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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
38.白猫少女と修行期間

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38-38.仕込み

『あーか~~~~~~!!!』


 幼女ミサイルが飛んできた。

転移するなり早速だ。中々の反応速度だった。


 ところで何でセーレがレーネの部屋にいたの?



『ここで待つように伝えたのです』


 それに従ったんだ。

賢いな。四ヶ月児。



『良い子ね~セーレ~♪』


『きゃぅうう~~~♪』


 可愛い。



『ではアルカ様。

 暫くセーレの事をお願いします。

 私はお父様の下へと行って参ります』


『程々にね。

 私達ももうすぐ夕飯だから』


 今のレーネ変なスイッチ入ってるからなぁ……。

本当は付いて行きたいんだけど、レーネのストッパーになろうと考えていたのを見抜かれて断られてしまった。


 ご両親に無茶苦茶言わないと良いのだけど。

セーレに手を出す事にはなるけど、これはあくまで備えなのだ。セーレ本人やご両親の意思を無視して強行する事じゃない。レーネだってそれくらいはわかってるだろうけど……。



『ご安心を。

 委細お任せ下さいませ』


 不安だ……。



『あーか!あーか!』


『ちょっとだけ遊ぼっか』


『あーぼー!きゃっ♪』


 私の周りをぐるぐると周りながらキャッキャと笑い続けるセーレ。やっぱり無邪気で可愛い。


 さてどうしよう。

上手く説得出来るだろうか。

今後もちゃんと会いに来るから、良い子にしていてねって。

出来る事なら融合とか回避したい。


 そもそもレーネはご両親をどうやって説得するのだろう。


 私に何だかんだと言いながら、自分が一番セーレに執着しているのではなかろうか。無理もないけどさ。こんな可愛い妹出来ちゃったら。


 レーネがセーレの件で珍しく私に対して厳しめなのは、自分の気持ちを誤魔化す為でもあるのかもしれない。自分が強い執着心を抱きかねないから、自分自身に言い聞かせていたのもあったのかもしれない。



『お姉ちゃん、セーレ大好きなんだって』


『ねーね?』


『うん。そうよ』


『きゃっ♪』


『あんまりお姉ちゃんに心配かけちゃダメよ』


『うー!!』


 良いお返事。

本当にわかってるのかしら?



『かくれんぼしよっか。

 この部屋から出ちゃダメよ』


『うーー!!!』


 もっと良いお返事。


 さて私から鬼をしてあげようじゃないか。

目を瞑っていても覚視で居場所はバッチリだ。

今は目を離すわけにはいかないからね。仕方ないね。



『い~ち!に~ぃ!さ~ん!』


『きゃっ!きゃっ!』


 嬉しそうな声が近くを彷徨っている。

どうやら隠れる場所を探す前に、目を瞑った私に悪戯したいようだ。ほんと賢いなこの赤ちゃん。きっと時間内には隠れてみせるんだろうし。



『あーか~♪きゃっ♪』


 とは言え悪戯の方は可愛いものだった。

なんか普通に抱きついてきた。

グリグリと全身を擦り付けてくる。

かくれんぼよりも抱きしめ合いたい気分なのかもしれない。

なら速攻で見つけて抱きしめ返してあげよう。



『二~十九!三十っ!』


 ギリギリ壺の中に隠れたセーレ。

本当に賢い。数字もわかるのね。

前回散々やったから覚えたのかしら?



『どこかな~?

 セーレはどこかな~?』


『きゃっ♪』


 小さく声が聞こえた。

我慢しきれなかったようだ。

可愛い。



『こっちから声がするぞ~?

 ここかなぁ~?』


 段々と近づくように物を動かしていく。

さっきは速攻で掴まえてあげようかと思ったけど、セーレもかくれんぼはかくれんぼで楽しみたいようだし、もう少し付き合うとしよう。



『~~♪』


 嬉しそうな気配が伝わってくる。

今のセーレにかくれんぼは難しいようだ。

前回はもう少し上手く隠れていたけど。

今日は私が来た事が嬉しすぎてそれどころじゃないようだ。



『ここかな~?

 あれ~こっちかな~?』


『~~~~~~♪♪』


 さては何か企んでるわね?

なんかそんな気配がする。



『あ、これじゃないかな?

 セーレがいそうな気がするな~♪』


『~~~~~っばぁ~~~~!!!』


 私が壺の中を覗き込もうとした瞬間、セーレが自ら飛び出してきた。



『うわっ!びっくりしたぁ!

 ふふ!もうセーレったら♪』


 セーレを抱きしめて頬ずりする。



『きゃっ♪きゃっ♪あーか~♪』


 上手くいったと嬉しそうなセーレが負けじと頬を押し付けてきた。



『アルカ様。

 話は付きました。

 例の件、お願いします』


 レーネが待ち切れないと言わんばかりに、念話だけ飛ばしてきた。まだご両親と話をしている最中なのだろう。



『私も先に少しお会いしたいのだけど』


『……わかりました。

 どうぞお越しください』


 渋々って声音だ。

そんなに焦らなくてもいいだろうに。

私とご両親が話をすることで覆るのを恐れているのかな。



 セーレを連れてレーネ達に合流し、レーネとセーレのご両親と挨拶を交わした。


 取り敢えず人魚の王様はいつも通りの態度だ。

二人目の娘まで誑かした極悪人に対する態度ではない。


 どうやらレーネは単純にセーレにも力を与えるという意味で話をしたようだ。将来云々は脇において、万が一の備えとしてセーレが危機に陥った時にだけ発動する便利な術をかけたいといった感じだ。


 ハルちゃんの分身を埋め込むんだからそれくらいの融通は効かせられるだろうけど、流石に都合よく伝えすぎじゃないかしら……。


 けどどうしたものかな。

融合の事をちゃんと説明したって想像してもらうのは難しいとはわかってる。かと言って、何のリスクも無いかのように説明するのは虫が良すぎやしないだろうか。


 とすると、私は何を言うべきなのだろう。

それとも何も言うべきでは無いのだろうか。



『葛藤しておるようだな』


 見抜かれちゃった。

そう言えば、王様は心が読めるんだ。

こっちが防ごうとしなければ、全部読み取れるはずだ。

いっそ融合についてもそれで伝えられないだろうか。



『気にするな。では少し違うかもしれぬな。

 まあ、そう気に病むな。レーネからも説明は受けておる。

 我々の生まれ持った性質はそうそう変わらんのだ。間違いなくセーレも、レーネのように何れこの国を飛び出すであろう。これはもう仕方のない事なのだ』


 逆に気を遣われてしまった……。

それになんだか、自分に言い聞かせているようだ。

なんとなくそんな気がする。



 なら私も覚悟を決めよう。

そしてせめて、この場で事を成すとしよう。

ハルちゃん。お願い。



『がってん』


 私にしがみついていたセーレを抱き上げると、セーレの中にハルちゃんの一部が流れ込んでいった。



『???』


 セーレは自分の身に起きた事が理解できていないようだ。

不思議そうに私と自分の体を見比べている。


 ごめんね。私もよくわからないの。

まだハルちゃんの一部を同化させたのは四人目だからね。

ノアちゃん、レーネ、シーちゃんの三人に続いて。

セレネはもう影響受けてるっぽいし、ルーシィにはもう植え付けた後かもしれないけど。その辺後で問い詰めよう。



『あ~か~♪』


 何やら落ち着いたようだ。

また私に抱きついて頬ずりしてきた。




 その日のセーレは別れ際にもぐずらなかった。

もう全部わかってますって感じの笑顔で見送ってくれた。

どうやら全てハルちゃん達の思惑通りに進んだらしい。

ほんと、何が何やらだ……。

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