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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
39.白猫少女と王国騒動

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39-19.ギスギス会議

「ダメだってば。観光は無し。

 ハッキリ言ってお義母様にはそこまで見せられないの」


 だって仕方ないじゃない。

未だに私のこと嫌ってる人に見せられるわけ無いんだから。そんな人が約束守るとは限らないでしょ。例え本人がどれだけ義理堅くたって関係ないのよ。



「母様ならその辺はちゃんと分けて考えられるわ。

 政治の事と個人的な感情は別の話よ」


「出来てなかったじゃん!

 思いっきり私情で振り回したじゃん!」


 なんでツムギまでそっち側なのよ!

仲直りしたからってお嫁さんよりお母さんとる気なの!?



「ノアちゃんもなんか言ってあげてよ!」


「……正直な話、別に良いのでは? と思うのですが」


「ノアちゃんまで!?」


「違いますよ。私はアルカの味方です。

 ですが、見せた所で真似が出来るとも思えないのです。

 それだけここの技術は隔絶しています。

 そういう意味で見せても構わないのではと思ったのです」


「ノアちゃんの言い分もわかるけど……」


 とは言え、万が一が無いとも限らない。

別に機械で再現する必要はない。魔道具や魔力で似たような事を成し遂げるかもしれない。それはそれでまた別の技術体系にもなり得るけど、何にせよニクスの許可も無しに良いよとは言えないのだ。



「とにかく今日はダメ。

 今は神様が研修中で不在なの。

 神様の許可なくして勝手な事は出来ないわ」


「神にも上位存在や組織のようなものが存在するのですね」


「そういう所が信用出来ないんだってば!

 余計な事探り出さないで!」


 もう! もう! もう!

いい加減送り返しちゃうわよ!?



「今のはお主が勝手に口を滑らせたのじゃろうが」


「意地悪言うならお開きよ! フロル!」


「そう怒るでない。

 そうじゃな。ならば共同研究や後追いならば良いのか?」


「ヴァガルとムスペルがって事よね。

 それならまあ。当然世界に広まっても構わない技術しかヴァガルにも持ち込まないし」


「うむ。結構。

 ならばその路線で話を進めよう」


「当然やりすぎれば取り上げるからね。

 私達の想定を越えて派手に手を広げるのはダメだからね」


「それはムスペルからもという事ですよね?

 あなたはいったい何様のつもりなのですか?」


「神の使徒、代行者だって言ってるでしょ、お義母様。

 まだボケるには早いのでは無いかしら?」


 あかん。またギスギスしかけてる。

私達がここで喧嘩したら全部台無しになっちゃう。



「ダメよ母様。そんな言い方したら。

 今のは母様が悪いわ。謝って」


「……言葉が過ぎました」


 しっぶしぶだぁ~。



「私も言いすぎたわ。けどこれだけは信じて。

 本当に神様は世界の為を想って頑張ってるの。

 人知れず何千年も守り続けてきたの。

 その努力を軽んじるような物言いだけはしないで」


「……無茶を仰りますね」


「何が無茶だって言うの?」


「我々にはその神との面識が無いのです。それで信じろと言うのは乱暴すぎます。民が王の言葉に従うのは王がその権威を示すからです。王が城も持たず、人前に出ず、誰も従えられず、何の成果も示さなければ民は王の力を疑うでしょう。

 アルカさん一人では城や兵士達の代わりにはなり得ぬのです。いいえ。もちろんそれ以上の価値がある事は理解しています。ですが、多くの人間が従うというのはそれだけで信頼を生み出すのです。神に付き従う者がアルカさん一人では説得力に欠けています」


 勇者と聖女もいるから、実際には三人だけど。

まあ今はそういう話じゃない。一人が三人になっても大差はない。求めているのは数だ。実績だ。即ち信者達の話だ。



「そう出来ない理由があるの。だから使徒は一人だけなの。

 今の時代に信者が少ない理由も歴史を紐解けばわかるはずよ。あの神は世界中の人達に忘れ去られても世界を守り続けてきたのよ。その行いは立派なものだわ。決して侮るべきことじゃない」


「あなたでは神に寄りすぎています。

 それでは公平な言葉とは言えないでしょう」


「それは認めるわ。

 何せあの子も私の伴侶だもの。肩を持つのは当然よ。

 けどお義母様が重要視しているのはそこじゃないでしょ」


「そうですね。

 どの道アルカさん一人の言葉では信用できません」


 ハッキリ言うものだ。

まったく。やり辛いったらない。

こんな人を腹の中に招いたのは間違いだったかも。



「残念ながら信者を増やすにはまだ時間が必要なの。

 お義母様が生きている間に信じる事はありえないわね。

 なら結論は一つよ。技術提供は一切しないわ。

 きっとあの世界の人間達には早すぎたのよ。

 もう五十年は今のままで見守るとしましょう」


 この人一人の言葉で世界の技術レベルが五十年遅れるのはちょっと面白いかも。一周回って。


 まあでも。仕方ないよね。

別に私達は五十年程度苦でもないし構うまい。


 それに予定通り、先にムスペルとは遠く離れた教会のある町、クリオンをモデルケースにしてしまいましょう。あそこで発達した技術ならムスペルに伝わるのも時間が掛かるでしょうし。



「それでは困るぞ」


「ダメよフロル。これは決定よ」


 貴方達がごねるからこうなったんじゃない。

聞き分けの悪い子達に玩具はあげられないのよ。



「はいじゃあ結論も出たしそろそろお開きにしましょうか」


「待って! 小春!」


「何? ツムギ?」


「私が代わりに謝るから!

 あっちの国の事も制御するから!」


「ダメよ。

 ツムギにそんな力無いでしょ。

 出来ない約束は結べないわ」


 散々王妃の事で私達を頼ってきたじゃない。

この人が国の中枢にいる限りは無理だよ。あれだけ歓待してもまだこんな事言うんだから。もう心の底から私の事が嫌いで堪らないのだろう。


 まあそんな状態で娘を頼むなんて言えるんだから、凄い人ではあるのだろう。少なくとも自制心が無いとは言わない。


 けどそれでもだ。

そもそもツムギは私達家族と一緒に暮らしてもらうんだ。

そんな事の為にムスペルに常駐するのは少し違うだろう。



「やはり危険ですね。

 あなたの一存で世界はいくらでも振り回されてしまう」


「それをお義母様が言うの?」


「ええ。当然です。私はむしろ世界の為になる事をしたと自負しています。技術は封じ、アルカさんには引き籠もって頂く事こそ世界の為になることでしょう」


「母様!!」


「アルカよ。勘違いしてもらっては困るぞ。

 わらわはお主の側に付く。例えムスペルと敵対してもな」


「ダメです! 姉様! そのような物言いは!」


 なんかより険悪になってきた。



「ダメですよ、アルカ。このままお開きにしては。

 関係を修復せずに解放しては元の木阿弥です。

 折角前向きになりかけていたのです。

 先ずはこの空気をなんとかしてください」


 いや、そうだけどさ……。

ノアちゃん厳しいなぁ……。



 はぁ……。やっぱやる気湧かないなぁ。

そうだよね。自分を嫌ってる人との話し合いなんて楽しいワケがないよね。大人な心で寛大にったって限度があるよね。


 どうしたもんかなぁ……。

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