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41-27.再編成

「これは……」


 賛成派がフロル、コレットちゃん、クロエ、ノアちゃん、アンジュ、カノン、グリア、クレア、セフィ姉の九人。


 反対派がセレネ、ジゼル、ニクス、アムル、私の五人。


 どうやらもういい加減長い会議に付き合いきれなくなってきた勢が賛成側に流れてしまったようだ。具体的にはグリア、クレア、セフィ姉の三人だ。


 それからノアちゃんはコレットちゃんの希望がその程度で叶うならと、同情寄りの賛成票っぽい。


 だいぶ公平性が損なわれている。真面目に賛成しているのは精々フロル、コレットちゃん、クロエの三人だけだろう。カノンとアンジュはどうしたんだろう? この二人だけはちょっと真意が読み取れない。



 とは言え反対派も似たり寄ったりだ。セレネ、ジゼル、ニクスが真面目に反対しているだけで、私とアムルは半ば引きずりこまれたようなものだ。ぶっちゃけ私の心情としてはノアちゃんのものに近い。いい加減終わりにしたいという気持ちも無いでもないけど。まあそれは言っちゃダメなやつだ。



「三対三にして他は見学に回ってはどうかしら?」


 セレネは逆に火が付いているっぽい。ここから逆転する為の一手を差し込んだ。



「わらわは勿論かまわぬぞ♪」


 会議と勝負が大好きなフロルは当然のようにその意見を採用した。



「……ならそういうことで」


 トニアは困っている。けれどとにかく進行させようと早々に判断を下してくれた。



「カノンとアンジュもそれでいいかしら?」


「私は構わないわ」


「私もです」


 なんだ。何か腹積もりがあって賛成派についたわけじゃないんだ。アンジュあたりは何かしら意見があるのかと思ったけど。


 それから賛成派にフロル、コレットちゃん、クロエが残り、反対派にはセレネ、ジゼル、ニクスが残った。


 残りの私、アムル、ノアちゃん、アンジュ、カノン、グリア、クレア、セフィ姉は見学席に移動する。



「クレア達は先に帰ってる?」


「そうだな。もう教会の方とは関係もねえようだしな」


「私もちょっと疲れちゃった。アルカも暇なら体動かしに行かない?」


 セフィ姉は武の人だからね。仕方ないね。



「そういう話なら私も参加するぜ♪」


 まあいいでしょう。ここまで付き合ってもらったしね。



「ダメですよ。アルカはここに残ってください。ちゃんと最後まで見ていなきゃダメです。お二人の相手は私とノエルで引き受けます」


 ちくせう。私も息抜きしたかったのに。



 ノアちゃん、クレア、セフィ姉は連れ立って会議室を出ていった。折角だから深層で修行をするようだ。後で忘れずに回収しなきゃだ。



「グリアさん。少しお話が」


「うむ」


 カノンとグリアは別の会議をするようだ。何か気になることが出来たっぽい。アムルは連れてってあげないの? ついていかなくていいの? って顔で戸惑ってるよ?



「アルカさん。アムルさん」


 なんだい? アンジュさん?



「皆様再び打ち合わせをされるようです。我々も席を移して語らうと致しましょう♪」


 つまりイチャイチャしたいと? アンジュも好きねぇ♪



「ふむふむ。アンジュとアムルの組み合わせは新鮮ね。あ、いけないけない。トニア! ちょっと来て!」


 ふっふっふ♪ 三人を侍らせて少し休むと致しましょう♪




----------------------




「アルカは節操無しです」


「なによアムル。いったいどうしたのよ?」


 私の腕の中でアムルが不貞腐れている。ノアちゃん達とよく似た、けれど少しだけ大人びた容貌が、見上げるようにしてジト目を向けてきた。



「いっぱいお嫁さんがいるのにまた増やしてきました。更にこうしてまだお嫁さんでもない女の子達を侍らせています」


「アムルもなる? 愛しの魔王様はもういいの?」


「いじわるです!」


 どないせいっちゅうねん。



「私なる! お嫁さん!」


「私もです! アルカさん!」


「おっけ~♪ トニアが四十九番目で、アンジュが五十番目ね♪」


「キリが良いですね♪」


「くっ! 惜しい! でも嬉しい!」


「むぅ~!!」


 アムルが膨れてらっしゃる。



「アムルは五十一番目よ。拒否は認めないわ。魔王様のことは忘れさせてあげる♪」


「!? 強引です! 困ります!」


 満更でもなさそう。でも何か引っかかってるっぽい。セレネ達の許しが必要とか考えてる? 勿論必要は必要なんだけど、何か他にも理由があるのかもしれない。教会組の陰謀とも関係があるのかも。私に話すつもりは無さそうだし。



「ふふ♪ いつまで頑張れるかしらね♪」


 アムルを更に引き寄せて唇を重ねてみる。何時も通りに固まるかと思いきや、今回は何やら抵抗のような反応を示してきた。



「もしかして本気で嫌?」


「……たぶんアルカが考えてるような理由じゃありません」


 今度は何か怒ってる? どういうこっちゃ?



「アルカ。そういうの良くないよ。他の女性を両脇に侍らせたままプロポーズしてそのまま唇を重ねるなんて嫌がられて当然でしょ」


 ああ。そういう。



「でもアムルとはもう何度も」


「アルカ!!」


 それを言うのもダメなの? 乙女な聖女様だ。



「悪かったわ。近い内に時間作るから二人きりで過ごしましょう」


「……はい」


 やっぱり何か引っかかっているようだ。ニクスとセレネに聞いてみよう。それともグリアの方がいいかな? 誰も答えてくれなさそうだけど。



「それは勿論」


「私達もですよね?」


「うん。特にトニアにはまだ手も出してないしね」


「え? つまりアンジュ姫にはもう手を出しちゃったの?」


「うふふ♪」


 えっと……。ごめん。トニアは放っておいたのにね……。



「やっぱり若い子の方が良いのね。アンジュってアルカのタイプだもんね」


「何をおっしゃいますか♪ トニアさんもバッチリ押さえていらっしゃるではありませんか♪」


「あ、わかる? そう言えばアンジュってアルカの事は何でも知ってるんだよね」


「言うなれば我々は同志です♪ 仲良く致しましょう♪」


「喜んで♪」


 あかん。元ストーカー二人を引き合わせちゃった。何故か仲良くなってるからいいけどさ。ここにラフマも加わるのかしら?



「私だって負けてませんよ! ノアとセレネを通してずっと見てきたんですから!」


「歓迎します♪ アムルさん♪」


「なんだか同期みたいだもんね♪ そうだ! アルカ! 早速不老魔法をかけてよ! あれって年齢が若返るんでしょ! 全員同じくらいの年頃になればフェアだと思うの!」


「良い考えです♪ 是非お願いしますアルカさん♪」


「それは……私は人間じゃないので……」


 何か盛り上がってるなぁ。



「ダメダメ。それやるには変身魔術を習得してもらわなきゃだから。たぶんフィリアスを増やすのも今は認めてもらえないだろうから我慢して」


「アルカの魔力なら半年解けない変身魔術くらい使えるんじゃないの?」


 やってやれない事は無さそうだけども。



「やめておきましょう。今セレネ達を怒らせると話しがややこしくなりそうだし」


「それもそうね。うん。ならそっちの手配は任せておいて」


 何やらトニアが根回しするつもりのようだ。さっすが。頼りになるなぁ。



「私使えますよ。変身術。なんならそういうの得意です。たまにかけ直す程度で問題ありません。セレネ達にもバレないと思います」


「ダメよアムル。話を蒸し返さないで。折角納得してくれたんだから」


 案外と悪戯っこね。それに珍しく自信満々だ。



「そうですね。ごめんなさい。私もちゃんとセレネと話し合ってみます」


「待ってるわ」


 どうせ私には聞かせたくないことだろうからね。ここは首を突っ込まない方がいいのだろう。



「はい♪」


 どうやら覚悟を決めたようだ。今度は嬉しそうに自分から抱きついてきてくれた。

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