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40-72.家族会議・続

「少し休憩を入れましょう」


 あれから何時間話し合っていただろうか。フロルとアンジュは本当に細かい所まで話し合い始めてしまった。もう当日のタイムスケジュールまで組めるのではなかろうか。この娘達、それぞれの国の状況が全部頭に入ってるのよね。手元に資料があるわけでもないのに。ほんと凄い子達だわ。



「うむ。よかろう」


 フロルは早々に席を外してしまった。どうやらカノンとトニアと共に作戦会議をするつもりのようだ。何やら話しながら連れ立って退室していった。



「ふふ♪ 流石は皇帝陛下です♪」


 アンジュは何やら嬉しそうだ。ジゼルは疲れ果てている。アンジュのサポートも頑張っていたからね。正直私はもうついて行けてない。



「アルカ。今のうちに少しセラフを貸しなさい」


「ノエルは?」


「必要無いわ。ノアが話をつけているもの」


「何の?」


「気にしないで。ただの取り決めよ」


 ああ。そうよね。人に言いたくない事だってあるものね。セラフがわざわざ言いふらすとも思えないけど、セレネからしたら念押しは必要だものね。



「一応伝えておくけど、ノエルとセラフは普段私の中で過ごしてもらうわ。セレネもそれは承知しておいてね」


「……」


 あ、やべ。怒られる……。会議が長すぎて忘れてた……。



「やっぱりハルとシイナも貸しなさい」


「え? なん、いえ、どうぞ。お連れください」


 ごめん二人とも。悪いけど少し付き合ってあげて。


『がってん』


『イエス、マスター』


 ついでに少しでも機嫌を治しておいてくれると有り難い。今でも多少緊張感は薄れているけど。それだけ会議に真剣だったものね。けど喜んでばかりもいられない。セレネが本気モードという事はそれだけ事態が深刻だという事だ。私もこれ以上気を抜かないように気をつけよう。




----------------------




「お帰り皆。これで揃ったわね」


 私の中にも四人が戻ってきた。



『セレネと何話してたの?』


『言うわけ無いでしょ』

『ですがご安心を。ノアもセレネも私達を認めてくださいました』


 本当に何を話したのよ?


『我慢なさい』

『こればかりは教えられません』


 別に全部教えろってわけでもないのに。


『しつこいわよ』

『切って話せない内容だったという事です』


 わかったわ。もう聞かない。


『二人は自分達の経験を共有すると約束したのよ』


『『イロハ!!』』


『どうせ黙ってはいられないわ。アルカがどれだけ鈍くたって何れは違和感を抱いていた筈よ』


『だからって勝手なことすんじゃないわよ!』

『そもそも何故イロハが知っているんですか!』


『私はアルカでもあるのよ。自分の体に入り込んできた相手の事がわからないわけないでしょ』


『アルカにはわかってないじゃない!』

『イロハが勝手に調べたのですよね!?』


『あたりまえじゃない。あなた達の発生は突然すぎたもの。調べくらいするわよ。私はアルカの守護者でもあるのよ』


 三人とも少し落ち着いて。


『元はと言えばアルカのせいでしょ!』

『自分自身の制御くらいしておいてください!』


 セラフ。ノエル。落ち着きなさい。


『『っ……』』


 イロハも今後はダメよ。勝手に人の心を暴いては。


『甘すぎよ。二人が偽神の罠だったらどうするなのよ』


 それでも受け入れるわ。


『黙って側に置くのは受け入れるとは言わないわ。責任を持ちなさい。万が一この娘達が自らの手でアルカを害せば一番に傷つくのはこの娘達自身よ』


 うん。わかってる。だから今後はね。今回は必要だったと認めるから。ありがとう。イロハ。


『ならいいわ。好きになさい』


 ……ごめん。二人とも。今のイロハの言葉は聞かなかった事にはできないの。


『心配は要らないわ』

『私達も納得しています』


 ううん。ダメよ。これは私の決定。二人をノアちゃんとセレネの分体のようには扱えないわ。ノエルとセラフは既に個人として確立しているの。ノアちゃん達の延長というだけの存在ではないわ。自らそこに戻るような選択は認めない。


『アルカまで勝手な事を言わないでよ』

『私達にも喪失感はあるのです。その穴を埋める為には都合の良い取引なんです。どうか認めてください』


 ダメ。悪いけどこの件はまた後で話し合いましょう。セレネだけでなくノアちゃんとニクスも交えてよ。それまであなた達の意見を聞くつもりは無いわ。


『『……』』


 不服そうだ。なんで今更そんな事を言いだしたのかしら。ノアちゃん達オリジナルからは完全に独立した存在だと自分で主張していたのに。


 ノアちゃん達と話した時に何か原因があるのかしら?


 全部聞かないとだわ。皆して私に黙っていたと言う事はまだ何か隠している事があるのかもだし。けどこれ以上イロハから聞くのは無しだ。信頼を損ないかねない方法は取れない。私は二人から信頼されたい。ノアちゃんとセレネの記憶を持っているからって無条件で信頼を寄せてくれるとは限らない。二人はあの子達とは別人だ。先ずは私がそれを示さないとだ。


『拘る必要は無いわ。気持ちは嬉しいけれどね』

『私達の気持ちは変わっていません。ただそういう力と立場があったというだけの話しです』


 偶然ノアちゃん達と似通った存在として生まれたから記憶の共有が出来るだけだと? それは以前ノアちゃん自身が拒絶した事でしょう?


『誰だって変わるものよ』

『今回はそのノア自身の提案です』


 ならノアちゃんと話し合いましょう。二人がノアちゃんの意見に賛成している事も理解したわ。けど今はここまでよ。


『自分だって散々やってたじゃない』

『ハルカという前例を作っておいてよく止められますね』


 だから言っているでしょう。今の所のこれは私の決定よ。ただ私が不安なだけよ。二人の意見も後で改めて聞くから。


『……ならいいわ』

『アルカの心配は嬉しく思います。そういう事なら私も話し合いには賛同します』


 よかった。わかってくれて。振り回して悪いけどもう少しだけ我慢してね。

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