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8-3.エルフの日常

私達はルネルに先導されて、

長老の元を訪れる。


話は通っているのか、

既に長老は待ち構えていた。



「良く来たわね。アルカ。

本当に人間族の成長は早いのね」


「久しぶり。元気?」


長老さんはエルフとしてもかなり高齢だ。

見た目は老婆という程ではないが、顔には皺が浮かんでいる。


ちなみに、一見幼女にしか見えないルネルは長老よりも年上だ。

本人曰く厳密には種族が違うそうだ。


それなら周りからもっと敬われていても良さそうなものだが、

本人が嫌がる事と、容姿や普段の言動からか

皆ルネルには気安く接している。

この長老さん以外は。

この二人はどうやら昔いろいろあったようだ。



「ええ。変わりないわ。

アルカこそ壮健かい?

ちょっと見ない間に子供まで作ってくるなんてね」


「ノアと申します」



ノアちゃんもどうやらエルフの国では娘で通すつもりらしい。

珍しいこともあるもんだ。

いつもなら否定してしまうのに。




エルフは排他的と聞いているからかな?

私の娘なら相手に悪感情を抱かれにくいと思っているのかもしれない。


厳密にはエルフは排他的なわけではない。

皆気さくな人達だ。

仲良くなりさえすれば、こうして招かれる事も珍しくはない。


ただ、大半のエルフが国から出ないことと、

初めて国に入ろうとする者はよっぽどの理由がない限りは森で追い返してしまうからだ。


逆に言えばエルフ達が納得出来る理由さえあるなら普通に通してくれる。

その辺りの事は殆どの人間には知られていないけれど。


彼らは単純に門番としての仕事をしているだけだ。

興味本位で踏み込んだ人間たちが追い返されている内に、

いつの間にかエルフは排他的という考えが広まってしまった。


元々エルフの国と人間の国に国交は無いので、

エルフ達もこの事をたいして気にしていない。




しばらく長老さんと談笑をして、

私達はルネルの家に滞在することになった。



「ルネルさんはアルカとどうやって知り合ったんですか?」


「前に旅をしてた時に助けてやったんじゃ。

そこでいろいろ気になって弟子にしたんじゃよ。

アルカは人間にしてはやたら強い魔法を使うくせに

戦い方が全くなっとらんくてな」


「無理やり連れて行かれた」


「お陰で今生きとるんじゃろうが」


ガハハと笑うルネル。



「ルネルは厳密には戦い方の師匠なの。

魔法を使って戦う立ち回りを教えてくれたの。

その頃の私は、ちょっと強い冒険者にはなっていたんだけど、

強い魔法で無理やり押し通すみたいな戦い方ばかりでね」


「アルカが沢山しゃべっとる!」


私がノアちゃんに補足すると、

それを聞いたルネルが驚愕する。


ノアちゃんがルネルにいつもの説明をする。

私が人見知りってやつだ。



「それは面白くないのう!

今回は普通に喋れる様になるまで帰さんのじゃ!」



なんか変な課題が追加されてしまった。

まあ、この国なら敵もそうそう手出しはできまい。

少し位滞在期間が長くなっても構わない。



結局、そこからはルネルが私に喋らせようと話しかけてきたり、

私の人見知りを解消する作戦を立てるために、

ノアちゃんとルネルで話し合ったりしている内にその日が終わってしまった。

魔法の習得は明日から頑張るとしよう。




ノアちゃんとルネルはすっかり仲良くなった。

翌日も朝から二人で仲良く話をしている。



ノアちゃんが全然私にかまってくれない!


我慢できなくなった私は、

ノアちゃんを抱きかかえて膝に乗せ、

後ろから思い切り抱きしめる。



「突然なんですアルカ?」


「なんじゃヤキモチか?」


ルネルと話していたノアちゃんが

突然の私の奇行に胡乱げな声を出す。

ルネルはニヤニヤしてる。


私はノアちゃんの肩に顔を伏せて

無言で抱きしめ続ける。


結局ノアちゃんは

何も言わない私を払いのけることもせず、

そのまま会話を続けた。



その日も結局訓練は行わずに一日が過ぎていった。








「ルネル魔法教えて」


数日経っても禄に家から出ることもなく、

話し続けていた二人にしびれを切らした私。


エルフの時間間隔でのんびりされたらたまらない。

珍しくノアちゃんまで引きづられてるし!


まあ、それだけルネルの話は楽しいのだろう。

なんてたって千年以上生きているのだ。

人生経験が違う。見た目幼女なのに。



「もう少しゆっくりしていっても構うまい」


「そうですよ!せっかく久しぶりにのんびりできるんですから!」


ノアちゃんまで敵に回ってしまった。

いまだシリアスモードが解除出来ていない私を気にしているらしい。


でも、今の状況で私までのんびりモードに入ったら

下手すると数ヶ月何もせずに過ぎるわよ?

流石にそれはマズイと思うのだけど。



「大丈夫です。

アルカがいつまでもだらしなくし続けたら、

今度は私が叩き起こしますから。

遠慮なくだらけモードに入って下さい」



どうやらノアちゃんは引く気が無いようだ。

ところでなんでだらけモードって言い換えたの?

私そんなにだらしなく見えてるの?


ノアちゃんは私の膝に乗ってくると、

私の手を自分の腰に回す。


くっ!そこまでするのか!

卑怯なり!



結局流されてそのまま、また数日が過ぎた。


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