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41-20.休憩タイム

「カノン。少し良いかしら?」


「アルカ? ……今はやめておきましょう」


「休憩時間なんだから少しくらい良いじゃない」


「もう。仕方ないわね」


 ソファに行儀良く座るカノンの隣に腰掛けて、その膝に頭を乗せてみた。



「なによ。慰めにきてくれたんじゃないの?」


 私の頭を撫でながら不満を零すカノン。



「ならサービスしてあげましょう♪」


 久々に子供Verに変身してカノンのお腹に顔を埋めてみる。


「結局甘える側じゃない」


「けど嬉しいでしょ?」


「否定はしないわ」


 私の小さな手を取って握りしめてきた。



「にぎにぎ」


「ふふ♪ くすぐったいわ♪」


「カ~ノン~♪」


「もう。甘えん坊ね♪」


 暫くイチャイチャラブラブしているとセレネとノアちゃんが近付いてきた。二人は私を少しどけさせてからカノンの両脇に腰を降ろして、今度は三人の膝に私を横たえた。



「ちょっとくっつきすぎじゃないかしら。嬉しいけど窮屈だわ」


 私達に完全包囲されたカノンは困ったように笑みを浮かべている。でもたぶん見せかけだけだ。満更でもないだろう。



「ノエルとセラフはどうしているの?」


「いるわよ。今もここに」


「私達の中で羨ましがっています」


 うん? ノアちゃんがなんでセラフのことまで?



「もしかしてノエルとセラフってノアちゃんとセレネの繋がった心の世界で一緒に過ごしてるの?」


「そうよ。大体いつも一緒に居るわね」


「私達と同じように仲良しですから」


 良いのそれ? 本来の目的がブレない?



「まあノアとセレネだものね。当然よね」


 元々生き別れの双子みたいな二人が本当に双子として生まれてきたわけだしね。なんならノアちゃんとセレネ以上に強い繋がりがあるのかもしれない。



「ノエルとセラフにも出てきてもらったらどうかしら?」


「ふふ♪ カノンも好きねぇ♪」


「別にそういう意味じゃ……いえ、好きだけど」


 どうやらベットに移るようだ。五人でカノンを囲うにはソファじゃ狭いものね。




「くふっ!」


「これだけは完全無欠なカノンの唯一の欠点だと思う」


「矛盾してるわよ。欠点あったら無欠じゃないじゃない」


「そもそもアルカが言えたことではありません」


「私としてカノンに絡むのは初めてだわ」

「今後の事を考えればオリジナルの追体験は必要かと。次はリヴィとニクスにも頼みましょう」


 全員で子供Verになってベットに転がしたカノンに抱きついてみた。カノンは大層興奮なされている。お気に召してくれてなによりだ。



「ノアは良いの? ノエルがリヴィと仲良くするのって」


「難しい問題です。正直抵抗が無いわけではありません。ですがいずれまた私とノエルは一つの記憶を共有するつもりなのです。同じ人間の別人格とするつもりなのです。ならば受け入れるべきでしょう」


 まだ準備段階だからね。そこまでは割り切れていないのだろう。そもそもノアちゃんとノエルってやっぱり結構違うんだし。



「そういう話だとセラフとルビィにも当てはまるんじゃ?」


「話振らないでよ。ノアだって答えづらいって言ってるじゃない」


 さーせん。


 でも意外だ。セレネなら二つに一つだと思ったのに。



「いっそ私はルーシィ担当になろうかしら」


「ダメよ。分けたりなんてしないわ。ルーシィだって私の娘よ」


 セラフとセレネは意見を違えている。もしかしたらセラフはセレネ程ルビィ達に対して強い想いを抱いているわけではないのかもしれない。他人の記憶を記録として見ているだけならそれも無理からぬことだけど。



「カノンはどうなの? 最近アリアやルカとの時間は取れてる?」


「ここ一週間程は全然ね」


 年少組も忙しいからね……。学園に訓練にと。一週間ってことは深層籠もり以来大して会えて無い感じか……。と言うか私もそれくらいだ……。会いたい……。



「アルカももう少しマノンを構ってあげなさいよ」


「マノンにも早速仕事任せちゃってるものね……そろそろ一回お休みあげてくれる?」


 一週間以上頑張ってくれてるし、ここらで無理やりにでも休ませないとだ。


「良いわ。これが終わったらマノンは帰しましょう。あの子も止めないとずっと働き続けちゃう子だから」


 実際今も城に残ってお仕事中だもんね。一瞬たりとも手を離したくないみたいだった。一旦カノンが残りの仕事を引き受けてくれるつもりなのだろう。素直に交代に応じてくれるかしら? けどマノンだってまだまだ育ち盛りだもの。保護者である私達が強制してでも規則正しい生活をさせないとよね。取り敢えず私と一緒に三日間程部屋に閉じこもってもらいましょう。余計不健康かしら? 常日頃からしっかり睡眠時間を確保してあげないとね。



「一週間に一度深層で家族全員で過ごす時間を設けない?」


「良いわね。是非やりましょう」


 珍しくカノンが即座に賛成してくれた。それだけアリア達との時間が恋しかったのだろう。今まで何度かこういう話は出たけど結局断られてきた。それを覆す程だからよっぽどだろう。或いは今回のディベートで何か思う所でもあったのかもしれない。



「毎日が良いわ」


「精々三日に一度では?」


 セレネとノアちゃんも賛成なら怖いもの無しね♪ それでも他に反対するとしたらセフィ姉くらいかしら? でもセフィ姉もレヴィとの時間を確保したいものね。きっと賛成してくれるわよね。



「三日に一度でいいから一回毎に一週間は籠もりましょう」

「ダメに決まってるでしょう。精々三日毎に一日です」


「一週間に一日よ。それ以上は認めないわ」


「横暴よ」


「もう少し頻度をあげられませんか?」


 こっちの議論もだいぶ白熱してきた。なんならこれも皆で決めるとしよう。後でトニアに提案してみよう。

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