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41-12.ノリノリ皇帝

「諸君。先ずは打ち合わせだ。我々は何故賛成するのか。そこにどんな利点があるのか。そして相手はどのように反証してくるのか。これは言い争いではない。感情の赴くまま気の向くままに言葉を放てば良いのではない。論理の積み重ねこそが我々の望みを実現する唯一の手段だ」


 お~! フロルがぽいこと言ってる!



「アルカ!」


「は~い♪」


「今回は喋るな」


「なんでさ!?」


「アルカが前に出ればディベートが成り立たん。必ず感情に身を任せる者が出てくる。だから喋るな。私に全て任せておけ。良いな?」


「それは勿論構わないけどさ」


「なんだ? 不満があるなら先に言っておけ。本番で勝手な事をされれば困るからな。そこまで含めて準備を済ませておこうではないか」


「そんな念押しされなくても一つだけだから。そもそもなんだけどさ。フロルって正直勝率高くないよね? 何時もカノン達に言い負かされてない?」


「バカな事を。わらわはただ大人として応じてやっているだけだ。相手を負かすなどと考えている時点で幼稚なのだ。お前たちは感情に任せすぎる。世界を動かしていく立場には全くもって相応しくない」


 まあ重責に対して経験が少なすぎるのは否定しないけど。だから恐る恐る踏み込んでいくのも致し方のないことだ。カノン達の慎重さはありがたいものなのだ。調子に乗って困らせているのは私の方だ。それだけは忘れちゃいけないのだ。



「しかし安心しろ。今後は全てわらわに委ねよ。この世界を導いてやろう。アルカはわらわの隣で見ているのだ。お主こそわらわの伴侶に相応しい。お主の力も美しさも全てはわらわのものだ。異論は認めぬぞ」


「いやいや。なんでいきなりプロポーズしてんのさ」


 しかも調子に乗ってるし。気が早すぎる。もう勝った気になってるじゃん。勝ち負けじゃないとはなんだったのか。今回意見が通れば私のハーレムごと乗っ取るみたいに言うじゃん。いったいどんな論理の末にそうなるのさ。



「コレットちゃんの一大事だってわかってる? お姉ちゃんとしてそれで良いの?」


「わらわの妹を舐めるな。この程度のことで心折れるわけなかろう。放っておいても自力で立ち直るわ」


 信頼してるのね。流石お姉ちゃん。



「何時まで二人だけで話してるのです? グズグズしている時間は無いのです。さっさと打ち合わせを始めるのです」


「待て。仕切るのはわらわだ。犬っころはこちらに侍って尻尾を突き出せ。わらわが可愛がってやる」


「わふ♪」


「待てこら!」


 抱き寄せ魔法でクロエを引き止め、しっかりと抱きしめて膝に乗せる。たったそれだけでクロエはあっさり大人しくなった。危ない危ない。危うくフロルに寝取られるところだった。



「またすぐそうやって……」


 ジゼルがクロエにジト目を向けている。


 このワンちゃんしっかり捕まえておかないと、すぐ他の人に尻尾振ってついて行っちゃうわね。特にフロルは相性が良すぎる。まさにクロエの好みど真ん中だ。私もウカウカしてられないわね。



「まあよい。後の楽しみに取っておこう」


 チラッとノアちゃんにも視線を向けるフロル。クロエとセットで侍らせるつもりらしい。


 本当にフロルに任せて大丈夫なの? 皮算用は負けフラグよ?



「ところでニクスは本当に良かったのですか?」


「うん。良いよ。ちゃんと賛成してるよ。勿論皆が納得したならだけどね。私はとっくに覚悟を決めてるから」


「実質中立では?」


「そう取ってもらって構わないよ。私は積極的に賛成意見を出すわけじゃない。ただ許可するっていう意思表示に過ぎない。世界の守護者として許容範囲だと示すだけだ。ノアはよくわかってくれているね」


「私もどちらかと言うとニクスと同じですから。正直成り行きでこちら側に着いた感は否めません」


「なんだなんだ? 士気が低いなぁ。自らの意思でわらわに続く者はおらぬのか?」


「勿論私は積極的に参加するつもりなのです。主もです」


「あはは~」


 無理やりだぁ。でもガンバ。ジゼル。あなただけが頼りなの。私達唯一の良心としてフロルの制御は任せたわ!



 それに私はフロルに黙ってろと言われてしまったし、ノアちゃんとニクスは中立寄りの賛成派だ。フロルを中心にクロエとジゼルが支援する形になるのだろう。コレットちゃんはどうするのかしら?



 皆の視線が自然と未だ発言の無いコレットちゃんの方に集まった。



「あの……」


 コレットちゃんは萎縮している。別に注目されているからというわけでもあるまい。やはりまだ状況を飲み込みきれていないのだろう。自分の発言が引き起こした事態に未だ混乱しているのだろう。



「どうするコレットちゃん? 気を遣わなくても良いんだよ? 今からでも反対派に移る?」


「勝手な事を言うでない! 発言の責任は取らせよ! コレットはこちら側だ! 今更覆すなんぞ認めんぞ!」


 そんな本気で怒らなくても……。コレットちゃんまでビクッてしちゃったじゃん……。



「悪かったわ。もう何も言わない。ちゃんと任せるから」


「それで良い。信じよ。我が妹の事もな」


「……姉様! 私やります! 主様がくださったこの機会! 必ずやものにしてみせます!!」


「うむ。その意気だ。しかし主役の座は譲らぬ。欲しければ勝ち取ってみせよ。先ずは我らの内で競おうぞ! クロエ! ジゼル! そなたらも挑むが良い! 遠慮はするな! 主義主張をぶつけ合おう! 最も皆を納得させた者が勝者だ! ここで導き出される答えはたった一つだ! 我こそはと名乗りを上げよ!! 今更逃亡は許さぬぞ!!!」


「はい! 姉様!」


 盛り上がってるなぁ。フロルって会議好きなのかしら?


 ところでディベートの打ち合わせとか練習はいいの? 代表者決めの為にわざわざ決議会議するの? そんなことしてたら会議開始の時間になっちゃうよ?



「アルカ! アイリスだ!」


 それはずっこくない?


 まあ良いけどさ。それくらいはしないとカノンやグリアに張り合えるとも思えないし。こっちはただでさえやる気のある子が少ないからね。ジゼルなんてもう困り顔だよ。これはフロルとコレットちゃんの一騎打ちになりそうだ。


 でもまあ、流石はお姉ちゃんだ。お陰でコレットちゃんが元気になったっぽい。私としてはもう目標達成よね。この後の結果がどうなっても別に良いのよね。言い出した以上は勿論最後まで見守るけどさ。

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