表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
39.白猫少女と王国騒動

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1153/1424

39-23.仲直り?

「お祖母様!!」


「エリス!

 くっ! やはりその手で来ましたか!」


「違うわよ。母様。小春の差し金じゃないわ。

 むしろ反対してたの。母様の神経逆撫でするだけだって」


「そう……ですか……」


「エリスを連れてきたのは私の判断よ。

 凄いのよ。エリスったら今の私より強いんだから」


「いっぱい頑張ったの!

 だからね! エリスね! お祖母様にも見て頂きたいの!

 こっちよ! 一緒に来てくれる?」


「え、ええ」


「エリス、転移で移動するわよ。

 もうあんまり時間ないからね」


 エリスには小春と母様が仲違い中だとは言っていない。

聡いエリスならすぐに気付くだろうけど、わざわざ伝える必要も無いだろう。エリスに期待するのは母様の怒りを解きほぐす事だ。癒やされてもらう事だけだ。その為には余計な情報は必要ないはずだ。



「うん! わかったわ! ベア姉ちゃん!」


 素直でよろしい。


 訓練場に三人で移動すると、先に来て待っていたマノンが駆け寄ってきた。



「お祖母さま。どうか私共の成長もご覧くださいませ」


 母様に一礼すると、早速少し離れた所でエリスと向かい合うマノン。これから二人の模擬戦を観せてくれるのだ。本当は母様に挑んでもらおうかとも思ったけれど、これ以上負けが続くとかえってヘソを曲げてしまうかもしれない。観戦でも十分今の二人の技量は伝わるはずだ。甘えてもらうのはその後にしよう。先ずはエリスがどうしてここに居ることを望んでいるのか理解してもらわないと受け止められないだろうから。



「本当に強くなったのですね。あのエリスまでもが」


 早速効果が現れた。

母様はエリスの成長に素直に感心してくれた。


 母様もエリスの想いは当然知っていた。だからこそ母様は多忙な身でありながら、自らも直接エリスを鍛えていた。それを横から掻っ攫った形になった小春が会わせづらく思うのも当然なのだろう。けど母様はそんな事を気にする人じゃない。いいえ。気にはしているだろう。腹の中の奥底には秘めているのだろう。私にもそれがようやくわかった。けどそんな感情を表に出す人じゃない。素直にエリスの成長を喜んでくれている。悔しさや自身への不甲斐なさよりも、先にそんな感情が浮かぶ人なのだ。本来の母様はそんな優しい人なんだから。



「母様も手合わせしてみる?」


「……いいえ。やめておきましょう。

 今のままでは格好もつきませんから」


 正直ここまで素直に口にしてくれたのは驚きだ。

母様は優しい人だけど、負けず嫌いでもあるのだ。



「ならいっぱい褒めてあげて。

 きっとエリスも喜ぶわ」


「ええ。言われずとも」




----------------------




「アルカさん」


 ニクス世界の我が家の一室で待っていると、何やらスッキリした表情のお義母様が現れた。



「先程は失礼致しました。

 少々言葉が過ぎたようです」


 おっと?

これはどういう風の吹き回し?

エリスやマノンがよっぽど上手くやったの?

それともツムギがなにか?



「アルカ」


 あかん。ノアちゃんに急かされちゃった。



「いいえ。こちらこそ。

 どうか仲良くしてくださると嬉しいです」


 取り敢えず手を差し出してみる。

お義母様は然程躊躇う事もなく私の手を握り返した。



「会議を再開する前に少しお茶にしましょう」


 ノアちゃんとステラが手際よく準備を始めてくれた。



「よくぞエリスをあそこまで鍛え上げてくださいました」


 え?

模擬戦でも見せちゃったの?

それともまさかお義母様と?



「いいえ。私は師を紹介しただけなの。

 近くに私達皆のお師匠様も住んでいるから」


「ならばそのお方にも礼を伝えておいてください」


「ええ。わかったわ」


 あら?

嫌味っぽい感じはしない?

本当にもう怒ってないの?



「ちなみにエリスとはどんな話を?」


「……」


「あ! いえ! 無理にとは言わないわ!

 ごめんなさい余計な事聞いて!」


「いえ。エリスはこの家が好きなのだと。

 そう言っていましたよ」


「そっそっか! あはは! そう! それは良かったわ!」


「落ち着きなさい。小春。

 大丈夫よ。そんな爆弾みたいに扱わなくても」


 いや、だってほら。

こうなった経緯がわかんないんだもん。

何が地雷かもわかんないから普通に怖いんだけど……。



「本当に感謝しているのです。

 エリスの事については。私には成せなかった事ですから」


「うっうん。はい。わかりました。

 そっか。うん。そうよね。エリス、見違えたものね」


「本当に。ベアトリスといい、いったいどのような手を使ったのかと。是非我が国にもその術を提供して頂きたいものです」


「えっと、流石に全部は無理だけど、エリスの事なら説明出来るわ」


「よろしいのですか?」


「ええ。これはむしろ広めてもらって構わない情報だから。

 そうしたらエリスみたいに悩む子も減らせるだろうし」


 そんな子がそうそういるとも思えないけど。

とはいえ可能性が無い話でもない。

神力自体はそう珍しいものでもないのだから。



「私達は神力と呼ぶのだけど、この世界には魔力とは別の力も存在するの。そして生まれつき神力を持つ者は魔力が使えないの。エリスの場合は神力も極わずかにしか持っていなかったから、どちらも満足に使えない状態だったのよ」


 魔力と神力は出どころが同じだからね。神力は魔力を通さない程密度の高い力だから結果的に入口を塞いじゃうのだ。


 そしてこの世界の剣士達は多かれ少なかれ魔力か神力を使って身体能力を上げるのがデフォだ。これは殆ど無意識レベルのものだけど、大抵の人が自然と身につけられる事だ。


 エリスはそこで大きくハンデを背負っていた。

この世界では魔物を狩ってレベル上げとかも無いからね。

生まれ持った素質が殆ど全てと言っても過言ではない。

まあ、エルフの場合はまた少し話しが違うんだろうけど。


 ともかく、私が力を与えた事でエリスの問題は解消した。

他の子達の場合は神力を自覚する事である程度は解消出来るはずだ。神力を使いこなす事で魔力を目覚めさせる事だって出来るのだから。きっと今のエリスなら私の力の供給がなくなったとしても十分な強さを得られるだろう。昔のノアちゃんのように、少ない神力だって上手く使えば有効な手段足り得るのだから。少なくとも普通の人達の基準で考えるなら。



「それがマリア達剣聖一族の力の正体ですか?」


「ええ。そうよ。剣聖の先祖は勇者ミレアだからね。

 ミレアは神ニクスから直接その力を授かったの。

 神力って遺伝するのよ。とは言え、親より多くなる事は決して無いのだけど」


 増やすなら後天的に身につけるしかない。

とは言え普通の人が自発的に出来る事でもないけど。

魔力もそうだけど、鍛えて増やせるわけじゃない。


 私が以前複合魔石に手を出す事になったのも、それが主な要因だ。当時の私も例外ではなかった。魔力を自発的に増やす事が出来ないから、魔力電池のようなものが必要になったのだ。そう言えば複合魔石……作っちゃったんだよなぁ。マキナどうしてるかなぁ。ニクスまた怒るかなぁ。やめやめ。今考えてもしょうがないんだから。もう既に一度怒られてるし大丈夫さ。きっと。


 まあ、これもエルフはまた例外なんだけども。

だからこそこの世界のエルフは強いのだ。

他の種族とは隔絶していると言っても良い。


 まあ、そっちもまた別の話だ。

お義母様にもエルフの事は話せないし。



 だから神力は基本的にはニクスに授けてもらうしかない。

もしくは私のように力ある者を隷属化に置いていくかだ。

私の家族なら私から供給するって手もあるけども。



「なるほど。良い話を聞けました。

 そうですね。私も考えを改めましょう。アルカさんの持つ知識はただ恐れて遠ざけるべきものでもないのでしょう。ですからどうか我々にもご教示ください。我が国とも友好的な関係を築いてくださると期待します」


「えっと。はい。それは勿論構わない、です。けど。

 出来れば私としては、お義母様とも個人的に仲良くしたいなぁと思っているわけでして……」


「……努力はします」


「あ、はい。ありがとうございます……」


 これで仲直りで良いの?

なんかまだ足りてない気もするけど、取り敢えず前向きにはなってくれたようだ。


 エリスはいったいどんな魔法を使ったのかしら?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ