38-1.旅の成果
「なんですのこれ~。
なんでこんなに心地が良いんですの~」
「ふふふ~。
それが露天風呂というものよ~」
あと色んな運動の疲れが癒えてるんだと思うよ。
色々頑張ったからね。ほんと色々。
「それより、アルカ。
何故ルイザさんがアルカの膝に?」
私の胸クッションを味わうためじゃないかしら。
いや、うん。わかるよ。
ルイザったら、もはや肌がガッツリ触れ合った程度では動じなくなったもんね。
そりゃあ気になるよね。
「ごめんね、ノアちゃん。
今だけ貸してあげて」
「そういう話ではありません!
手を出すのが早すぎます!
アリアの事はどう考えているんですか!!」
「違うのよ。
これにはわけがあるの。
それにちゃんと報告したでしょ。
アリアと私、二人ともルイザと婚約したって」
「その上で問いかけているのです!
何しれっと呼び方まで変えてるんですか!?
いったい何をしてきたんですか!?」
「それはも・ち・ろ・ん♪ナ♪」
「やめなさい」
まったく。なにを言おうとしてるんだかこの発情兎は。
「大丈夫よ、ノアお姉ちゃん。
ちゃんと私も納得してるから。
別に一緒にお風呂入るくらいで怒ったりしないよ」
私とルイザちゃんの腕を纏めて抱きしめてぐで~っと寄りかかるアリア。
随分とお疲れのようだ。
ほんと、なにしてきたんだろうね。
「アリアだけの問題ではありません!
親御さんへの挨拶もまだでしょう!
何を勝手に進めているのですか!!」
「「「ごめんなさい」」」
いやでも、ほら。言えないじゃん。こんな事。
「エリスとマノンにはどう説明するつもりですか?」
それを言われると辛い。
特にマノン。
あの子は自分の力で勝ち取ろうと頑張りだした矢先に、国に戻らざるをえなくなったのだ。
「ノア姉。お風呂中にまで説教はやめてよ。
確かにおかーさんは最低だけど、マノ姉達の事まで持ち出すのは違うでしょ。
少なくとも、お客さんの前でする話じゃないよ」
「お客様じゃなくなったから怒っているのです!」
いやでもほら、ルイザの身はまだ綺麗なままだから。
「まだ大丈夫だって。
ゲームの中だけだからノーカンノーカン♪」
「やはりしたのですね!!
ゲームの中で!」
「あ、やべ。
おかーさん、後はガンバ♪」
転移で姿を消したルーシィ。
私は分体を産み出して抱き寄せ魔法でルーシィを召喚した。
「それずっこい!」
「ふっふっふ。
ルーシィはもう私の腕の中から逃げられぬのだ!」
まあ冗談めかして言ってるけど、割と真面目に目を離すわけにはいかない。
私がルーシィを信じているかどうかと、家族を守るためにするべき事は別問題だ。
今はまだ野放しには出来ない。
それにルーシィが何かをしなくとも、偽神がルーシィ目当てで何かしてくる事だって無いとは言えないんだし。
「小春お姉ちゃん。私は?」
「もちろんミーちゃんも!」
うっへっへ♪二人ともいい身体してますなぁ♪
というかお姉ちゃん、ホントいい身体してるわね。
こんなんモテモテだったでしょうに。
私にしか興味無かったの、少し申し訳なくなっちゃうわね。
「アルカ!真面目に聞いて下さい!」
「ごめんなさい」
その後分体を一人追加で出し、ノアちゃんと二人で皆から少し離れた場所に移動した。
ノアちゃんは私の膝に乗った状態で懇々とお説教を続けていたが、何だかんだと見逃してくれる事になった。
しかもそれどころか、エリスとマノン、それにアニエスの件も、いい加減話を進めてしまうようにとまで言い出した。
流石にハッキリとそう言ったわけではなかったけれど、このまま不義理を働き続けるぐらいなら、早めに責任を取るべきという考えを示した。
マノンは直接本人を説得すれば済むけど、エリスとアニエスはそれぞれのお母様を説得しなければならない。
アニエスとアレクシアさんの方はともかく、エリスとマリアさんは難しい。
何せ明確に手を出さないと約束までしてしまっているのだから。
少し作戦を考える必要がありそうだ。
とはいえ、全てはムスペルの件が落着してからだ。
そちらも手を出さずに見守るという約束だけど、今の状況でツムギ達を放って置くわけにはいかない。
その辺も含めて、この後皆でしっかり話し合うとしよう。
子供達を寝室に送り込んだら、大人組で話し合いの予定だ。
場合によっては深層も利用して、徹底的に話を詰めるとしよう。
息抜きはもう十分に済んでいる。
私だけゆっくりしすぎたくらいだ。
けど今度は気負わずに頑張ろう。
あんまり真剣になりすぎると、また途中で切り上げるように言われちゃうだろうしね。




