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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
37.白猫少女と異界の侵略者

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37-13.作戦会議・おさらい

「改めて整理しましょう。

 偽神のこれまでと今後の目的を」


 一度言葉にして、自分の考えを整理しながら皆の考えが一致しているのか確認していこう。



「偽神は先ず、自らの世界の混沌ちゃんを討ち滅ぼした」


 それは世界を越える力を手にする為だったのか、それとはまったく関係なく転がり込んできた力だったのか。


 イオスが私を神化させようとしたように、まったく別のキッカケで偶然混沌ちゃんと縁が生まれ、仕返しや返り討ちのような理由で滅ぼしたという可能性もある。

これについては考えても意味がない。

探りようもない。次に行こう。



「その後、お姉ちゃんを別の領域へと送り込んだ。

 それは、お姉ちゃんが干渉した事によって私が幸せに暮らせる時間軸が生まれる事を期待したから。

 私達は眼の前にいるお姉ちゃんこそが偽神にとっても唯一無二の存在かと思っていたけれど、既に数多枝分かれしている時間軸の数だけ、偽神の送り込んだお姉ちゃんも存在しているの。

 だから、偽神はここのお姉ちゃんに強く拘る事もない。

 あっさりとこの領域を見限ったのもきっと同様の理由なのでしょう。

 お姉ちゃんと同じように、領域そのものも何処かに拘る必要は無いのでしょう」


 そう。まるでリセマラ感覚のように。

少し手間だけど、どこかで想定外の事態に遭遇したならあっさりとやり直してしまえるのだろう。


 そしてこれこそが、偽神の送り込んだお姉ちゃんが今目の前にいるお姉ちゃんではないという証拠でもあるのだろう。

きっと、既に自分の最も信頼するお姉ちゃんの下へは乗り込んだ後だったのだろう。

その領域でも、偽神は失敗したのだろう。

お姉ちゃんが側に居ないという事は、敵対したのか失われてしまったのかしたのだろう。

お姉ちゃんへの拘りが薄れているのは、真に欲しかったお姉ちゃんがとっくに失われているからなのだろう。

きっとノアちゃんとお姉ちゃんでは違うのだろう。


 お姉ちゃんでは力が足りなかったのかもしれない。

ただの人間に過ぎないお姉ちゃんでは、偽神と共に数多の時間軸を渡り歩くだけの素質は無かったのかもしれない。


 だから、本来自分とは関係の薄いはずのミーちゃんを側に置いているのだろう。

ミーちゃんは元々、偽神がお姉ちゃんに高いスペックを持たせるために、意図的に生み出された存在なのかもしれない。


 シーちゃんが仕込んだ証拠が機能したのは、あのミーちゃんが地続き上にいたからではなく、全て、もしくは最初のシーちゃんが同じ事に気が付いたからなのかもしれない。


 ノアちゃんが必ず立ち向かうように、シーちゃんがミーちゃんに証拠を仕込むのも、何か運命のような力が働くのかもしれない。



「そしてそれは、お姉ちゃんの事だけじゃないのでしょう。

 私、アルカ、いえ、"小春"という存在が幸せに生きられる世界を産み出すために、きっと様々な方法で暗躍を続けてきたのでしょう。

 他の時間軸で起こした出来事が、きっとこの時間軸にも影響を与え続けてきたのでしょう。

 おそらく、これが"認識出来ない何か"の正体よ。

 その行為が私を助けているように映ったのもこの為よ」


 自らが成り代わる為の、理想の私を生み出そうとしたのだろう。


 もしかしたら、まだいるのかもしれない。

お姉ちゃん以外にも偽神によって送り込まれてきた存在が。


 セレネはそれがノルンではないかと疑っているのだろう。


 とは言え、今更関係も無いことだ。

ルビィの言う通りなら、偽神がこの領域に興味を持つことは二度と無いのだから。

少なくとも、今現在は監視されているわけでもないのだろうし。


 まあ、ノアちゃんが存在する以上可能性がゼロというわけでもないのだろうけれど。

そこは一旦後回しだ。

今後の目的の方で一緒に考えよう。



「私を神にしたくなかったのも、まだその時ではなかったからなのでしょう。

 もしかしたら、私が半神となっている事すらも偽神の思惑だったのかもしれない。

 半端に力を付けさせて、何時でも必要なレベルに引き上げられるように、細かく調整を加えていた結果なのでしょう」


 逆に言うなら、私が神になる事を恐れたのかもしれない。

いや、恐れているは言い過ぎだろうけど、面倒には感じているはずだ。


 私が完全な神となる事で、予期せぬタイミングで偽神の存在に気が付いたり、反抗してきた可能性があったのだろう。

だから、最後の最後、自分が干渉する場面まで、半端な状態で留め置いていたのだろう。



「きっと今の力の大半をイオスに吸い取られた私では、混沌ちゃんの欠片を取り込む事は出来ないのでしょう。

 私とイオスが私優位の契約を結んでいるとはいえ、実質的にはその関係も逆転してしまっているの。

 この状況を解消する手間を偽神は惜しんだの。

 普通なら、予想外の事態は幸いと考えるものだと思うんだけどね」


 碌な変化もなく何度も何度も似たような事を繰り返してきたはずなのに。

この短慮さは覚えておきましょう。

盲信するわけにはいかないけれど、偽神の弱点と成りうる部分でもあるはずだ。



「偽神は何度も繰り返してきた。

 きっとその行動は主に二つに分けられる。

 一つは、小春わたしが幸せな世界を産み出す事。

 一つは、小春わたしの立場を乗っ取る事。

 前者はともかく、後者は幾度となく失敗してきた。

 いえ、正確には乗っ取る事には成功していたのでしょう。

 けれど、真に望む結果だけは得られなかった。

 ノアちゃんから真の愛を得る事だけは出来なかった」


 復讐者の私では不可能なのだろう。

きっとニクスやセレネを生かした事もあったのだろう。

もしかしたら、今回ニクスが命を失わずに済んだのもその積み重ねがあったからなのかもしれない。

偽神は無意識、或いは意識的に手加減したのかもしれない。

ニクスやセレネを始末するのは、ノアちゃんとの敵対が確定する事にも繋がるのだから。


 ただそれでも、根幹に燻る復讐心だけは隠しきれないのだろう。


 愛すべき家族に敵意を向ける私をノアちゃんは決して許しはしないだろう。



「迷惑な話しよね。

 どっかのノアが一人我慢してくれれば、あれも落ち着いていたでしょうに」


 セレネが冗談めかして投げやりな事を言う。

どうせ自分だって我慢できるはずが無いのに。



「甘いね。ママは。

 まだまだわかってないよ。

 そんなわけないじゃん。

 本当に諦めたノア姉は一人もいなかったけれど、ハニートラップを仕掛けてくるノア姉はそれなりにいたんだよ。

 そんなノア姉達は、全てに気が付いた上で近づくの。

 そうして、あれの耳元で愛を囁くの。

 けどあいつは、そんなノア姉には満足しないの」


 本当に心の底から愛を向けられないと我慢ならないのか。

ノアちゃんの愛する存在わたしを奪っておきながら、なんて傲慢なのだろう。



「まあ、妥協しようとした事も無くはなかったんだけどね。

 けどノア姉もノア姉で最後には心中をしかけてくるんだ。

 そうすれば、その場にいる他の家族や、他の時間軸のおかーさんは救われるって信じたかったんだろうね」


 けれどそうはならなかった。

混沌ちゃんの欠片を奪われるという事は、その領域そのものを人質に取られるのと同義だ。


 気分を害した偽神はとっとと見限って次の領域へと移動してしまうのだろう。

そうなれば、その領域はお終いだ。

ズタズタになった家族諸共、全てを巻き込んで完全に消え去ってしまったのだろう。



「イオス、持ち去られた欠片はどうなるの?」


「偽神の下に残り続けるわ。その領域が消えない限り」


 つまりこの領域が滅んでいない事にも、いずれ気付かれるというわけだ。

百年以内とかって話ではないのだろうけど、やっぱり戻って来る可能性があるのだ。



「大丈夫よ。私が断つわ。

 というか、やろうと思えばこの領域は出禁に出来るわよ。

 正確には見えないようにするってだけだけど。

 こっちだってあれの情報はそれなりに確保できたからね。

 ピンポイントの対策ならいくつか手を打てるわ」


「それは心強いし、時間稼ぎとしては有効だと思うけれど、それだけでも安心は出来ないわね。

 偽神が手のつけられない程強大な存在になって、無理やり破って乗り込んできたりしたら、それこそもうどうにもならないわ。

 場合によっては誘い込む必要もあるかもしれないし。

 追いつける内に追いついて始末するべきだと思うの」


「ひゅ~♪

 おかーさんやる気だね♪

 良いね良いね!そういうおかーさん大好き!

 愛してるぜ☆」


 まったく。調子の良い子ね。

さっきまで諦めムードだったくせに。



「時間を稼げば、私の本体がどうにかしてくれるかもしれないわよ?」


 たしかに。

混沌ちゃんの本体が動いてくれるなら、私達が頑張る必要はないのかもしれない。

ただそれは同時に、それだけ被害が拡大したという証拠にもなる。

偽神が強くなりすぎているだろうし、本体も周囲のまだ正常な細胞諸共切除してくるかもしれない。

そうなれば、私達もきっと巻き込まれてしまうことだろう。



「それでもよ。

 偽神だけとは限らないわ。

 暴走した私が他にも生まれるかもしれない。

 私だけじゃない。

 偽神に荒らされた領域の誰かが逃げ延びたかもしれない。

 そんな子達が、復讐に駆られて暴れまわるかもしれない。

 私達はいつか巻き添えをくらうかもしれない」


 私達はやっぱり備える必要がある。



「一度黒船が来たのに、鎖国して閉じこもっている場合じゃないの。

 こっちも軍艦を用意しておかなきゃならないの。

 成長して、次に備えなければならないの。

 敵はもう偽神だけではないの。

 そう考えて備えましょう」


「その例え、伝わらない人がいると思うんだけど」


「むしろ伝わる方が少数では?

 たしかアルカの故郷での歴史ですよね?」


 流石ノアちゃん。勉強熱心ね。

それとも何かのアニメで聞いたのかしら。



「そういえば、イオスの力があれば故郷にも帰れるの?

 時間差の問題はあるだろうけど」


「無理よ。

 あの世界は特殊なの。

 私だけが関与しているわけじゃないから、引っ張り出すのはともかく、あの世界に送り返す事は難しいわ」


「うん?どういうこと?

 イオス、というか混沌ちゃんって領域の主じゃないの?」


「厳密には少し違うわ。

 言うなれば、管理職の一種でしかないもの。

 似たような存在はまだ他にもいるのよ」


「その神達も、本体が別の所に存在しているの?

 領域って、混沌ちゃんの細胞じゃなかったの?

 混沌ちゃんの欠片が失われれば、領域ごと滅びちゃうんでしょ?」


「ダメよ。これ以上は話せないわ。

 本当に知りたければ、小春が私の後を継ぎなさい。

 そうすれば、一端くらいは覗き見れるかもしれないわね」


「前向きに検討してみるわ」


「「「「ダメに決まってるでしょ!!!」」」」


 いかん。迂闊だった。

先に色々根回しするつもりだったのに。

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