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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
37.白猫少女と異界の侵略者

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37-6.作戦会議・考察・黒幕と協力者

「先ずは謝罪を。

 私の力不足で皆様に多大なご迷惑をおかけしました」


 大丈夫よ。シーちゃん。

誰もあなたのせいだとは思ってないわ。



「私が状況に介入できなかった原因、いえ、その原因を引き起こした実行犯については既に特定が済んでいます」


 報告を受けた時は私も驚いたわ。

けれど、これもまた大きな一歩よね。



「随分と速かったわね。

 まさかその犯人は、私達家族に紛れているとでも言うの?」


 セレネが冷静に問いかけた。

半ば冗談のつもりだったのかもしれない。



「ええ。そうです。

 実行犯。認識できない何者かの協力者。

 ミユキに扮してゲーム世界に紛れ込んでいた者。

 その正体。それは、ミーちゃんです」


「ミーちゃん?

 まさかミーシャが?」


 ニクスが訝しげに問いかけた。

あかん。変な勘違いさせちゃった。



「お姉ちゃんの事よ。

 ついさっき私が生まれた世界からやってきた方のね」


「正確には、未来のミーちゃんです。

 今いるミーちゃんは関与していません。

 あのミーちゃんが成長した存在が偽物ミユキです」


「「「……」」」


「つまり、お姉さんは本当に三人存在したというのですね?

 私達のよく知るお姉さん。

 ついさっき家族に加わったお姉さん。

 そのお姉さんが成長したお姉さん。

 その内、私達を裏切ったのは三番目のお姉さんだと?

 完全な別人が成り代わっていたわけではなく?」


「ええ。

 そういう事よ。

 事前にその可能性に気付いたシーちゃんは、ミーちゃんの体を産み出す際にとある仕掛けを施したの。

 ミーちゃん本人にも気付かれないようにしてね」


「つまりその痕跡がゲーム内から見つかったって事?」


「そうです。

 最初の調査では気付く事が出来ませんでしたが、ミーちゃんに仕掛けを施した後は想定りにその痕跡を発見する事が出来ました」



「「「「「「……」」」」」」


「これが今回シーちゃんが遅れを取った理由よ。

 偽者お姉ちゃんは、シーちゃんと同基盤かつ、より高度な技術を有していた。

 その上で、シーちゃん自身の事も知り尽くしていたの」


 シーちゃんが手も足も出ないなんて、そうでもないとあり得ないわよね。



「どうやら未来のミーちゃんは、この後シーちゃんと活動を共にしたみたい。

 シーちゃん自身から様々な技術を受け継いだの。

 それに体の方もシーちゃん特製のナノマシン体だからね。

 それだけ揃っていれば、器用で勉強熱心なお姉ちゃんならきっと造作もなかったのでしょうね。

 そうして、今のシーちゃんを遥かに超える高い技術力を持つに至ったわけ」


 それにしても酷いインチキだ。

この調子で家族全員未来から引っ張ってこられたら、敵勢力は全員私達の上位互換という事になる。

そんなのどうやって勝てというのだろうか。



「お姉ちゃんには内緒にしておいてね。

 一応、どっちのお姉ちゃんにも」


「何れにせよお姉さんの事ですから、間違いなくそれはアルカの為なのでしょう。

 未来でアルカが人質にでも取られたのでしょうか」


「かもしれない。

 けど特別な理由なんて無いのかもしれない」


「どういう意味ですか?」


「これは想像だけど、偽物お姉ちゃんが協力しないと、ミーちゃんが今の状態にならないのよ。

 偽お姉ちゃんは利害の一致で協力したにすぎないのかも。

 私の側で生きたかったお姉ちゃんは、この異世界転生を成功させたかったのかもしれないわ」


 ある意味人質に取られていたのは自分自身だったのかも。

異世界転生させるから協力しろと。

そうでなければ全て無かった事になるぞと。


 ただ、実際にはそうならないような気もするのよね。

過去を変えても、それはよく似た別の過去を変えているだけで、当事者自身の過去には影響を及ぼさないはずなのだ。


 少なくともニクスはそう言っていたし、実際に過去を変えた方のお姉ちゃんは、その結果として未来が変わったにも関わらず消えずに存在しているのだ。

そうして二人、いえ、三人のお姉ちゃんが揃った事こそ時間の流れが複数に分かたれている何よりの証拠になるはずだ。


 それでもシーちゃんが仕込みを成功させられたのは、そもそもミーちゃんの肉体が今さっき生まれたばかりだからなのだろう。


 加えて、シーちゃん自身が調査時の盲点をでっち上げたというのもあるのかも。

まあそこまで細かく仮定しだすとキリがなさそうだから、一旦脇に置いておこう。


 何より大切なのは、ミーちゃんに施した仕掛けが間違いなく偽者お姉ちゃんにも残っていたという事だ。


 それらを合わせて一つだけ追加で仮定するとしたら、たぶんミーちゃんの存在自体がこの世界の地続き上にしかあり得ないのだろう。

あまりにも発生条件が特殊すぎて、他のよく似た未来とやらが存在しないのかもしれない。


 ただ、それでどうやって敵は未来のミーちゃんを用意したのかという疑問が残る。


 未来のミーちゃんが先で、今のミーちゃんが後だ。

その順番は覆らない。


 未来のミーちゃんが時間を稼ぎ、黒幕が混沌ちゃんを追いやって力を奪い取った。

奪ったその力でミーちゃんを転生させた。

恐らくそんな流れなのではなかろうか。


 少なくとも、混沌ちゃんにはその為の力があったはずだ。

私をミーシャ世界に攫った時のやつだ。

別世界への移動は混沌ちゃんの力なのではなかろうか。


 かつてニクスが、この辺りの世界は混沌ちゃんの直轄だと言っていた。

黒幕が混沌ちゃんの力を欲したのもそこに理由があるのではないだろうか。


 とはいえ、黒幕と未来ミーちゃんの接点がわからない。

どうやってコンタクトを取り、どうやって送り込んできたのだろう。



 そもそも、その未来ミーちゃんはどうやって発生したのだろう。

黒幕の過去干渉を前提とした未来が既に存在するのだろうか。


 あるいは敵が行動を起こさずとも、決断した時点で未来のミーちゃんが発生したとでも言うのだろうか。


 そんなの何でもありだ。

太刀打ちなんて出来るはずがない。

この可能性も脇に置こう。

それが正解なら、そもそも考えたってどうにもならない。



 そうか逆なんだ。

在り得るのは、今の私達の延長線上に黒幕自身が存在する可能性だ。


 例えばそう、今のこの私自身。

黒幕を憎み、力を欲している私だ。


 この私自身が未来で力を得て、混沌ちゃんを乗っ取り、黒幕を倒そうとしている場合だ。

その可能性は無いとは言い切れない。


 ただそうすると、黒幕なんて存在しない事になってしまう。

だって未来の私もまた、追っているのは更に未来の私自身になってしまうのだ。


 そんなはずはない。

気付かないはずがない。

こうして私が気付いているんだから。


 どれだけ憎く思おうと、そんな不毛な追いかけっこを続けるはずがない。


 どこかの私が手を引くはずだ。

家族を巻き込んで、人を外れた存在に成り果てて、そこまでしてやる事ではない。


 ただ、未来の私自身が黒幕という線はそう的外れでもなさそうな気もする。

それなら、未来ミーちゃんが力を貸した理由も、私達の事を知り尽くしている理由も、全部説明が付いてしまうのだ。


 そうなると、問題は動機の部分だけだ。


 ……。


 この仮説も一旦置いておこう。

皆の意見も聞いてみるべきだ。


 もう一つの問題を先に考えてみよう。

未来ミーちゃんがいつこっちにやってきたのかだ。

ニクスが最後に穴を開けたのは、私達がミーシャ世界から帰還した時だ。


 いや、この件もニクスの意見を聞いてみてからにしよう。

この件に関しては、ニクスが一番詳しいはずだ。



 皆、考え込み始めた私を待っていてくれたようだ。

取り敢えず会話を続けよう。



「認識できない何か、長いから取り敢えず黒幕と呼ぶわね。

 黒幕も何でも自由に出来るわけじゃないと思うの。

 そうでなければ、協力者なんて必要ないわ。

 実際ゲームでやった事なんて時間稼ぎくらいだろうし。

 黒幕自身にはそれ以外の真の目的があったんだと思う」


「偽物お姉さんはむしろ早くゲームを終わらせようとしていたようでしたが?」


「それは早く混沌ちゃんをあの場に呼び出したかったのよ。

 時間稼ぎと言ったのは、混沌ちゃんの足止めの事よ」


「なるほど。

 そういう事ですか。

 混沌ちゃんを引きずり出し、留守の間に罠を仕掛け、こうして混沌ちゃんから全てを奪い取ったと」


「まったく。

 お母様が転がされたせいでこっちは大迷惑だよ」


「ニクス、混沌ちゃんへの不満は後にして。

 今は真剣に話し合うべき時よ」


「ごめん」


「まあ気持ちはわかるけどね。

 これまでも色々と引っ掻き回してくれたもの」


「セレネ」


「わかってるわ。

 話を続けましょう」

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