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8-2.師匠

「こんのバカ弟子がー!!!」



町に着くなり、金髪幼女からドロップキックを受けて吹き飛ばされる。



「ルネル痛い」


「お前達も何を考えているのじゃ!

このアホンダラどもめ!」


私とノアちゃんを連れてきたエルフさん達に向き直って

キレ続けるルネル。



「アルカ!その物騒なもんこの国に持ち込むのは許さん!」


私の持つ杖を指してルネルはそう言った。

この杖の力を一目で見抜いたのか。

相変わらず凄い人だ。


エルフは自身の魔力ではなく、

周囲の魔力を利用して魔法を使う。


強制的に周囲の魔力を奪い取るこの杖は天敵だ。

悪夢の兵器にすら見えるのだろう。


少し考えればわかる事だったのに迂闊だった。


私は素直に収納魔法で杖をしまう。



「よしよし良い子じゃ。

素直な良い子は好きじゃぞ。

じゃが、そんなもんに手を出すとはがっかりじゃ。

少し鍛え直さねばならんようじゃのう」


「お願い」


「なんじゃお主、

本当に鍛え直してほしくてここに来たのか?」


「そう」


「そうかそうか。それは良いことじゃ」


心底嬉しそうに大声で笑うルネル。


エルフってもっと静かなイメージだったけど、

皆意外と豪快だ。

ルネルは中でも特にだけど。



あの物静かなドワーフ爺さんと比べると、

この世界に来る前に抱いていた

エルフとドワーフのイメージがひっくり返ってしまった。



「ルネル、この子、娘」


「娘のノアです。

アルカがお世話になっております」


ノアちゃんは礼儀正しくそう続ける。


なのに、なんかオーラが黒い。

なんだ!一体何が!?



「お主ら似とらんのう!」


またガハハと大笑い。




ノアちゃんには後でこっそり聞くとして、

まずはやるべきことをやろう。



「長老、元気?」


「ああ。元気にしとるよ。

まあ、そうじゃな何時までもこんな所で引き止めてたら悪いしのう」


そう言ってルネルは歩き出す。

どうやらここからはルネルが案内してくれるようだ。


流石に案内無しで辿り着ける自信は無い。

置いて行かれないよう、ついて行くとしよう。




エルフの家は木の中をくり抜いて作られている。

どうやらこの世界に世界樹的なやつは無いらしく、

エルフの町に目立つシンボルは特に無い。


少し開けた空間にいくつも穴の空いた大木が並んでいるような感じだ。

それがずっと続いていく。


エルフもかつてのドワーフと同じように、

一つの町で一つの国となっている。


今のドワーフとは違い、人数はそれなりにいるので、

この空間もそれなりに広い。


人間の大きな町一つ分くらいはある。



ぶっちゃけ、人間の国以上にどこに誰が住んでいるかなんて覚えられない。

だって、パット見少し変わっているだけの森だもの。


少しの間住んでいたルネルの家ですら、

もうどこにあるのかわからないだろう。



ルネルの案内で町の奥まで進んでいく。



「アルカは何を学びたいんじゃ?」


「エルフの魔法」


「まさかそのためにあんな杖を使っとるのか?」


「逆」


「なるほど。あの杖を使いこなす為にエルフの魔法を学びたいのじゃな」



本来、人間には自身以外の魔力を使うすべはない。

エルフだけが出来ることだ。


周囲の魔力を集めるあの杖は擬似的にそれを再現できる。


あの杖の力に頼らないとは言ったが、

杖の力を使いこなせないのはまた別の問題だ。


いまだ制御は万全とは言い難い。


大きな攻撃をする度に消耗していては話にならない。

今のままだと時間もかかりすぎている。



今は杖が集める力を無理やり抑えてなんとか制御している状況だ。

この抑え込む時に精神力と体力を大きく消耗している。


最終的には自分の意思で杖の力を使って魔力を集められるようにしたい。


その為には、本来自身が持ちえない強大な魔力を扱う技術を学ぶ必要がある。

エルフの魔法はこれが得意なのだ。


まあ、私自身の魔力が膨大なので、

相対的にみるとエルフの魔法とも張り合えるのだけど。


ともかく、本来自身が持たない魔力を扱うという事に関しては、

エルフの得意分野だ。


特に、ルネルは変わり者で人間の魔法もある程度使える。

両方の感覚を知っている数少ない人物だ。


グリアが知識専門の魔法オタクならば、

ルネルは実践専門だ。

私の知る限り、彼女以上に魔法の扱いに長けたものは存在しない。


彼女に教えを請う事で私もエルフの魔力操作技術が身に付けられないかと考えている。




「しかしのう・・・」


ルネルはやはり、あの杖を使うことには反対のようだ。

歩きながら考え込んでしまった。


暫くの間沈黙が続く。




「まあ、話は後じゃ」


そう言ってルネルは扉を開く。


ここが長老の家だ。なんとなく見覚えがある。


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