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40-60.エンジェルズ

「作戦はこんなところかな。ならそろそろアイリスから出てしまおうか。それで一晩ゆっくり休んでから決行だ」


「異論は無いのです」


「ふふ♪ 明日の事は任して♪ うちも頑張るで♪」


 本当にやるの? そんな上手くいくと思うの?


 いや、ぶっちゃけ上手くいきそうだとは思ってるんだけどさ。何せ実績山積みだし。ギヨルド王国の姫、マリアンジュ王女殿下の攻略作戦とかまさに私向けと言っても過言ではあるまい。後はジゼルのセッティングが上手くいくか次第だ。本当に面識もないお姫様といきなり極秘会談なんてできるの? いっそ夜の内に城に忍び込んで攫った方が早くない?



「待ちなさい」

「その前に為すべきことがありますよ」


「名前の件でしょ。悪いけどもう少し待って」


「悩みすぎよ」

「何時ものようにぱぱっと決めちゃってください」


 無茶言わないでよ……。ノアちゃんとセレネにつける名前をそう簡単に決められるわけないじゃない……。



「そう思ったから容姿を変えてあげたんじゃない」

「金髪に天使の装飾。これでオリジナルとは別人です」


 本当にそう思ってる? ぶっちゃけ二人がコスプレしているようにしか見えないよ?



「だからツヴァイとドゥーエだってば。はい決まり。生みの親が名付けたんだから諦めて受け入れなさい」


 ニクスはニクスでどうしてそんな雑なの? 実はその名前本気で気に入ってた?



「私は別に構わないのですが」

「ダメよ。いいわけ無いでしょ」


 カッコよければOKなノアちゃんと、数字で呼ばれるなんて御免被ると断固反対するセレネ。正直私も反対だ。


 名前なぁ……天使コス……。



「なら……ノエルとセラ、えっとセフィラでどうかしら?」


「私がノエルですね」

「私はセフィラね」


「セラフィムにしなかったのはセルフィーと被るから? ならセラフでよくない? セフィラでもセフィと殆ど同じじゃん。それとも例の部隊名が問題? あとノエルは天使でもなんでもないよね? エルってつければそれっぽくなるとでも?」


「ニクスは黙ってなさい」

「流石にどうかと思います」


 ニクスったら。自分は雑につけておいて私の名付けには細かく突っ込んでくるわね。やっぱり娘達の名付けを気にはしているのね。なら雑っていうのは勘違いだったかしら。単に本気で良いと思っているだけなのかも?



「さっきはお母様って呼んでくれたのに……」


 なんか地味にダメージ受けてる。



「仕方がないわね。私はセラフにしてあげるわ。それで満足なさい。お母様」


「っ! うん! ありがとう! セラフ!」


 セレネ二号改め、セラフが落ち込んだニクスを気遣ってくれた。もしかしたらオリジナルセレネよりニクスへの気持ちが強いのかもしれない。



「比べるのは難しいわね」

「オリジナルの感情や記憶は引き継いでいますし、自意識の根幹はやはりその記憶によって生み出されているものですが、それでも記憶はデータに過ぎません。他人の記録映像に近いのです。実のところ、私達にとってはニクスに生み出されてからの僅かな時間こそが全てなのです」


 そうだったの? こればかりは本人達にしか知り得ない感覚よね。それもまたオリジナルとは異なる部分なのね。そもそも頭の仕組みも全然違うんだろうから、オリジナルと同じ思考になるとも限らないんだろうし。



「私はセラフ」

「私はノエル」


「あ。しまった。融合体の名前はどうしよっか。くっつけた時に語感のいい名前の方がよくない?」


「もうこれ以上ややこしくしないでニクス」


 どうにか絞り出したんだから……。



「じゃあ外に出るけど、シーちゃんちょっと相談があるの」


『イエス、マスター。場所を移しましょう』


 皆の下から離れ、シーちゃんの過ごす管制室に移動した。



「ノエルとセラフの肉体サンプルです」


 流石シーちゃん。私のやりたい事は把握済みだ。



「どうしようかしら。幼子の姿にするか、敢えてここは大人にするか。シーちゃんはどっちが良いと思う?」


「天使のイメージ的には幼子の姿が相応しいかと」


「そうよね……けどノアちゃんとセレネの小さい頃の姿って意味ではリヴィとも被るのよね」


「リヴィアは今後も成長する可能性が高いのではないかと」


「そっか。将来的には……決めたわ。幼い姿にしましょう。代わりに二人の融合形態についてなんだけど」


 魂の融合は私とハルちゃんが導ける。けど今回の肉体に関してはシーちゃんの分野だ。ノエルとセラフの肉体もナノマシンで作る事になるからね。折角なら最強の肉体を生み出してあげよう。もちろん戦闘に関してだけじゃなくてね。




----------------------




「これが私達の身体なのね」

「不思議な感覚です。オリジナルの記憶とは大きく異なっているのに違和感がまるでありません」


 さすシー。



「そのまま私に同化も出来るから試してみて」


「「ええ!」」


「最初は私が導きます」


 シーちゃんがノエルとセラフを包み込み、纏めて私の身体へと溶け込んだ。



『ふふ。あはは。あっはっはっはっはっは!!』


 えっと?



『落ち着いてください。セラフ。気持ちはわかりますが』


『これが落ち着いていられるもんですか! どれだけ待ちわびていたと思ってるのよ! 遂に私は果たしたのよ!』


『それはオリジナルの記憶です。引っ張られてはいけませんよ。あなたはセレネではなくセラフなのですから』


「そもそも私との同化ならアイリスで体験した事あったじゃない」


『肉体があるとやっぱり別物なのよ。私達にとってはね』

『オリジナルとはアイリス内での感覚が異なるのです』


 元がデータ上の存在だからかしら? よくわからないわ。



『きっとアルカとも違うわよ』

『オリジナルの感覚に引っ張られすぎれば混乱しそうです。早めに切り離す必要がありそうですね』


 そうよね。ある意味二人は元の肉体を失ったとも言える状況なのよね。ミーちゃんも似たような違和感を感じていたのかしら……。



『心配する程の事ではないわ』

『喪失感より万能感の方が勝っていますから』


 記憶より出来る事が増えすぎてて混乱するわけね。



『そんなところよ。ふふ♪ アルカの血の一滴までもが私の身体と混ざり合っているわ♪ これは最高の気分ね♪』


 大丈夫? なんかハイになってない?



『慣れるまでは私が制御します』


『ちょっ!? シイナお母様!? 余計な事しないでよ!』


 哀れ。セラフ。調子に乗りすぎて保護者制限がかかったらしい。



『仕方がありません。ヘタをすればアルカを傷つけかねませんから』


 なるへそ。皆で住むところだから大切にね。



『それはそれでどうなのよ?』

『もうだいぶ手遅れなのでは……』


 え? なに? どういうこと?

知らないうちに改造でもされてた?



『『……』』


 ちょっと!? 何か言ってよ!?





「40-49」の誤字報告を下さった方! ありがとうございます!

いつも読んで頂けて大変嬉しく思っております!

今後とも是非お楽しみ頂けますと幸いです!

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