38-39.七十七人
「コハル!コハル!」
「は~い」
「コハル♪」
こっちも何が何やらだ。
レリアと過ごす分体の私はずっとこんな事を繰り返している。レリアが全然話をしてくれない。何を聞いてもコハルとしか返してくれない。最初はもう少し喋ってくれてたのに。
「レリア」
「コハル♪」
違う。そうじゃない。
「レリアとお話したいなぁ?」
「コハル!」
「レリアは夕飯何食べた~い?」
「コハル!!」
食べられちゃうの?
どっちの意味で?
「レリア。
お願い教えて。
レリアの事を知りたいの。
レリアは今まで何処で何をしていたの?
私の事を助けてくれていたんでしょう?」
「コハル……」
あれ?
少し考えてる?
「……わかんない」
喋ってくれた。
「記憶が無いの?」
「……ううん」
どういうこっちゃ。
「記憶じゃなくて意識が無かったの。
今みたいなハッキリとしたものじゃなかったの」
ああ。なるほど。
そうだよね。そもそも人じゃないんだし。
今はイオスが作り出した肉体に詰め込まれているから、私達と同じような思考が出来ているだけだ。元々世界そのものであるレリアにその頃の考えを言葉にしろと言うのは無理があるのだろう。
偽神はどうやってそんな存在に干渉したのだろう。
まあとにかく、折角会話してくれる気になったのだ。
先ずは他愛の無い事を話して親睦を深めよう。
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「そろそろまた、人の配置を見直すべきだと思うの。
皆と話す前に一旦整理したいから、ノアちゃんも付き合ってくれる?」
「ええ。もちろん構いません」
夕食後、ノアちゃんだけを連れて私世界に移動した。
側近組とノアちゃんだけを話し相手に、少し私の考えを固めておくとしよう。
「こちら、現在の配置です」
シーちゃんがスクリーンに名前の一覧を出してくれた。
側近組
ハル
シイナ
イロハ
ヤチヨ
ハルカ
ヒサメ
ギルド組
ノア(ルチア)
ミユキ
チハル(ハル分体)
アメリ
教会組
セレネ(アウラ)
グリア(ソフィア)
クレア(ツクヨミ)
アムル
シオン
学園組
アリア(ラピス)
ルカ(クルル)
リヴィ
商会組
カノン(スミレ、コマリ)
レーネ(セシル)
女神組
ニクス
ノルン
ミーシャ
へーメラ
イオス
家事組
ステラ(サナ)
訓練組
セフィ
エリス(イリス)
ルネル
子供組
エルヴィ
レヴィ
ルビィ
アルカ世界組
研究班
チグサ
ナノハ
フィリアス管理班
コマチ
ミヤコ
アルカ世界管理班
アリス(メア、ナハト)
ヘスティ
療養班
ナディ(セリア)
アニエス(シャル)
外出組
リオシア班
リリカ
ルイザ ※未加入
イオニア班
カルラ
フェブリ
ムスペル班
ツムギ(ヒオリ)
マノン(サクラ)
未分類
ミーちゃん
ルーシィ(ラトナ)
レリア
イロちゃんズ
チハヤ
アズサ
カグラ
コトハ
シズル
チトセ
ベニオ
モミジ
ワカナ
「こちらに記載のないマスター含め、現在総勢七十七人が家族と定義されています」
「それはイロちゃんズも含めた数ですか?」
「その通りです。ノア」
「ミーちゃんの配置どうしよっか。
暫くは私の分体と過ごしてもらうけど、何れはシーちゃんの側に置いてもらう?」
「未来ミーちゃんの問題もありますからね。
そこは慎重に検討していきたいですね」
「そうよね。ちょっと考えてみましょう」
「レリアはどうですか?」
「少しずつ話してくれるようになったわ」
どうやら恥ずかしがって?いたようだ。
少し違うかな?会話というものに慣れていないから、どうしていいかわからなかったっていうのが正しいのかも?
世界を見守ってきた存在でもあるから、人間らしい知識や常識もすぐに身に付けたみたいだけど、それを実際に用いるのは初めてだったから、戸惑っていたようだ。
「それは良かったです。
レリアの事はまた追々考えていきましょう。
ああして姿を現してくれたのですから、焦る必要もありませんし」
元々の敵対云々の話ももう関係ないものね。
その辺は随分とシンプルに纏まったものだ。
後残る敵は偽神だけだ。
「ルーシィは一旦研究班に入れましょう。
シーちゃんと一緒に、アイリス、特に戦闘シミュレーターの開発を中心に動いてもらうわ。訓練班に入るのはそれが落ち着いてからで構わないから」
「イエス、マスター」
シーちゃんがルーシィの名前を未分類から研究班に移動してくれた。
「そもそも訓練組のメンバーも考えなけれなりませんね。
私とルーシィ、それにルネルさんは確定です。
後は誰に声をかけるべきでしょうか」
「その前に訓練組も二つに分けないとだわ。
対偽神班と、何時もの子供達のやつとね」
「セフィは前者に入りたがるかもしれませんね」
「そしたら誰かにエリスの教師役代わってもらわないとね」
「イロちゃんズの子達には足りない部分を補ってもらいましょう」
「ごめん。それはちょっと避けたいの。
できればあまり削らずに私世界のフィリアス達を任せたいから。取り敢えず暫くの間だけね。それで退屈してくる娘が出たら、その時は別の担当を割り振ってあげる感じにしたいの」
「それもそうですね。
あの子達は蘇ったばかりなのですから」
「うん。
でもまあ、マノンの時みたいに必要とあらば手を貸してもらうけどね」
「そういう話であれば、リヴィをお願い出来ませんか?」
「あ~。どうだろう。
リヴィ本人が嫌がるんじゃないかしら?」
あの娘、私の側近希望だから。
レーネも最初はそう言って専属フィリアスは拒否してたのよね。まあ、結局何だかんだとセシルとも仲良くやってるみたいだけど。
「それでもお願いします。
目を離している時間が長いですから」
お母さんの立場じゃ心配よね。
「わかったわ。
リヴィとも話をしてみましょう」




