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8-11.成長と本気

一周年記念パーティーが過ぎて、

暫く経った頃、ようやく私の課題も進歩があった。



そこからはあっと言う間だった。

自分以外の魔力を知覚できるようになった私は、

ルネルの動きや意識がどこに向いているかもわかるようになってきた。


なぜ、魔力が視えるだけでここまでわかるのだろう。


違う。これは魔力じゃない。力そのものを視ているんだ。

ノアちゃんを良く視てみると、

魔力とは別のものを纏っているのが視える。

私は遂に聖女の、神の力という物を認識したのだろう。

今なら、魔王やクレアの姿も違って視えるはずだ。



ルネル達はこんな世界を視ていたのか。

こんなの攻撃が当たらなくて当然だ。


決して私の判断力は高くはないけれど、

二人の動きだって追えてしまう。

何をやろうとしているのかわかってしまう。


少しずつ、ルネルの妨害を回避して、

攻撃を放てるようになっていく。


さらにそこから暫くして、

ルネルから合格と宣言された。



「ようやくじゃな。

まあ、なまじ自身の魔力だけを認識してしまう

人間の魔法使いにはかえって難しいじゃろうしの」


そんな褒められているのかも良くわからない事を言う。



「さて、次のステップじゃ」


ルネルがそう言うと、

今まで視えていたルネルの意識の向きが

一気に溢れて埋もれていく。


今までは一つか二つの事に向けていた意識を

全周囲に広げたようだ。


本当に手加減されていたのだとよくわかる。

今まではわざと私達に認識しやすいようにしてくれていたのだろう。



どうやってそんなの処理してるってのよ!

マルチタスクにも程があるわ!


悪態をついた所で意味はない。

流石にノアちゃんも驚いていたが、

果敢に立ち向かっていく。



以前のように転がされながらも、

ノアちゃんはなんとか隙を見つけようと挑み続ける。


私も負けじと攻めていく。


また最初に戻ってしまったようにも見えるけれど、

今回は私も少し楽しくなってくる。


ここまで明らかな成長があると

気の持ちようも全然違う。


ようやく追いつけたのだから、

このままなんとしても食らいついてみせる。



また暫くして、ノアちゃんが転がされなくなってきた頃、

私もルネルの意識の違いがわかるようになってきた。


ルネルは周囲全体を見ているように見えるが、

当然そんなわけがなかったのだ。


ほんの少しではあるけれど、

意識の向け方に強弱が見て取れる。


強く意識を向けている方にはそれだけ集中しているし、

弱い方はほんの少し隙が生まれる。


私はノアちゃんと一緒に、

その隙を突いていく。


ノアちゃんが仕掛けるのとは別の弱い所を突いていく事で、

少しずつルネルの意識を振り回していく。



そうして、今度は前回よりずっと早く合格を貰う事が出来た。



「二人共良くやった。

これで最後じゃ」


まだ終わってなかった・・・


ルネルは積極的に攻撃してくるようになった。

挙句の果てに瞬間転移まで交えてくる。


私の転移門と違って、

移動先に魔力の動きが視えない。


おそらく自分自身に何かをしている。

それがわかっていてもどうしようもない。

ルネルみたいに魔力の動きで魔法の内容がわかるような知識があるわけでは無いのだから。


力の動きを知覚させる事に慣れさせておいて、

それをぶった切る戦い方をするとは意地悪にも程がある。


あっちこっちに力の残滓を振りまきながら、

瞬間転移でこちらに知覚する隙を与えずに攻撃してくる。



私もノアちゃんも何度も転がされていく。

最初の時より酷い光景だった。


あの時はルネルなら魔王やクレアにも勝てるかもなんて甘いことを考えていたけれど、

とてもそんなもんじゃ無かった。

この人魔王よりずっと強いじゃない!


出力が弱いと言ったって、

ノアちゃんの聖女の力も難なく剥がして攻撃を加えている。

何かあの力についても知っているのだろう。

伊達に千年以上生きてはいない。




その日もまた最初の頃のように、

私もノアちゃんも疲れ果てて地面に倒れ込む。




「まあ、まだまだじゃな。

一撃入れるまでは国を出さんと言ったこと撤回はせんぞ」


ニコニコしながら、

そんな意地悪な事を念押ししてルネルは立ち去った。

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