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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
36.白猫少女と原初神

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36-39.挑戦

今回もルイザ視点のお話です。





「あっつ!熱いって!尻尾焦げてる!?

 もう!全然話し聞いてくれないじゃない!!」


「きゅー!!!きゅっきゅっきゅぅー!!!」


 お母様ドラゴンは、私達が近づくなり問答無用で猛火を吐き出しました。


 これはブレス攻撃というものでしょうか。

ドラゴンの切札的なものではないのでしょうか。


 私、既に勘当されてしまっているのかもしれません。

危うくアリア様共々丸焦げになるところでした。

アリア様の判断力と素早さがなければ、今ので終わってしまっていた事でしょう。


 これは困りました。

話など出来るご様子ではありません。

一度落ち着ける必要があるのではないでしょうか。



「きゅぅきゅ!きゅっ!」


 私はお母様ドラゴンを指して、自分を指します。

やはり先ずは私一人で行くべきではないでしょうか。



「ダメよ!

 この状況で行かせられるわけ無いじゃない!」


 アリア様は私の意図を察してくださいました。

ですが、やはり断られてしまいました。


 確かに私一人ではブレスを避ける事など不可能でしょう。

今の頭に血が上ったお母様ドラゴンには、私の区別などついていないのかもしれません。


 そもそも、お母様は卵が孵った所を見ていないのです。

私の事をわかっていない可能性もあるのです。


 アルカ様が言うには、お母様ドラゴンはアリア様が私を連れ出した事に怒って取り戻しに来たという事でした。


 お母様ドラゴンは、どうやって気が付いたのでしょう。

アリア様の匂いでも残っていたのでしょうか。

ここまでは匂いを追って来たのでしょうか。


 そう仮定したとするなら、例えば強い匂いでアリア様と私の匂いをかき消すなどすれば、刺激せずに近づく事もできるのではないでしょうか。


 いえ、そうなれば近づく必要も無いかもしれません。

光の道に収まるギリギリ脇を通り抜けたりなど出来ないでしょうか。


 ……ダメそうですね。

この道幅より、広場の幅の方が大きいようです。

どう頑張ってもお母様ドラゴンに気取られる事でしょう。


 ならやはり正面から話しかけ続けるしかありません。



「きゅーーー!!!

 きゅっきゅきゅるぅうう!!!!」


 アリア様の腕の中から、精一杯の大声を張り上げます。

アリア様は私を抱えたまま、ドラゴンの攻撃を避け続けるので精一杯です。

ここは私が説得を試みるより他はありません!



「ぎぅうぁぁぁああああああ!!!!!!」


「あれ!?

 何か益々怒ってる!?

 ルイザ何言ったの!?」


「きゅ!?」


 これはあれでしょうか。

私がお母様に助けを求めていると勘違いされた感じでしょうか。

良かったです。勘当されていたわけではないようです。

きっとお母様は少々大雑把なお方なのでしょう。

娘諸共丸焼きにするくらい大雑把なだけなのです。



「もう!もう!もう!

 本当にどうしろってのよ!!」


 はっ!?

現実逃避している場合ではありません!!

お母様の攻撃が激しさを増しています!

このままではアリア様が避けきれなくなるのも時間の問題です!

やはりここは一か八か賭けに出るしかありません!



「きゅっ!きゅきゅきゅぅ!!!」


 私はアリア様の腕の中で身を捩り、どうにかその場から抜け出します。



「ルイザ!?」


 私を取り落としたアリア様が慌てて拾いに戻ろうとするものの、お母様の振り下ろした前足によって分断されてしまいました。



「きゅ!!」


 私はすかさずお母様の前足を駆け上がり、お母様の肩を目指します。

このまま、より近くで声を届ける必要があります!



「ぎゅぁう」


「きゅ!!」


「ルイザ!!」


 お母様は無慈悲にも前足を振るわれました。

やはり極度の興奮状態にあったようです。

取り戻すべき娘の姿にも気が付いてはもらえませんでした。


 なすすべなく地に叩きつけられた私は最早起き上がる事すら出来ません。


 ああ、こんなところで終わってしまうなんて。

アルカ様の仰った通り、アリア様を信じるべきでした。

きっとアリア様なら私がこのような無様を晒すまでもなく、お母様を退けて下さったことでしょう。


 お母様が地に落ちた私に向き直ります。

今更になって気が付いて下さったのでしょうか。

お母様もすみません。

このような形でお別れとなってしまうのは悲しい事です。

親不孝な娘をどうかお許しください。

何より、アリア様の事だけはどうかお見逃し下さい。

娘からの最後のお願いです。

ああ……だめですね。もう声が出ないようです……。



「ルイザ!しっかり!ルイザ!

 お願いだから目を開けて!ルイザ!ルイザ!」


「きゅぅ~」


 やりました……少しだけ……声が……。



「ギィギャァァァアアアア!」


 アリア様!!!


 アリア様越しにお母様が腕を振り上げた光景を見た瞬間、もう指先一つ動かせないと思っていた体が急に力を取り戻しました。


 飛び起きた私はそのまま空に飛び上がり、アリア様とお母様の間に割り込みます。



「ルイザ!!!」


 アリア様!?

いけません!お逃げ下さい!


 アリア様も負けじと素早い身のこなしで私を抱き止めました。

ですが、出来たのはそこまでです。

最早二人共逃げる余裕などありません。

既にお母様の前足は目前にまで迫っている筈です。

このまま二人でペシャンコにされてしまうでしょう。

これはもう万事休すというやつです。

思えば今生は短い一生でした。

次があるなら、ドラゴン以外でお願い致しましょう。

ああ、今度こそ本当に終わってしまうのですね……あれ?

何だか長くないでしょうか?

もうとっくにペシャンコになっているはずでは?

これが走馬灯というものでしょうか?

いえ別に、過去を思い出しているわけでもないのですが。



「きゅ?」


「あれ?」


「ぎゅぅぅ」


 お母様ドラゴンはいつの間にか前足を引っ込めて私達を見つめていました。


 お母様からは先程までの荒々しさを感じません。

これはチャンスです!

よくはわかりませんが、今なら話を聞いてくださるかもしれません!



「きゅっ!きゅっ!きゅるる!

 (お母様!お母様!どうかお話を聞いて下さいませ!)」


「ぎゅぅぅ……」


「話が通じてるの!?」


 どうでしょう。

残念ながら、お母様の言葉はわかりません。

ドラゴン語を勉強したわけではないので当然なのかもしれません。

もしかしたら、この地でドラゴンとしてお母様の下で暮らすことを選んでいたのなら、そんな未来もあったのかもしれません。


 ですが私は!アリア様と共に旅立ちたいのです!

世界を見て回り、様々な経験を積んでみたいのです!

お母様!どうかお許しを!

必ずまた戻って参ります!

立派に成長した姿をお見せします!

この世界での私の目標をたった今そう定めました!

お願いします!お母様!


 私は思いの丈を精一杯言葉にしてぶつけてみました。

果たして正しく伝わっているのでしょうか。

やはりドラゴン語でなければ難しいのでしょうか。



「お願いします!ドラゴンさん!

 娘さんは私が必ず幸せにします!」


 私達は必死にお母様ドラゴンの説得を続けました。

暫く黙って聞いていたお母様でしたが、最後に一声上げると何処かへと飛び立っていきました。



「ルイザ!」


「きゅ!(アリア様!)」


「やったわ!

 やったのよ!

 私達クリアしたのよ!」


「きゅ!(やりましたわ!)」


「それにしても、さっきはどうやったの!?

 ルイザのライフ、もうギリギリまで減ってたはずなのに。

 今も少ないけど、少し回復してるみたい。

 そもそもなんで残ったの?

 ドラゴンの攻撃なんて、今のルイザが耐えられる筈なかったのに……まさかアルカが何かしたの?」


「きゅうぅ?

 (私にも何が何やら?)」


「そうよね。

 ルイザだってわからないわよね。

 後でシイナを問い詰めなきゃね」


「きゅっ!

 (仲良くして下さいませ!)」


「あはは!

 相変わらず何言ってるんだかわからないわ!

 戦ってる最中は少しわかった気がしたんだけどなぁ」


「きゅるる?

 (あれは逃げていただけでは?)」


「まいっか!

 さあ!今度こそ先に進みましょう!」


「きゅっきゅるぅ!

 (旅立ちの時です!)」


 先ずは人間の姿を取り戻さねばなりません。

アリア様いわく、勇者と聖女を探し出すのが一番だとか。

神聖な力を分け与えられる事で、聖獣化する事が出来るそうです。


 勇者と聖女は、ゲームマスターと神を除いた二十八人の参加者の誰かだそうです。

当然私とアリア様は違いますので、残り二十六人の誰かなのでしょう。

世界を巡って、一人ひとり探してみる必要があるようです。

本当に一週間で見つけられるものなのでしょうか。


 しかも、私はこの地に戻って来ると約束致しました。

出来ればお母様ドラゴンにもう一度挑み、成長した私を見て頂きたいのです。


 実は結構悔しいのです。

今回は文字通りのお荷物でしかなかったのですから。

その時が来るまで、どうかお元気で。お母様。




----------------------




「結局なんでルイザちゃんは助かったの?」


「イベント戦ですから。

 ルイザはこの戦闘では死にません。

 終了条件はアリアが時間いっぱい生き残る事です」


「体力が回復したのは?」


「戦闘終了後のレベルアップによるものです。

 ルイザが飛び起きる直前、制限時間に到達しましたので」


「なるほどね。

 ……それってもしかして、ルイザちゃんを盾や囮に使うのが最適解だったって事?」


「……ドン引きです。マスター」


「いや、本気でやるつもりは無いわよ?

 でもこれ、ゲームだしさ。

 攻略を突き詰めて行けばそんな手段に行き当たる事もあるでしょ?」


「……なるほど。一理あります。

 後ほど相談に乗って下さいマスター。

 我々にはマスターのような姑息な発想が足りていませんでした」


「もう!やっぱり機嫌悪いんでしょ!シーちゃん!」


「いえ、逆ですよ。

 少々浮かれているだけです。

 マスターがずっとお側にいて下さるのですから」


「なら良いけど。

 そもそもシーちゃんだって、普段は私と同化して過ごしたら良いじゃない。

 私は何時だって歓迎よ?」


「アルカ様世界の運営効率が落ちます」


「気にする必要は無いわ。

 シーちゃんが頑張ってくれているのは有り難いけど、シーちゃんをその為だけに縛り付けておくつもりは無いもの。

 それでも納得できないなら、一緒に他の方法を考えましょう。

 シーちゃんの仕事を半分くらい受け持ってくれる存在がいれば、余裕ができるわけでしょ?」


「……その件はまた後ほど。

 今はこの世界の運営に集中しましょう」


「そうね。

 ルビィはともかく、レヴィの方は気がかりだし」


 うちの幼女、驚く程逞しいのよね。

リヴィもルビィも素が幼いから難しいかと思ったのだけど、何か普通に満喫してるし。


 反面、レヴィは問題が多いのだ。

元々争いが苦手だし、人の世界に慣れているわけでもない。

何せ森育ちのハーフエルフだし。

このゲームの性質とはマッチしていないのだ。

未だに初期地点を出る様子もない。

多分このまま、ゲーム終了時間を迎える事になるだろう。

あり得るとしたら、セフィ姉が見つけ出して連れ出すくらいかしら。

残念ながら、二人の初期地点的に難しそうだけど。


 シーちゃんがアリアにそうしたように、セフィ姉かレヴィを転移させてあげるって手も無くもないけど……。

まあ、もう少しだけ様子を見るとしましょう。

レヴィとルビィの位置は近いし、ルビィが気付いて迎えに行けるかも。


 ルビィ、ダイスの縛りは早々に無視しちゃったし。

それでも楽しみ方を見つけ出しているあたり、ルビィには色々才能があるようだ。

そろそろ魔術の訓練くらいは始めても良いのかもしれない。



「次は戦闘を介さずに成長できるシステムも導入すべきね」


「具体的には?」


「畑を耕したりとか、アルバイトとかでも成長出来るようにするの。

 まあ、一週間制限の中ではどちらも難しいかもだけど」


「皆さんの様子を見ながら考えてみる事と致しましょう。

 その手の大幅回収は、試行を繰り返した上で検討すべきかと」


「そうね。

 最初はテーマを絞るのも大切よね

 いきなり出来ることを増やしすぎても楽しみきれないものね」


 ルイザちゃんはまた戻って来るみたいだし、そういう個々人で見つけ出す楽しみ方も参考になるはずだ。


 ふふふ。良いわねゲーム作りって。

これは益々楽しくなってきたわ♪

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