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7-9.防衛戦

私はギルドに戻った。


ギルド長に状況の報告と、

犯人の亡骸を渡して、

町の防衛に参加する。



既に魔物達は町に到達し、戦闘が始まっていた。


進行中は一心不乱に前に進んでいた魔物達だったが、

町に到達した途端、打って変わって

明確に人間を狙って攻撃してきている。

町を目指して皆殺しにしろとでも命令されているようだ。



援軍のお陰でかなり状況は良くなったが、

まだまだ魔物の数は多い。

確実に町を守りきれるとは到底言えないだろう。


これ以上魔物が増えないのだけは安心だけど。



私は上空から町の周囲を見回して

押されている所に飛んで行き援護する。



援軍達の所は暫くは心配無さそうだ。

流石王都で活躍する冒険者達だ。

援軍に来てくれた事を感謝しよう。


対してこの町の冒険者は決して強い方ではない。

押されている所もまだまだ多い。



私の魔力も何時までもは持たないだろう。

そろそろ何か別の手段も考えなければ。



そうして、暫く援護に徹していたが、

やはり手が回らないところが出はじめる。



私は一度中断して町の上空に転移する。


一か八か杖の力も使って敵の戦力を大きく削る事にした。


町を巻き込まないために、

町の周囲のまだ魔物の多いところに目星をつけて、

それぞれの上空と繋ぐ転移門を私の周囲に開いていく。



そうして、杖の力で周囲の魔力を集める。

私の頭上には大量の魔力が集まって巨大な光球が作られていく。


十分に集まった所で魔法を開放する。

巨大な光球からそれぞれの転移門に向かって

いくつもの光線が放たれる。


光線は転移門を潜って、敵の密集地帯に着弾し、

大爆発を引き起こす。



結局、私自身の魔力も殆ど尽きてしまった。

その代わり魔物の数を激減させる事には成功した。


あとは他の皆に任せても大丈夫だろう。


私はセレネとノアちゃんのいる所に転移する。



二人はギルド内の一室にいた。


座り込むセレネの額には玉のような汗が浮かんでいる。


いくらセレネでも町一つを覆う結界を維持し続けるのは負担が大きいのだろう。



「アルカ!」


私に気付いたノアちゃんが声を上げる。


「敵の残りは少ないわ。

あと少しの辛抱よ!」


セレネは微笑みを向けてくる。

どうやら返事をする余裕も無いようだ。


私も魔力が無いなんて言っている場合ではない。

大した攻撃魔法は使えないが、

まだバフを使っての接近戦くらいはできるだろう。



「アルカ!また行くつもりですか!?」


私が転移門を開くとノアちゃんが止めてくる。


「アルカも凄い顔色です!そんな状態でいっちゃだめです!」


「でも、セレネだって頑張っているんだから!」


「私が代わりに行きます!

アルカはここでセレネを守っていて下さい!

最悪の場合、転移で逃げるくらいならできるでしょう?」


「今回の魔物達は高難度ダンジョンの魔物達よ!

最初に比べたらずっと少ないとはいえ、まだそれなりにいるの!

集団に囲まれたらノアちゃんだって危ないわ!」


「今のフラフラなアルカよりは私の方が強いです!

信じて待っていて下さい!」



そう言って、ノアちゃんは私の開いた転移門に飛び込んでいく。



「あ・る・・か・しん・・じて・・あげ・・て」


セレネが苦しそうにしながらもそう伝えてくる。


娘達にここまで言われたら信じるしか無いじゃない・・・



私はセレネの側に座り込む。


それを見てセレネはまた微笑みを向けてくれる。


二人共、本当に良い子達だ。

また頼ってしまった。

私は二人を全ての事から守りたいのに。

もっと力が欲しい。

切実にそう思う。



私もセレネに少しぎこちない微笑みを返して、

二人で皆を待つことにする。



数分が何時間にも思える程、

時間の進みが遅く感じる。


信じて待つのも楽なものではないのかもしれない。

ノアちゃん達はいつもこんな気分だったのだろうか。




そうして長いこと待ち続けていると、

遂に遠くから歓声のようなものが聞こえてきた。

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