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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
40.白猫少女と帝国動乱・前編

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40-29.仲良し姉妹

「マティ!」


「コレット!? コレットでないか!」


 マティルダはコレットちゃんより少し年上だった。土だらけなマティルダに構わず飛びついたコレットちゃんを心底嬉しそうに抱きしめた。



「驚いたなぁ! こったら大きくなってぇ!」


 コレットちゃんを抱きかかえてクルクルと周り出すマティルダ。まるで帰省先の田舎に住まう従姉妹のお姉ちゃんって感じだ。


 近くにいた村人達も何事かと近付いてきた。コレットちゃんに気付くなり、誰も彼もが親しげに話しかけていく。どうやらコレットちゃんはここの人気者のようだ。全然皇女様って感じの扱いじゃないね。皆本当に嬉しそうだ。



 コレットちゃんはひとしきりもみくちゃにされてから、マティルダの手を引いて私の下へ駆けてきた。



「マティ! この方はアルカ様です!

 凄腕の冒険者なんですよ♪」


「へ~! えらくべっぴんな姉さんね!

 都会っ子って皆こったら感じなん?」


 あら。嬉しい♪



「アルカ様は特別です!

 なにせ我らの主様ですから!」


「主様? 皇女殿下の?

 知らん内に属国にでもなった?」


「そんな所です!」


 こらこら。


 まあ、間違っちゃいないんだけども。



「まだまだ話したいのは山々ですが、先ずは被害状況を教えてください。主様がぱぱっと片付けてくれますから♪」


 主様と呼ぶ割には普通にこき使うよね。コレットちゃん。



「う~ん」


「心配ですか?」


「そだね~。まあでも、コレットが連れてきた人だし。

 きっと大丈夫だべさね~」


 そんなに厄介な案件なのだろうか。



「付いてきて~」


 今度はマティルダがスタスタと歩き出した。



「行きましょう!」


 コレットちゃんが私の手を引いてくれた。

相変わらずウッキウキだ。可愛い。



「暫く前から沢山湧いてきてなぁ~」


 道中、マティルダがこの村で起きている問題について教えてくれた。結論から言うと近くのダンジョンで魔物が溢れ出しているようだ。幸い魔物達は無作為に散らばっている上に、少し離れた大きな街から冒険者達が定期的に狩りに来ているようで、ギリギリ最悪の事態には至っていなかった。




 いやまあ、魔物の氾濫って十分最悪の部類なんだけども。普通はそんなダンジョンが発見されれば、ギルドは討伐隊を組んででも早急に対処するはずだ。


 つまり普通に考えるなら、ギルド一支部がかりで対処しきれない規模の氾濫が起きているという事なのだ。当然その場合は近場の冒険者達にも声がかかる。ここから然程離れてはいない帝都に滞在している、Sランク冒険者のトニアに声が掛かっていないのは不自然だ。


 もしかすると、支部側が報告を上げずに握りつぶしているのかもしれない。支部の査定に響くとかそんな下らない理由で周囲の人々を危険に晒しているのかもしれない。


 そんな事をしたって何時までも隠し通せる筈がないのに。私達が気付いたように、何れ必ず情報は伝わるものだ。



『ええ。聞いてないわ。

 そっちは任せておいて』


 トニアにも念の為確認してみたが、やはり知らなかったようだ。流石のトニアでも、直近の発生かつ意図的に消された情報までは掴めないらしい。


 お言葉に甘えて支部の調査はトニアに任せてしまおう。



『ノアちゃんもお願いね。

 ダンジョンの方はこっちで処理しちゃうから』


『了解です』


 これで良しと。

あの二人なら上手くやってくれるだろう。



「ここまでかな。

 ほら。あそこ。見てみて」


 マティの指す方に視線を向けると、丁度洞窟の入口から狼型の魔物が現れる所だった。



「ダンジョン自体の難易度はそう高くはなさそうね」


 これで何故ギルドが対処出来ないのだろう。ベテランのCランク十組か、Aランクパーティの一組でもあれば十分処理できただろうに。そんなに人手不足なのだろうか。



「まあ良いや。取り敢えず中に入ってみましょう」


 コレットちゃんとマティを引き連れて、出てきた魔物を処理しながら洞窟の入口に向かう。



「はえ~。本当に強いんね~」


「疑っていたのですか?」


「それは仕方ないじゃない。コレットちゃん。

 私こんな格好だもの」


「それもそうですね」


「二人とも離れすぎないでね。

 なんなら手でも繋いでおく?」


「お願いします」


 コレットちゃんは再び私の手を握りしめた。



「うちも?」


「うん。マティも」


 マティの手はこちらから握ってみた。


 二人の手の感触は全然違う。マティはずっとああして村の皆と農園の管理を続けてきたのだろう。それがハッキリと伝わってくる。



「なんか恥ずかしい」


 照れるマティに笑いかけると、顔を真赤にして視線を逸らされてしまった。



「良い調子です♪ 主様♪」


 そう言えば口説けって言われてたわね。



「マティは怖くない?」


「え? うん。大丈夫、です」


 まだ照れてる。もしやこれは満更でもない感じ?



「姉さん! 魔物!」


 突如間近に現れた魔物に驚いて、マティが手を離そうとした。おそらく私の両手が塞がっているのはマズいと考えたのだろう。


 もちろんそんな心配は要らない。マティの手をしっかりと握りしめつつ、ちょちょいと魔術を放って対処する。



「え? え?」


「ふっふ~ん♪」


 何故かドヤ顔をキメるコレットちゃん。



「大丈夫。心配要らないよ。

 私とっても強いんだから」


「そう、ですね」


 なんか距離が出来ちゃった。引かれちゃった?

手も使わず、詠唱等の前準備もなく、突然魔物が風の刃の一閃で事切れるのだ。マティがビビるのも無理はない。



「さあ♪ この調子でガンガン進みましょう♪」


 引かれた分だけ距離を詰めてみよう。



「お、おう!」


 緊張しすぎたのか、何故か勇ましい返事が帰ってきた。



「脅かし過ぎたらダメですよ」


「コレットちゃんが説明してあげたら?」


 私じゃ何話しても驚かれちゃいそうだし。



「少しだけです」


 コレットちゃんは名残惜し気に私の手を離して、マティの反対側に回り込んだ。



「コレット?」


「安心して下さい。マティ」


 今度はマティを真ん中にして、三人並んで歩を進める。


 実はもうダンジョン内の解析は済んでいるから、何時でもボス部屋に転移出来るのだけど。でもまあ、折角だから少し歩いてみよう。あまり時間は無いけどギリギリまではね。

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