも楽しそうですね♪」


「アンジュも呑気ね~」


 アンジュのお父さんの進退がかかってるのに。



「大丈夫です♪ お父様ならどこへ行こうと心配はありません♪」


 あら。ちょっと意外。全て投げ捨ててきちゃうくらいだからあまり上手くいってないのかと思ってた。



「アンジュのお父さんってどんな人なの?」


 今の白熱した様子なら多少の雑談で咎められる事も無いだろう。折角だから少し話を聞いてみよう。



「普通の方です。王として特別偉大なわけではありません。そんな事よりアルカさん♪ 実はギヨルド城にはですね♪」


 残念ながら話す気は無いようだ。けどアンジュの件もあるし一度会ってみる必要はありそうだ。全ての問題が解決したらご挨拶に伺おう。どの面下げてって思われない程度には今後の立ち回りにも気を付けたいところだ。そこもこの会議の結論次第だろうけど。

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