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41-25.作戦会議②

「それでフロルはどうするの?」


 論理的な思考を以ってギヨルド王家を排斥するとなると、フロルとしても今のままでは進められない。心情やポリシー的なものだけでなく、もう少し具体的に意見を掘り下げる必要がある。トニアもわざわざそれを指摘していたのだし、次は皇帝として許せんだけでは認められないだろう。



「そうさな……」


 流石のフロルでもお手上げかしら? これはまさかコレットちゃんの不戦勝?



「ギヨルドは影響力が強すぎる。先ずその時点で放ってはおけん。全てが計画通り進行してもわらわに集まるべき民の心が二分されかねんからな。力がありすぎるならば削ってやらねばならん」


 まあそうは問屋が卸さないか。


 そうね。フロルの懸念は尤もよね。現時点で七割も集めている勢力がいるんだもの。叛意を失わせられたとしても、それがそっくりこっち側についてくれるとは限らない。結局大勢は変わらないかもしれない。だから一旦ぶち壊しておくのはどの道必要かもしれないのだ。



「わらわの求心力を高める為には現ギヨルド王家には退いてもらう必要があるな。かと言ってわらわが直接手を下したのではより叛意を高める結果にしか繋がらんだろう。第三の侵略者とはそういう意味でも都合が良いのだ」


 これで賛成派の意見は補強されるわね。この意見はメリットが無いという意見への反証にも繋げられるのだし。コレットちゃんはどう打ち崩してくるのかしら?



「しかしそれは暗君の思考なのです。優秀な者にこそ国の一部を預けられるというものなのです」


 クロエもやるわね。



「未来のギヨルドはアンジュに託すとしよう。あやつは元々皇帝位簒奪に反対の立場を示していた。上手く立ち回らせれば選択肢に挙げられる筈だ。優秀な者にと言うなら誰よりも適任であろう」


 フロルも直ぐ様切り返してきた。



「姫様には致命的に足りていないものがあるのです」


「そうだな。アンジュはそつなくこなしてみせるだろう。しかしそこにアルカの為以上の意味は無い筈だ。そのような考えの者に一国を統治させ続けるわけにはいかん。統治者には志が必要だ。それは我欲の為であっても構わん。必ずしも民や国の為でなければならないという意味ではない。しかし自らの定めた確固たる信念を以って導かねばならん。アンジュにはそれが足りておらん。あやつは最優の補佐役ではあっても、統治者たる器は持ち合わせておらんのだ」


 そっかぁ。フロルがそう思ってたなんて知らなかった。フロルはアンジュの事を高く評価していたし、つい今しがた自分で王に据えようと言い出したくらいだからもっと信頼しているのかと思ってた。



「ならどうするのです?」


「簡単な話だ。一時的なものと割り切って配役するだけだ。アンジュならば真に託すべき者を見つけ出すだろうさ」


 結局評価は高いままなのね。単に向き不向きの問題だけのようだ。



「それでは納得しないのです」


「そうだな。隙となり得る部分ではあるな。隙を残せば崩されかねん。さてどのようにして詰めたものだろうか」


 当然だけどコレットちゃんの事も信頼しているわね。コレットちゃんなら必ず見逃しはしないと信じているのね。



「順当に考えるならアンジュの次を考えるべきだな。結局はギヨルドの行く末の話となる。いっそ統合してわらわが直接統治してやろうか。しかし流石に無理があるか。ギヨルドとはそれなりに距離があるからな」


「ならば帝国の在り方そのものを変えてみるのはどうなのです?」


「ふっ。クロエは良い事を言うではないか」


 まったくもう。二人とも調子に乗っちゃって。



「それはそれで通らないわよ。帝国全土を完全に掌握するなんて大変革どころの話じゃないわ。下手をすると偽神がやろうとした以上に世界を混乱させかねないじゃない。そんなのどう頑張ったって認めてもらえるわけがないわ」


「ふむ。それも道理だな。だがギヨルド支配はその一歩ともなり得るではないか」


「まさか一歩ずつ進めていく気?」


「そうだ。我らには無限に近い寿命がある。いっそ帝国全土などとケチくさい事は言わず世界丸ごと我が支配下としてくれよう♪」


 あかん。本気だ。本気で世界征服企んでる……。



「それでこそ我らが皇帝陛下なのです♪」


 早くも信奉者まで生まれてるし……。



「ふむ。丁度クリオンと帝国は大陸の両端だ。それぞれが支配領域を広めて行けば効率も良かろう」


「グリアまで何言ってるのよ!?」


「ふっ。これはただの余興だとも。私とて空気は読むのだよ。アルカ君も会話に参加したまえ。我々は共に支配に賛同する立場なのだからね」


 それはそうだけどさぁ。


 大丈夫? このまま本当に世界征服する事にならない? やるとしてももっと陰ながらだと思ってたんだけどなぁ。まさか表立ってなんて話が出るとは……。



「ニクスはどうだ? 最も世界と人々の営みを見守ってきた者としての意見を聞かせてもらえぬか?」


「良いけど本当の本当にこの場の冗談で済ませてよね?」


「勿論だ。約束しよう」


 胡散臭い笑顔だぁ。

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