38-54.七十九人目
「ちょっとアルカ!!
なぁ~に!やってんのさ!!」
「ニクス!!」
突然空中からニクスが降ってきた。
私はしっかりとキャッチしてそのまま抱きしめた。
「ニクスぅ~~~!!!
会いたかったよぉ~~~!!!」
「私もだけど!
それより!!」
「聞いてよ!ニクス!
皆がね!」
「知ってるよ!
何やってんのさ!
ちゃんと止めてよ!」
「知ってないじゃん!
私止めてたじゃん!!」
「だとしてもだよ!」
「ちょっと止めて下さい。二人とも。
マキナの前でこれ以上その話はしないで下さい」
「酷いわ。お母様ったら。
私は生まれなければ良かったと言うのね……ヨヨヨ……」
「あ!違うの!
そんな事思ってないから!
マキナの事もちゃんと大切な娘だと思ってるから!」
「ふふ♪
嬉しいわ♪お母様♪」
くっ!可愛い!
そんな満面の笑みでしがみつかれたら!
「ごめん!ニクス!許して!」
全力でお願いするしかない!
見逃してもらえるように!
「マズいって!
今回ばかりは!
本当に半神生み出してどうするのさ!」
「あ、やっぱり上手くいってるんだ。
凄いわね。ハルちゃん達」
「呑気な事言ってる場合じゃないよ!?
ちゃんと状況わかってる!?
アルカは一線超えちゃったんだよ!?」
今回私何もしてないよ?
最後に名前つけただけだよ?
そこも監督責任になっちゃうの?
「イオスはなんて?」
「腹抱えて笑い転げてた」
なんか大丈夫そう。
「ダメなんだってば!
お母様が気まぐれ起こしたらアウトなんだってば!」
「なら大丈夫でしょ?
イオスは、私に従ってくれてるんだし」
「呑気すぎだよ!
お母様がそんな単純なわけないでしょ!」
そうなの?
やっぱ、私も神にされちゃうの?
「ところで、ニクス。
雰囲気が随分と様変わりしたわね。
いっぱい頑張っているのね」
再びニクスを抱きしめて頬ずりをキメた。
「私の話は後だよ!
本当にどうすんのさ!こんな事して!!」
ちくせう。
話題逸らし作戦は無理だったか。
いやまあ、実際滅茶苦茶変わってるんだけども。
なんかもう、私より力多そう。流石原初神の特別合宿。
「あら、ニクス。
やっぱりここに居たのね」
「げっ!?
お母様!?」
イオスには内緒で来ていたようだ。
こちらの状況を知って慌てて飛び込んで来てくれたらしい。
「ダメよ。
まだまだ先は長いんだから。
小春。ついでだからその娘も連れて行くわ。
私に預けなさい」
「え!?」
イオスは問答無用でニクスとマキナを連れて消えてしまった。
可愛そうに。
生まれたばかりのマキナまでイオスのブートキャンプに巻き込まれるとは……。
「ああ、マキナ……。
そんな……」
ノアちゃんが悲しそうに呟いた。
自らの娘として可愛がるつもりだったのかもしれない。
なんかマキナにも猫耳と尻尾生えてたし。
しれっと、今回自分の要素も加えていたようだ。
『あれ、神に昇格して帰ってくるんじゃないかしら』
『むねあつ』
いや、マズいでしょ……。
つまり私、神様生み出しちゃったって事よね?
イオスだって、私の隷属下にあるんだし。
『遂にはマスターも原初神と同等の存在に』
ダメだってば。
させないために努力しようって言ってたじゃん。
私なんて拷問までされて撤回を約束させられたのに。
あれ何だったの?無駄になったんじゃない?
『さて。
約束通り慰めてあげます。
小春先輩』
『ヒサメも~』
「私よりノアちゃんの方が必要そうじゃない?」
もう一人生み出すとか言いかねないし。
「ハル」
「ダメよ。ノアちゃん。
そろそろ本当に怒るわよ」
「アルカにはわからないのですか!?
この愛娘を奪われた悲しみが!」
「だからってすぐ新しい娘用意してどうするのよ!?
それに同じ事やってもまたイオスに連れ去られるだけでしょ!?」
「くっ!
待つしかないと言うのですね!」
「その通りよ!
大人しくしてなさい!」
取り敢えず全員お仕置きしてやる。
「シーちゃん、例の物を」
『イエス、マスター』
『まって!』
『ごめんなさい!』
『もうしません!』
「ダメ」
先ず最初に、シーちゃんが用意したお仕置きボックスにハルちゃんを放り込んだ。問答無用で。
さて。他の子達はどうしよう。
シーちゃんへのお仕置きも考えなくちゃ。
とは言え難しいわね。
シーちゃんの罰になりそうなものって思いつかないのよね。
それにイロハ達にも何か考えなきゃだし。
まあいいか。イロハも放り込んでおきましょう。
『待って!
私は何もしてないわ!本当よ!』
「ハルカ、どう思う?」
私も深層で起こった出来事は把握しきれてないのだ。
「連帯責任で良いんじゃない?」
『ハルカ!?』
それもそうね。
けしかけてたのは間違いないし。
「ヤチヨ、ヒサメちゃん。
協力なさい。それで二人はチャラにしてあげるわ」
一応この子達は慰めるとか言ってただけだしね。
止めなかった罪で罰してもいいのだけど。
『『がってん!』』
三人でイロハもお仕置きボックスに放り込んだ。
さて。
後はシーちゃんとノアちゃんとルチアだ。
『私も何もしてないわよ!?』
「だから止めてない罪だってば。
ノアちゃんの暴走を笑って見ていたじゃない」
とは言え、流石にハルちゃんすら恐れるお仕置きボックス送りは可哀想だ。もう少し軽めで考えてみよう。
「ミヤコは何か良い案ある?」
「チグサ達に預けてみては?
今は丁度機嫌が悪いようですし」
ほわい?
「面白そうな事をやっているのに噛ませてもらえなかった。
チグサとナノハはそのように考えているようです」
あらら。
それもそうか。
「わかった。
なら、ルチアとシーちゃんに命令よ。
私が良いと言うまでチグサとナノハの命令に絶対服従。
夕食まで好きにさせてあげなさい」
『重すぎよ!
軽くしてくれるんじゃなかったの!?』
言うほど?
まあ、チグサはマッドなところがあるからね。
ハルちゃんに似て。少し切り刻まれるかもね。
『嫌よ!あんまりよ!』
「ならお仕置きボックスにする?」
『くっ!わかったわよ!』
これでルチアは良しと。
「シーちゃん返事は?」
『……マスターが罰して下さらないのですか?』
「そんなご褒美あげるわけないでしょ」
『……はい。マスター』
シーちゃんとルチアを私世界に送り込んだ。
ミヤコが引率してくれるようだ。
後は任せてしまおう。
その後ハルカも帰った事で私とノアちゃんだけになった。
『私もいますよ?』
『いるよ~』
はいはい。
ヤチヨとヒサメちゃんもね。いたわね。
「さて、ノアちゃん」
「お手柔らかにお願いします」
「反省する気が無いと?」
「ごめんなさい」
さて、どうしてくれようかしら。




