40-4.猫耳の秘密
「ノアちゃんや」
「なんですか。アルカさん」
ノリが良い。
すっかり向こうの文化に染まってるなぁ。
「もうマキナをリヴィの専属にするのは無理じゃない?」
「……そうなります?」
「神様だからね。
同化とか出来ないでしょ」
いや、シーちゃん技術なら出来るかもだけど。
マキナは私達全員の集大成的存在だし。
他に方法があるのかもしれない。
なんだっけ?
たしか半神である私の分体に、女神ミーシャの細胞の一部を移植して、ドラゴンと人魚と吸血鬼の複合魔石を埋め込み、シーちゃんのナノマシンも融合させたと。あとハルちゃんシードもか。ルネルの記憶とダンジョンコアが生み出した吸血鬼としての魂やら存在の核やらも埋め込まれている筈だ。
ノアちゃんの要素である耳と尻尾も付いてるんだよなぁ。
あれは獣人であるノアちゃんの細胞も入ってるって事?
それともナノマシンで作ってるだけ?
『両方です。マスター。正確には埋め込まれたノアの細胞を元に成形されたナノマシンの塊です。密度が高すぎて必要分を体内に収めきれなかったのです。ナノマシンの格納スペースの役割を担っています。加えてそれぞれ耳と尻尾としての機能も備えています』
なるへそ。
あれ?
つまり全身をナノマシンに分離するのは出来ないの?
シーちゃんやエルナがやるみたいなやつ。
『可能です。
ただその全てをリヴィの体内に収めるのは不可能かと』
ならやっぱダメじゃん。
「誤算でした。どうやら少々調子に乗りすぎたようです」
そこ? 今更?
「酷いわ……ノアお母様……」
「違います! 違うのです! マキナ!
マキナが想像以上で嬉しいのです!
大丈夫です! マキナ! 母はマキナを愛しています!」
ノアちゃんが必死だ。
「アルカ」
「おいで。へーちゃん」
「うん!」
お。アルカ以外も喋れるようになってる。
「おかえり~♪
へーちゃんも頑張ったみたいね♪」
「うん!」
可愛い。抱きついてグリグリしてくれてる。可愛い。
「ノルンとミーシャもご苦労さま。
帰ってきてくれて嬉しいわ」
「まだまだよ!
少しだけ休んで一旦力を馴染ませるのよ!」
イオスが割り込んできた。
口を開きかけたノルンとミーシャが一歩下がってしまった。
仕方ない。後で時間を取ろう。
「少しってどれくらい?」
「小春達がここを出るまでは付き合うわ!」
なるへそ。神様感覚。
馴染ませるって事は、まだ詰め込んだだけなのか。しかも口ぶり的にまだまだ詰め込み足りないようだ。いったいイオスはどこを目指しているのだろう。いやまあ、目的は私の力を増やす事なんだけども。
つまりは、女神達に詰め込まれた力は最終的に私に流れ込んでくるわけだ。私、破裂するんじゃないかしら……。
「小春! もっと増やしなさい!」
「何を?」
突然なにさ。
やっぱ受け入れる側の私が何か足りてない?
「マキナと同じ子よ! あと三人は産みなさい!
でないと必要分に足りないわ!」
えぇぇ……。そっちぃ……。無理だよぉ……。
いやまあ、最初の千人って話よりは随分と抑えられているけども。それだけマキナのポテンシャルが高いのだろうか。それともニクス達が奮闘してくれたのだろうか。
「ダメだってば! お母様!
私達が頑張るから無しって言ったでしょ!」
「それこそダメよ!
私は必要以上にニクスを苦しめたくないの!」
あら。イオスも素直になったのね。少し見ない間に。
ところで他の子達は? ノルンとミーシャは?
へーちゃんとマキナは? 全員に優しくね?
「ノアちゃんや」
「ダメですよ。アルカさん」
察しが良い。
「いや、でもだよ?」
「でももだってもありません。
神の量産は流石にセレネが認めません。
アルカだってそれはわかっているはずです」
そりゃあまぁ。
むしろノアちゃんよりよくわかってるよ。うん。
「取り敢えず会議を始めましょう。
イオスの話も皆で聞いてみましょう」
「そうですね。許可が出るならやぶさかでもありません」
本当に反省してる?




