36-68.vs魔神 - ???
「はぁはぁはぁはぁ…………あれ?」
「ニクス!やっと目が覚めたのね!!」
私は動きを止めたニクスの下に転移して抱きしめた。
「アル、カ?」
「もう!バカニクス!
心配かけて!」
「心配?
えっと?
あれ?
お母様は?」
記憶が飛んでるらしい。
なんて都合の良い頭なのかしら。
まったく。沢山心配かけておいて。
「ほら、あれ。
もうピクリとも動かないの」
魔神の頭部はだらりと垂れ下がっている。
ライフは満タンなのにボコられすぎて動けないらしい。
もうだいぶ前からあんな感じだ。
ニクスはああなってからもボコり続けてたけど。
流石に混沌ちゃんは抜けだしたのかしら。
もしかして元の人格?に戻ってるのかな?
本来の魔神は可愛そうだ。
わけもわからないまま抵抗も出来ずに殴り続けられていたのだから。
『ふっふっふ。
どうやら死んだふり作戦は成功のようじゃのう』
違った!!
混沌ちゃんだった!!
しぶとすぎるでしょ!!
というか手口がこすい!
とても原初神とは思えない!!
『小春よ。先程はよくも見捨ててくれおったな?』
「お母様。まだ続けるおつもりで?」
『……今回はこの辺にしておいてやるのじゃ』
弱い……娘に弱い……。
混沌ちゃん、やっぱ寂しがってるだけなんじゃ……。
「混沌ちゃん。いえ、お義母様。
私を神にしようとしないなら、また何時でも遊びにきて」
「アルカ!?」
ニクスを手で制して言葉を続ける。
「言ってくれれば今度からは歓迎するわ。
大したものは出せないけど、ニクス達とお茶をする場くらいは用意してみせる。
だからお願い。
仲直りしましょう。お義母様」
『……その裁量はお主の立場を超えておる』
「ニクス、お願い」
「……ダメだよ。許可できない」
「ニクス。お願い」
「ダメ」
「命令するわよ?」
「……お願いだよ、アルカ。私を信じて」
「勿論信じているわ。
ニクスならお義母様と上手く付き合えるって」
「……無茶言わないでよ」
『時間切れじゃ。
ではのう。小春。
その心意気は嬉しかったぞ。
おっとこれは褒美を』
「要らないわ。お義母様。
お義母様は私の家族よ。
家族に優しくするのは当然の事よ。
こんな事に褒美なんて要らないわ」
『……そうか。
またのう。小春。ニクス』
「ええ。また。お義母様」
「……」
「ニクス」
「……もういないよ」
「そっか。一度戻ろっか。私達も」
「……うん」
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「お主……」
「あら?
おかえり、◯◯◯。
娘とのお遊戯は楽しかった?」
「……ボチボチじゃな」
「嘘ばっかり。
どう見ても嬉しそうじゃない」
「お主のせいで台無しじゃ。
じゃが、確かにまだわしは気分が良い。
今なら見逃してやろう。
疾く失せるがよい」
「あはは。冗談でしょ?
折角苦労してここまで来たのに」
「……」
「……ふっ。いやねぇ~もう!
そんな深刻な顔しちゃって!
大丈夫よ。あなたの重責は全て私が肩代わりしてあげる。
それにこっちのあなたには何の恨みもないの。
だから娘の側に送ってあげるわ。
長くは続かないだろうけど、精々最期の刻を楽しんで♪」
「背負いきれはせぬぞ」
「あら?
私の心配までしてくれるの?
ふふ。本当にこっちの◯◯◯は優しいのね。
反吐が出そう♪」
「……好きにせよ」
「もちろん♪
言われるまでもないわ♪」




