38-8.サクサク進行
家族を私世界に放り込んだ後、最初にルネルを召喚した。
どうやらルネルは立ち直っているようだ。
最悪カウンセリングの必要も覚悟していたが、その心配は要らなかったらしい。
軽く事情を説明して皆の護衛を依頼すると、二つ返事で引き受けてくれた。ルネルにも色々聞きたい事はあったけれど、一旦は後回しにしておこう。
次にレーネと話をした。
とは言え、こちらもすぐに済んでしまった。
先日と同じようにハルちゃんがレーネの制限を解除した事で、私の思考を覗けるようになったからだ。
偽神についての情報を手早く送り、先程のルーシィの発言についての説明が済むと、レーネは一旦家族に合流すると言ってくれた。
その際強制的に交わされたレーネとの約束で会議中の思考は垂れ流す事になってしまった。まあ、こちらとしても改めての説明の手間が省けるし良しとしておこう。
後はラトナとの面会か。
まあ、こっちもイオス達との話し合いの後にしよう。
ルーシィが集中出来ないかとも心配したけど、どうやらルーシィも切り替えてくれたようだ。今はもう元のルーシィに戻っている。さっきもルネルに絡んでたし。
「それじゃあ残りのメンバーで話し合いの続きよ。
今日はイオスへの質問を中心に話を進めていくわ」
「改めての質問は必要ないよ!
小春の記憶から必要な情報は集めたからね!!」
あれ?イオス?
また話し方違うわよ?
もしかしてレパートリー少ないとかって考えたのも読み取っちゃった?
「ちょっと待って!お母様!
その話し方はダメだよ!私とキャラ被るじゃん!」
「当然だよ。
参考にしたんだから」
なるほど。
道理で聞いたことある話し方だと思った。
「ダメだってば!
他のにして!」
「面倒くさいなぁ。
なら、これで行くぜ!」
「それもなし」
「小春まで不満があるのかよ!?」
「無しって言ってるでしょ。
と言うか普通ので良いわよ」
「少ないって文句言ったの小春じゃない!」
あら。
イオス的にはそれが普通のやつなんだ。
ちょっと以外。
「なんじゃ?
こっちの方が良いのか?」
「どっちでも良いわ。
それより話を進めてくれる?
今日はちょっともう、深層使いたくないから。
巻でお願い」
「なら簡潔に伝えるわ!
まず小春の神化阻止は請け負うわ!
私が存在する限り、小春は神にならないと約束するわ!」
存在する限り。
つまり偽神にやられてしまえばそれまでだ。
偽神の企みを阻止する事は出来ないのだろう。
まあでも、セレネ達の主目的は達成出来るようだし、最低限の目的は果たせるわね。
「次に神々との契約ね!
そっちも請け負うわ!
良い子紹介してあげる!
私の娘たちを貰って頂戴!」
「一人ずつゆっくりね。
いきなり全員連れてきたりしてはダメよ」
「いっぺんに済ませてしまいなさいよ!
そうすれば怒られるのも一度で済むわ!」
「それもそうね」
「ダメです。認めません」
「だそうです」
「仕方ないわね!」
素直。
「領域と過去未来に関する事は話すつもりはないわ!
偽神対策にそんなものは必要ないわ!
今だけを大切になさい!」
つまり他の質問には答える気が無いって事か。
だいぶバッサリ切られちゃったわね。
まあ仕方ない。
イオスがこう言うのなら、本当に話す気は無いだろうし。
神様の頑なさは、ニクスで散々学んでるからね。
これ以上無駄に質問を続ける必要もあるまい。
「取り敢えずそんな感じらしいけど、皆は他に質問ある?」
「はい。質問です」
「どうぞ、ノアちゃん」
「何人の神と契約すれば、イオスの力を上回る為の準備が整うのですか?」
「ざっくり千ほどね!」
「却下です」
「却下ね」
「却下だよ!」
トップスリー(ノアちゃん、セレネ、ニクス)が一斉に反対してしまった。
「何よ!これでも選りすぐりよ!
これ以上まからないわよ?」
「なんとかして。
お願い。お母様」
「良いわ!やってやろうじゃない!
ニクスからお願いされたんなら仕方ないわよね!」
あれ?そんなあっさり?
「小春!少しニクス借りてくわよ!
それと!ノルンとミーシャも!
先ずはこの子達に詰め込めるだけ詰め込んでくるわ!」
「待って!!なにする気なの!?」
「愛娘の願いを叶えるのよ!
信じてついてきなさい!」
「ニクスに変な影響があったら嫌よ?」
「そんな事にはならないわ!安心なさい!」
「ならおっけ」
「ダメだって!嫌な予感しかしないんだって!」
「頑張ってください。ニクス」
「そうよ。
あなたがやらなきゃ、アルカの嫁が雑に千人増えるのよ」
「そんなぁ!
「じゃ行ってくるわね!」
イオスはニクスと、いつの間にか現れていたノルンの襟首を掴んで消え去った。同じく、へーちゃんがミーシャの頭を掴んで消え去った。
なんでミーシャだけアイアンクローされてたんだろう。
後で慰めてあげよう。可愛そうだし。お詫びも兼ねて。




