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8-8.白猫少女の成長

また暫く経って、段々とノアちゃんが転ばされ無くなった。


私は相変わらず禄に魔法も撃たせてもらえない。

この訓練は想像以上に心にくる。

徹底的にやりたいことをやらせてもらえない。

今にも喚き散らしたくなる程の苛立ちが募っていく。



ダメだ。落ち着け。

冷静さを失ったら、絶対に先に進めない。


自分に言い聞かせながら、

必死に考えを巡らせていく。

けれど、もうやってない事なんて思いつかない。

苦し紛れの思いつきは容赦なく潰される。


ノアちゃんは成長しているのだから、

この訓練にも答えはあるはずだ。


ルネルによって直接教えあうのは禁止されている。

鬼師匠め!


ノアちゃんの行動を見極めよう。

彼女は何を見つけた?

どうやってルネルの動きを追えるようになってきたんだ。



ノアちゃんを良く見ていると、

ルネルが動く前から反応している時がある事に気が付く。


長い訓練でルネルの動きを予測できるようになった?



「アルカ!観察も大事じゃが手も動かせ!」


久々にルネルはそう怒鳴りつけながら、

攻撃を放ってくる。


やっぱ鬼だ!!



けれど、実際の戦いだって、

戦闘しながら相手の事を見極めるしかない。


棒立ちで観察なんてさせてはくれない。


ルネルならそんな訓練なんてさせない。


私はルネルの隙を探そうと走り回りながら、

ノアちゃんの観察も続けていく。



そんな時に、偶然攻撃を放つことに成功する。

しかし、進路上にはノアちゃんがいる!?


慌てて声をかけようとするも、

その前にノアちゃんは回避行動をとる。


今のは明らかに私の魔法を避けていた。

しかも視界にも入っていないのに。

まるでルネルみたいだ。

ノアちゃんも魔力が視えるようになった?


以前、ルネルから聞いたことがある。

魔力を視るとは、目で見る事では無いと。


第六感というやつなのだろうか。


ノアちゃんにも周囲の魔力の動きが視えているのだろうか。


二人は何事も無かったように続けている。


私だけが慌てふためいている。




結局その日も一撃も与える事は出来なかった。

けれど、ノアちゃんは合格だと、

ルネルは宣言した。



「アルカ!」


ノアちゃんは大喜びで私に飛びついてきた。

まって、今受け止める体力が無いの・・・


ノアちゃんは元気ねぇ。

いつも通り私以上に動き回っているのに、

最近では訓練後も普通に生活できる程度には体力を残している。


転ばされなくなって来た事も関係あるのだろうか。



「おめでとう!ノアちゃん!」


ノアちゃんの心底嬉しそうなはしゃぎっぷりに

もやもやした心も晴れていく。


もうこれだけ見て生きて行きたい。



「アルカもそんだけデレデレしてたら大丈夫じゃの」


鬼がからかいに来た。



「ノアちゃんの笑顔が見れたら全部吹き飛ぶもの」


「本当に消し飛んどるのう。

いくらなんでも手軽すぎんか?」


「良いじゃない。

私にとっては何より大事なんだから」


「まあ、良いことではあるがな。

けれど気をつけよ。

執着は良いことだけではない。

お前みたいに元々縁の無かったものに

突然囚われた場合は特にじゃ」


「ノアちゃんとの関係を悪く言わないでよ」


「まったく。ノアみたいに少しは素直であれば、

ここまで苦労することも無いのじゃがな」



うぐぅ・・・

前にも同じような事を言われた気がする。


ルネルが警告してる事の意味くらいはわかってる。

別にノアちゃんとの事を悪く言っているわけではない。


先日ノアちゃん本人からも言われた通り、

私はノアちゃんに執着しすぎているのだろう。

今まで家族以外に親しい友人もいなかった。

エイミーですらお姉ちゃんで恩人という思いが強い。


そこに、家族以上に心を許せるノアちゃんが現れた。


別に突然親しくなったわけじゃない。

私達にだって積み重ねはある。


けれど、まだ出会ってから一年も経っていない。

なのに私の心はあっという間に囚われてしまった。


もうノアちゃんのいない生活は考えられない程に。


そもそも、ルネルは出会ってからの日数の事を言っているわけじゃない。

それくらいはわかっている。


どうしてもノアちゃんとの事だけは

悪く言ってほしくはない。


ルネルにそんなつもりが無いこともわかっているのに。



こうして素直に忠告を受け入れられないのも

ルネルの言っている内容そのものなのだろう。



ルネルはそれ以上何も言わずに帰っていった。


ノアちゃんはいつの間にか私から離れて形稽古みたいな事をしている。


どうやら嬉しすぎてじっとしていられないようだ。


私は疲れ切って地面に倒れたまま

そんなノアちゃんの姿を眺める。



やっぱり、ノアちゃん可愛い。


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