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40-69.修業と帰還

「うふふ~♪」


「すっかり浮かれポンチね」

「無理もありません。昨夜どころか丸三日もお楽しみだったのですから」


「一日だけのつもりで貸してやっただけなのです。調子に乗りすぎなのです」


 ごめんて。最初だから多めに見てあげて。



「クロエもすっかり伴侶の一員だね」


「オリジナルの私はなんて言うのかしら?」

「私の方は面白がるだけかもしれません」


 相変わらずハッキリしないのね。実はハルちゃんシードまではコピーされてないとか?


『アルカ』


 わかってる。ノアちゃんの変化はハルちゃんの影響じゃないのよね。うんうん。わかってるから。


『そんな誤魔化しに何の意味があるのかしら?』


 無いんだけどさ。



「さて。一旦外に出ましょうか。いいかげんジゼルを連れてきたいし。あれ? そう言えばヤチヨとヒサメちゃんは?」


『まだ盛り上がっています』


「え? そういう事? リリカに叱られないかしら?」


『いえ、そうではなく。ヤチヨの趣味にヒサメが付き合っているのです』


 ああ。サバゲーでもしてるのか。ヒサメちゃんは付き合い良いわね。



「元気があり余ってるならヤチヨに頼もうかしら?」


「クロエ達の教育なら私がやりますよ」

「私はパス。アルカを独り占めさせてもらうわ」


「じゃあセラフは一番目ね。ノエルとヤチヨとヒサメちゃんに教育係を頼むわ。そっちの順番は好きに決めていいから。手が空いたら私と遊びましょう」


「了解です」

「なによ。私一人じゃ不満だっての?」


「なんかセラフの方がセレネより欲望に正直じゃない?」


「私には何も無いからよ。自らに課す役割も、手本を示すべき愛娘も、アルカとの積み重ねさえもね」

「大丈夫です。こんな言い方してますが、セラフは別に自暴自棄になっているわけではありません。ただ単に何のしがらみも無いから好き勝手やれると言っているだけですから」


 なるへそ。



「まあたっぷり可愛がってあげてよ。多少心細いのも事実なんだろうからさ」


 わかってるともさ。けどニクスがそれを他人事みたいに言うのはなんか違くない? あなた生みの親だって自覚はあるのかしら?



「ほら。さっさと行くわよ」

「あ! 待ってください!」


 セラフは一人で先にログアウトしてしまった。ノエルも慌てて後に続く。



「シーちゃんお願い」


『イエス、マスター』



 それから皆で一旦ニクス世界に戻ってジゼルを回収して、再び深層に戻ってきた。



「ひとまずアイリスは無しでも良いですか?」


「良いけど何か問題でもあった?」


「いえ。ついでに私自身の修業も必要かと思いまして。最低限のことは学習してきましたが、アイリス外での感覚の違いを体験しておくべきかと思いまして」


「まあそういう事なら。セラフはどうする?」


「パスよ。パス。さっき言ったでしょ。良いのよ。どうせ今の私達は電子的な存在でもあるんだから。後でノエルの経験をコピーさせてもらうわよ。私とノエルならそう規格も変わらないでしょ」


 なんか妙な方向性に順応してる。



「シーちゃんや?」


『問題ありません。マスター』


「ちなみに私も否はありません」


 そう。ノエル自身に不満が無いなら良いけども。私とハルカがやってる事と同じだし。



「でも気をつけてね。セラフの人格に影響は無いようにね」


『イエス、マスター』


 まあシーちゃんがついてるなら大丈夫だろう。



「さて。じゃあクロエ、ジゼル、アンジュ。ノエル達の言う事を聞いてしっかり頑張ってね。けど気負う必要は無いわ。今回は間に合わせのプチ修業だから。ノエル達もその事を忘れないでね。最低限念話さえ習得出来ればどうとでもなるから」


「やるからには、」


「程々によ。くれぐれもね」


「……そうですか。わかりました」


 よかった。釘刺しといて。危うくハードコースになるところだった。



「それじゃあ、セラフ。行きましょうか」


「待ってたわ! アイリス使うわよ!」


 これは長くなりそうだ。




----------------------




 当初の予定より随分と時間を要したものの、どうにか修業期間が終りを迎えた。まあ今更内容については思い返すまい。大体何時ものやつだし。



「それではアルカさん。後の事は委細お任せください」


「うちも頑張るで! 期待して待っとってや!」


「お願いね♪ 二人とも♪」


居残り組のアンジュとジゼルをマニャール商会に残し、クロエ含む私達はエーリ村へと帰還した。



「アルカ? 中に居るのは誰ですか? 知らない娘が居ますね?」


 え?


『ハルちゃん? 隠蔽は?』


『ばっちり』


 じゃないじゃん……。速攻でノアちゃんにバレてるじゃん……。


『おかしいわね……。気づかれる筈が無いのに……』


 ノアちゃんの成長速度を甘く見ていたのかしら……。



「ごめん。その話はまた後で。悪いけど皆にも内緒にして」


「……まあ良いでしょう。既にジスカール伯一行は到着しています。正確には村の外で様子を伺っている状態ですが。これもアルカの仕込みですか?」


「ええ。まあね」


 クロエに化けて潜入したハルちゃんが上手くやってくれたのだろう。あんがとよ♪ 相棒♪


『おうよ』



「それで? 何故クロエまでここに居るのですか?」


 ああ、そう言えば。ノアちゃんは見てないんだっけ。あかん。ノエルの事もあったからごっちゃになりそう。折角猶予を貰えたんだからこんな所でボロ出さないように気をつけよう。



「この娘がノアなのですね。確かにこうして見てみると違うのですね」


「何の話ですか?」


 クロちゃんや……。もうちょっと気をつけてほしいなぁ……。



「アイリスでモックを見せてもらったのです」


「……アルカ?」


「はい。ご説明致します」


 クロエは一旦返却しとけばよかったなぁ。なんならマニャール商会に置いてきてもよかったかも……。



『どの道必要な事じゃない』

『私のオリジナルは徹底して味方に付けておくべきです。後で拗れれば面倒な事になりますよ』


 そうだね。私もそう思うわ。しかも記憶を共有してるノエルまで言うんだから間違いないわね。



「……アルカ? まさか今アルカの中に居るのは私のコピーですか?」


 ……え? うそ?



「図星のようですね。やはり先に説明してください。どうやら放ってはおけない問題が発生しているようです」


 あかん……。どうしよう……。

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