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8-7.訓練

訓練を始めて以降は毎日模擬戦を続けていた。



最初はノアちゃんを転がしながら、

私の行動にダメ出ししていくという内容だった。



最近、ようやく私にも攻撃するようになった。

この段階になるとルネルは口は出さなくなったが、

私が魔法を使おうとする度に容赦なく攻撃して発動を潰していく。


それに対して、なんとかこちらも攻撃を加えようと工夫を凝らしていく。



結局魔法については何も教えてはくれない。

この戦いを通して何かを教えてくれているのだろう。

その何かがわからない限り、ルネルに一撃を加えることなど出来はしない。


昔の訓練も似たような感じだった。

ルネルは知識も豊富だし説明も上手いのに、

訓練方法はスパルタだ。

自分で気付くまでひたすら転がされるだけだ。



そうして、私達が立ち上がれなくなると、

その日の訓練も終了する。



「ノアは感が良いのう。もうすぐじゃ。

それに比べてアルカはダメダメじゃな」


「そんなぁ~」


ヘトヘトで身動き出来ない所に追い打ちをかけに来た鬼師匠。



「アルカ!アルカが合格貰うまでは一緒に頑張りましょう!」


ノアちゃんも起き上がれないのに元気一杯だ。

私よりずっと運動量は多いハズなのに。


なんか声が弾んでるし。

というか毎日ハイテンションだし。

ノアちゃん的にはここ最近の日々はとても充実しているのだろう。



残念ながら二人共疲れ切っていて、

夜のイチャイチャタイムは無くなってしまった。


ノアちゃんの髪を梳くだけでも・・・

無理か。私の腕がもう上がらない。



「さて、飯の支度でもしておくかのう。

お前たちも暗くならん内に帰って来るんじゃぞ」


そう言うと鬼師匠は薄情にも一人で帰ってしまった。

私達は置き去りだ。




「そういえば、ノアちゃん。

なんで始めてルネルを見た時に不機嫌そうだったの?」


「・・・良く気付きましたね。

ちゃんと隠せていたと思うのですが」


「なんか真っ黒なオーラ出てたよ?」


「なんですかそれ?

まあ、良いです。

あの事は何でもないので忘れて下さい」


「気になるな~

ノアちゃんの事は何でも知りたいな~」


「面倒くさい絡み方しないで下さい!」


「ごめんね・・・

やっぱり私面倒くさいよね・・・」


「うぐっ・・・

冗談です。そんな事思ってないです」


「じゃあ、教えてくれる?」


「・・・どうせわかってて聞いてるんでしょう?」


「え~わかんないな~

ノアちゃんの口から教えてもらわないとわかんな~い」


「そろそろ本気で鬱陶しくなってきました」


「冗談です!ごめんなさい!嫌わないで下さい!」


「嫌ったりしませんよ。

・・・嫉妬してたんです」


「何で?」


「仲の良い小さい子はいなかったって言ってたのに、

アルカは名前で呼んでるし、ルネルさんちっちゃいし・・・」


「ぷっふふふ」


「何笑ってるんですか!!」


「まって今お腹痛いの笑わせないで!ふっくくく」


「良い加減、怒りますよ!」


「違うのふふ。ノアちゃんが可愛いからとかはちょっとだけなの。ふふふ

そっちじゃなくて、ルネルが、あはは」

「だめ、お腹痛い!」


「自業自得です!」



ノアちゃんはなんとか立ち上がると、

私を放置して歩きはじめる。



「ノアちゃん待って!違うのノアちゃんを笑ったんじゃないの!」


「もう知りません!」


私もなんとか立ち上がって、

魔法で浮いてノアちゃんに追いつく。


そのまま、ノアちゃんにも飛行魔法をかけて、

二人で雲の上まで飛んでいく。


ノアちゃんは私と目を合わせようとしてくれない。


ようやく落ち着いた私はノアちゃんにもう一度謝る。



「ごめんなさい。やりすぎました」


「こんな所まで連れて来るのはズルいです。

逃げられないじゃないですか」


「ノアちゃんを逃がすつもりは無いもの」


「・・・それなら、しょうがないですね」



私達はいつかのように夕日に染まる雲海を眺める


「前にもこんな事がありましたね。

アルカはワンパターンです。

これで私の気を引いているつもりですか?」


「だめ?」


「そんな事は無いですが、

少しは工夫を凝らして下さい」


「ノアちゃんこそ面倒くさい彼女みたいな事言うわね」


「まだ喧嘩したいのですか?」


「いえ、失礼致しました。

もう二度と喧嘩したくないです」


「それは無理ですね。

アルカは絶対に私を怒らせるので」


「うぐ・・・」


「でも必ず仲直りしてあげますから、

アルカも見捨てないでくださいね」


「ノアちゃん!」


私は力の入らない腕で精一杯ノアちゃんを抱きしめる。



「そういう所もワンパターンなんです!」


「でもノアちゃん払いのけないし」


「今は疲れているからです!」


「そっか~」


「・・・はあ。もう良いです。

まともに相手するのも疲れてきました」


「見捨てないでね?」


「見捨てませんよ!

ほら、もう帰りますよ!

暗くなる前に帰ってこいって言われたでしょ!」


「そうね。じゃあ、」


「ゆっくり飛ばないと今度こそ口聞きませんからね」


「・・・はい」


「なんです今の間は!

だからワンパターンなんですってば!」

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