38-46.朝の行動
「ニクス達、やっぱりまだ帰ってないみたい」
女神組は翌日になっても姿を現さなかった。
近くにも気配を感じない。どうやら、未だイオスの特別強化合宿は終わっていないようだ。ニクスとミーシャはともかく、ノルンは大丈夫かしら?
あの子、他の二人みたいにギャグ要員じゃないんだけど。
『そうだったかしら?
始めて出会った時はそっち寄りじゃなかった?』
始めて出会った時はイロハ居なかったじゃない。
というか、もうイロちゃんズの方に行きなさい。
そういう約束でしょ。
『はいはい。行ってくるわよ』
皆と仲良くね。
「アルカ、起きてますか?」
「あら、おはようノアちゃん。
起きたら隣に居なくて寂しかったわ」
「今日は朝食の準備を手伝ってきました」
「嬉しいわ!
早速行きましょう♪」
ふふ♪
ノアちゃんが一緒に居てくれるだけでなく、また料理までしてくれるなんて♪
なんて素晴らしい一日の始まりかしら♪
あ、そうだ。
忘れずにレリアの方にも分体送っとかないと。
もう目覚めちゃってるかしら?
取り乱したりしてないと良いのだけど。
「エリスも来てる?」
「あれ?
言ってませんでしたっけ?
エリスは昨晩もこちらに泊まったのですよ。
暫くはムスペルが慌ただしいですから。
マリアさんもまた家に帰る暇が無いようです」
「ああ、そっか。
うん。わかった。
なら後でエリスとも話しておきましょう」
「そうしてあげてください」
まあ裏の事情も一通り知らされているし、エリスなら心配は要らないでしょうけど、出来る限りケアはしておかないとね。
「そうだわ。
ステラの様子も見ておかないと」
今日は、ステラ、エリス、レリア、ルネルと過ごしましょう。いつも通りそれぞれの場所に分体を送る感じで。
ルネルの所だけは本体が向かうとしよう。
ゲーム機と、ついでにノアちゃんを手土産にご機嫌伺いだ。
なんなら、アリスからヘスティも借りておこうかしら?
ゲームって言ったら、やっぱ四人対戦よね。
別に家族以外とテレビゲームしたことなんてないけど。
まあ、いざとなったらヤチヨにでも頼めばいいか。
『是非お任せを』
FPS系あるかな?
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「ステラ、調子はどう?
あれからツムギとは話せてる?」
「ええ。昨晩遅くに一度戻りました。
今朝も早くから出てしまいましたが。
四六時中念話も来ているので、特段心配も無いようです」
早速ヒオリの力を借りているようだ。
やることが彼女へのラブコールなのはアレだけども。
「良かった。
何か気になる事があったらすぐに私に言ってね。
もちろん、サナに言うのでも構わないわ」
「はい。ありがとうございます」
どうやらステラの心配は要らないようだ。
ツムギとサナに任せておこう。
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「エ~リス♪」
「アルカ様!」
駆け寄ってきたエリスを抱きしめて、グリグリと頬ずりを決める。
「ふふ♪いきなりどうしたのアルカ様?
くすぐったいわ♪」
「いつも通り可愛くてつい」
「もしかして心配してくれてる?」
「ふふ♪
どうやら要らなかったみたいね♪」
「ええ!大丈夫!
お母さんなら心配要らないよ!」
「そうね。なんたって剣聖様だものね♪」
「うん!」
うんうん♪ここも良し、と♪
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「ごめんね~レリア~!」
「コハル!!」
既に目覚めていたレリアは、一人ベットの上で悲しそうに膝を抱えていた。私は慌ててレリアに近づいて抱きしめた。
今後レリアが馴染むまでは、極力本体を側に置いておくべきかもしれない。本体の私が眠ってしまえば、流石に分体の維持は出来ないのだ。ハルちゃんに代役を頼む事も出来るけど、流石に見破られてしまうだろうし。
暫くして落ち着いたレリアは、私に縋り付いたまま話しかけてきた。
「私、コハルの世界に行ってみたい」
それ大丈夫?
レリアって、この世界から離しても問題ないの?
『おけ』
ハルちゃんの未来知識?
『そう』
わかった。
連れて行ってみましょう。
今日一日は、私世界の案内でよさそうね。
「良いわ。行きましょう、レリア」
「うん!」
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「ルネル!
来たわよ!ぐっも~にん!」
酒くっさ!!
また深酒してたわね!?
「なんじゃ……騒々しい……」
「すっごい顔よ。
取り敢えず、朝風呂行きましょうか」
「私はここを片付けておきます。
ルネルさんの事はお願いします」
ノアちゃんたら。相変わらずなんだから。
まあでも、お願いしちゃおう。
こっちもちゃっちゃと済ませてこよう。
私は抱き寄せ魔法でルネルを引き寄せ、強制的に風呂場へと連行した。
「なんじゃ、今日はこっちなのか?」
露天風呂が良かった?
ルネルも、あれ好きだものね。
でも、今朝は止めておきましょう。
どうせ、一日一緒にいるつもりだし。
夕方でも構うまい。
「まあ良いじゃない。二人だけだし。
それにノアちゃんを待たせ過ぎたら可愛そうだもの」
「なんじゃ?
お主も入るのか?」
「ええ。全身洗い尽くしてあげるわ」
「まあ良いがな。
だが、妙な所を触れば叩き出す。
心しておけ」
「何よ今更。
あ、そっか。
ルネルは色々まだだったものね。
ごめんなさい♪気が利かなくて♪」
「挑発のつもりか?
その手には乗らんぞ」
「はいはい。
それより、手上げて。
服脱がすから」
「なんじゃ?
子供扱いしておるのか?」
「どちらかと言うと老人介護?」
「……はぁ」
「ねえ、どうしちゃったの?
ここは叱って良いのよ?」
「妙な気遣いを向けてくる相手を叱れるわけもなかろう」
「だからこそじゃない。
こんな時は張り飛ばすくらいで丁度良いのよ。
私だってそっちの方が安心できるわ」
「そうじゃな……」
あらら。
やっぱり本調子じゃないみたい。
昨日のは空元気だったのかしら?




