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8-6.実力差

戦闘開始の合図と共に、

ルネルに向かって手のひらを向ける。



そのまま手を握りしめると、

ルネルがいた場所の空間が捻じ曲がる。


私が攻撃した時には既にルネルはその場にいなかった。



本来、空間魔法は挙動が見えない。

いきなり指定した空間を相手ごと歪めて捻じ曲げる。

普通なら避けようがない。


しかし、エルフは魔力に敏感だ。

ルネル程になれば尚の事だ。


空間魔法自体がどれだけ見えなくても、

魔法である以上は魔力の動きが存在する。


ルネルはそんな魔力の動きを見て攻撃を回避する。


長い時を生きて殆どの魔法を知っているルネルには、

魔力の流れだけでどんな攻撃が来るのかすらもわかってしまう。



「空間魔法とはまた懐かしいものを使うもんじゃな。

もう数百年は使い手もおらんはずだが」



やっぱり知っていたか。

魔王のマネごととはいえ、

私の能力で生み出された魔法だろうとお構いなしだ。




今度は爆撃魔法を連発して、

爆風に巻き込もうと試みる。



「せっかく教えてやったのに

またこんな力任せな戦い方をしておるのか。

これは厳しく躾直さねばならんのう」


ルネルは心底呆れたという口調だ。

爆発に巻き込まれたはずなのに、

傷一つ追っていない。


爆発の瞬間、ルネルを覆う球状の水の膜のようなものが見えた。

あれで防ぎきったのだろう。



「それはどうかしらね」


私の言葉と同時に、ルネルの背後からノアちゃんが斬りかかる。


ルネルは見てもいないのに最低限の動作でノアちゃんの攻撃を避けて

ついでのように足をかけて転ばせる。



「ノアのための目眩ましか。

ノアの気配は妙に視づらいからな。

確かに有効な手じゃ」



聖女の力を持つノアちゃんは殆ど魔力を持たない。

魔力で相手の位置を探っているルネルにはノアちゃんの位置はわからないのではないかと思った。


わざと爆発と一緒に魔力を撒いて気配を紛れ込ませたのに、

結局簡単に避けられてしまった。


驚愕したノアちゃんだったが、

直ぐに私の前まで戻ってルネルに向かって構える。



「なぜ攻撃を続けない?

ノアに当たるのを恐れたのじゃろ?

お前たちの信頼はその程度なんじゃな」





私は杖を取り出そうと収納魔法を開く


「やめておくのじゃ。その杖を使えば容赦なく破壊する。

この国にいる間それを使う事は認めんぞ」



私は杖を諦めて収納魔法を閉じる。

ルネルはやると言った以上絶対にやる。


「私はこの杖を使いこなしたくてルネルに会いに来たのよ?」


「そのための力は与えてやる。

甚だ不本意じゃがな」


「確かにこの杖は危険な物だけど、

何でそこまで嫌っているの?

ルネルは過去に似たような物を見たことがあるの?」


「なんじゃお主知らずに使っておるのか?」


「この技術がドワーフの国を滅ぼしたこと?」


「それを知っておって使っとるのか。

ますますがっかりじゃな。手段は選ぶものじゃ。

それに問題はそれだけではない」


「いったい何があるのよ」


「自分で気づくんじゃな。

馬鹿弟子には呆れはてたわ。

ほれ、何時までも喋っておらんで続けるぞ」



そう言うなり、今度はルネルから近づいてくる。

魔法使いのくせにノアちゃん並の速度だ。

しかも全然本気じゃない。



ルネルに向かっていくノアちゃん。

またあっさり転ばされてしまう。


私は転移門を足元に開いて落ちるように

上空に転移する。


そこから自身にバフをかけていき、

上空から落下の加速も加えてルネルに突撃する。


「お主は大人しく後ろにおれ」


私を簡単に弾き飛ばしてルネルは再びノアちゃんに向き直る。


「接近戦はルネルから教わったのよ?」


「あの時はそれが必要だったからじゃ。

今はノアと一緒に戦っておるんじゃろうが。

相応の戦い方をせい」





私はノアちゃんにバフをかけて、

ノアちゃんの動きを補助するようにルネルに攻撃を加えていく。


「アホ弟子!ノアにかけた魔法は余計じゃ!

魔力が視えている事は知っていようが。

ノアがせっかく気配を隠しているのに台無しじゃ」


ルネルに指摘されて、慌ててノアちゃんにかけたバフを解く。



「ノアちゃんごめんなさい!」


「大丈夫です!続けますよ!」



そんな調子でルネルに叱り飛ばされながら、

何度も何度も二人で攻撃を仕掛けていく。



結局一撃も当てる事は出来なかった。


勝てる気がしないとは思っていた。

けれど昔よりずっと強くなったのだから、

もう少し戦えると思っていた。


なのに昔より更に実力差が広がった気さえする。


自分の実力が上がった事で、

ようやくルネルの強さが少しわかったのだろう。




「まあ、まだまだじゃな。

今回は一撃入れるまで国からは出さんからな」




この国出る前に寿命が来ちゃう・・・

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