表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1233/1372

40-77.それぞれの変化

「そっちはどう? そろそろ計画も動かせそう?」


「無茶を言うな。まだ半年と経っていないのだ」


「ありゃ? そんなもんだったっけ?」


「……」


「いやん♪ そんな目で見ないで♪」


「はぁ……」


「わるかったってば。ガチのため息つかないでよ」


「だが少しばかりのんびりし過ぎたな。私も甘く見ていた」


「何の話? 何か厄介事?」


「……」


「はいはい。私のせいですよね~……」


「アルカ君のペースに合わせるならば、じっくりと進めている場合ではないのかもしれんな」


「申し訳ございません……」


「本当に反省したまえよ」


 はい……。



「ルスケアの件はどうなってるの?」


「問題ない。君は決して手を出すな」


「はい……」


「……まあ、あれだ。何かあれば君の力を借りることもあるだろう。今はただアルカ君が手を出すまでもない状況というだけの事だとも。君は私達の王だ。王らしく踏ん反り返っていたまえ。こうして私達を侍らせながらな」


「うん」


 グリアの薄い胸に顔を埋める。よしよしと私の頭を撫でてくれた。優しい。



「おい。鼻息が荒いぞ。いかんぞ。もう休ませたまえ」


「そんなお年寄りみたいな事言わないでよ」


「私は若くないのだ。君達と違って」


「あら? それはもしかして? ふふ♪」


「好きにしろ。私はもう君のものだ」


「……良いの? 本当に?」


「私もいい加減覚悟は決めたとも」


「なら遠慮なく」


 グリアに不老魔法をかけ、契約を結んで力を流し込む。



「見た目変わらないのね。グリアの場合は少し成長するかと思ったのだけど」


 不老魔法はルネルと同程度の外観年齢に固定する魔法ではなかったのだろうか。やっぱりよくわからない。



「君のイメージが及ばないからではないかね?」


 なるへそ。私が成長したグリアを知らないからか。



「いえ、それはおかしいわ。あのクレアを私は見たことが無かったもの」


 初対面時のクレアはもう少しだけ年上だったし。



「クオレリアの記録に存在せんから、というわけでもないのだね。ミユキ氏は成人女性の状態で転移してきたはずだ」


「不思議ね。でもいいわよね。グリアはそれでこそって感じだもの」


「折角君から力を貰ったのだ。今ならば成人した姿を維持するのも容易かろう」


「それがやりたかったならソフィアに頼めばいいじゃない」


「……」


 何この感じ? 気付かなかったって顔じゃないわね?



「さては既にあるのね? グリアの大人版。私に内緒にしていたのね?」


「……こういう時だけ察しがいいものだな」


「見せて♪」


「断る!」


「ソフィア♪」


「やめんか!」


 むむ。ソフィアも聞いてくれるつもりはないようだ。



「まあいいわ。今のグリアも大好きだもの♪」


「おい! 終いだと言っているだろう! その手を引っ込めたまえ!」


「ふっふっふ♪ 今夜は寝かせないわよ♪」


「やめんか!」




----------------------




「いらっしゃい。ルチア。アウラ」


「本当に離れて良かったの?」

「見てないと心配だよ……」


「少しだけね。実験だから。三日経って問題がなければ二人を戻すわ。それまで二人はシーちゃんの特別講習よ」


 今はセレネにセラフとハルちゃんが、ノアちゃんにノエルとイロハが同化している。代わりにルチアとアウラは私が預かる事になったのだ。



「そうよね。必要な事だものね」

「私頑張るよ! セレネの為だもん!」


 やっぱりルチアとアウラも随分と変化が生じている。元は殆ど同じ存在だったという意味ではセラフ達の状況とよく似ていたのに。二人はノアちゃんとセレネからそれぞれに影響を受けて人格が形成されて今に至るわけだ。ノエルとセラフはどんな風に変化していくのだろう。



「それじゃあシーちゃん、お願いね」


「イエス、マスター」


 ルチア、アウラ、シーちゃんを私世界へと送り込んだ。先ずは向こうでナノマシン関連の技術を学ばせるのだ。


 今回の講習はミーちゃんにも参加してもらうことにした。色々悩んだけど結局ミーちゃん自身も乗り気だし教えてしまう事にしたのだ。未来ミーちゃんの問題もあるけど、あの娘に対抗できる存在も必要だ。ミーちゃんに才能があるのは間違いない。自らの身を守る為にも力は必要だ。



「さて。私はどうしようかしら」


 今はノアちゃんもセレネも側にはいない。ハルちゃんもイロハもシーちゃんもだ。皆敢えてそうしたみたい。もしかしたら罰の意味もあるのかもしれない。なら三日くらいは部屋で大人しくしているべきなのかもしれない。



『私の事をお忘れですか?』


『ヒサメも~』


 もちろん忘れてないけどさ。


『暇なら遊んであげますよ?』


『なにする~?』


 謹慎処分中に羽目を外すわけにはいかないわ。


『なら先輩世界にでも行きますか? アリス達にも会いに行くのでしょう?』


『ろぼ~♪』


 アンジュと一緒に行くって約束だったでしょ。向こうの手が空いたら連絡が来るから迎えに行きましょう。


『お爺さんと話されては? ノアが出払ってしまったうえにニクスも出かけていたので研究所の件も進んでいないのでは?』


 そこは後で顔出さないとよね。


『ルネルも~』


 そうね。顔出すと言えばルネルもよね。色々聞かないとだし。


『触れてあげない方が良いのでは?』


『まち~』


 まあ、アンジュやクロエ達がこっちに合流してからの方がいいか。ならそっちも後回しね。流石に皆来たら挨拶してもらわないわけにもいかないし。


『先に根回しをしておくのも手かもしれませんね』


『むずかし~』


 やめておきましょう。私が動くとまた妙な展開に繋がりかねないわ。


『警戒しすぎでは、と言いたいところですが否定もし辛いですね』


『ぐぬぬ~』


 ところでニクスはどうしたのかしら?


『さあ? 何も聞いていませんね』


『いない~』


 ……もしかして神の座にでも帰ってる?


『噂しても何も言ってこないところを見るに可能性はあるかもしれません。試しに抱き寄せ魔法を使ってみては?』


『とりこみちゅ~』


 まあいいわ。どうせこっちに呼んでも部屋からも出られないんだし。セラフ達の事が心配なんでしょ。好きにやらせてあげましょう。



 取り敢えずコレットちゃんの方を覗いてみよう。あの娘が一番心配だ。皆が付いてくれているとは言え、放りだしてしまった事に変わりはない。せめて最後まで見守る事だけは続けよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ