8-4.白猫少女のカウンセリング
「ノアちゃ~ん!良い加減拗ねるよ~!」
ルネルの家で生活し始めてから、
ノアちゃんが全然、私の相手をしてくれていない。
遂に我慢できなくなった私はうざ絡みしてしまう。
「仕方がないですね。
今日は一日アルカの相手をしてあげます」
本当に仕方がないって感じにノアちゃんは言う。
「ノアちゃん私の事嫌いになっちゃったの?
鬱陶しいの?」
「そんなわけないでしょう。
なに面倒くさい人みたいなこと言ってるんですか」
「だってここに来てから全然二人きりになれて無いし、
ノアちゃんずっとルネルとお話してるし・・・」
「すみません。ちょっと放置しすぎましたね。
まさかアルカがこんな風になるとは思いませんでした」
どんな風に見えてるんだろう?
「ルネルさん、すみませんがちょっと失礼しますね。
アルカがおかしくなっちゃったので修理してきます」
ノアちゃん?
気にするなと笑うルネルを置いて、
私の手を引いて借りている部屋に向かうノアちゃん。
部屋について二人きりになると、
私を抱きしめながら語りかけてくる。
「アルカ。大丈夫です。
私はアルカから離れる事は絶対にありません。
ずっと一緒にいると約束したでしょう?
そんなに不安にならなくても大丈夫です」
「アルカは特別会話が好きなわけじゃないですものね。
一緒に話に入れば良いとかそういう問題でもないのでしょう」
「私ももう少しアルカの事を気に掛けるべきでした。
ルネルさんとのお話が楽しくて、
つい放置してしまいました」
「わがまま言ってごめんなさい」
「良いんです。
今はセレネも忙しくて会えないのですから、
アルカは私だけが頼りなのでしょう?
それ自体は嬉しいことです」
もうどっちが保護者なのかわからない・・・
暫くの間、部屋で二人きりの時間を過ごした。
ノアちゃんは私を元気付けようと沢山甘えてくれた。
私の喜ばせ方を良くわかっていらっしゃる・・・
そうして私が落ち着くと、
再びノアちゃんは話を始めた。
「アルカ。もっと沢山の人と仲良くなりましょう。
私やセレネ程とは言いませんから。
今回アルカが不安になってしまったのは、
それだけ私達に依存してしまっているからです。
私は嬉しいですが、それは健全な事ではありません。」
「ルネルさんはお師匠様なのでしょう?
きっと他の人より簡単に仲良くなれます。
実際にアルカも名前で呼べているじゃないですか。
なら、あと少しです。
もう少し頑張って、普通に話せるようになりましょう。
そうしたら、誰か一人に依存しなくても生きていけるようになりますから」
「わかったわ。ノアちゃんママ」
「誰がママですか!
今真剣な話をしてるんです!
茶化さないで下さい!」
ノアちゃんから諭されてつい気恥ずかしくなってしまい、
誤魔化すために茶化してしまった。
本当に私は何をやっているんだろうか。
こんな小さな子に甘えて頼って叱られて。
それでも今だけは、
ノアちゃんに甘えてしまおう。
それだけ私の心は弱くなってしまった。
一人で居た頃はこんな事はなかったのに。
訓練の事もすっかり忘れてしまうくらい、
ノアちゃんの事で私の心は乱れてしまった。
それからルネルの所に戻り、
二人で謝ってまた話を始める。
今度は私も混ざれるようにノアちゃんが話を振ってくる。
そうして、夜は眠る前に二人きりの時間を作ってくれる。
そんな日々がまた数日過ぎていった。