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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
36.白猫少女と原初神

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36-26.混乱

『賊が現れました。

 ツムギを拐うつもりのようです』


『捕まえて黒幕を吐かせて』


『がってんです』



 ツムギの下に派遣したヤチヨから念話が送られてきた。

あるかもとは思っていたけど、本当に襲撃の報告を聞くとヒヤッとしてしまう。


 もっと護衛の人数を増やすべきかもしれない。

今はツムギとアレクシアさんにヤチヨ、ステラにサナ、ナディとアニエスにヒサメちゃん、マノンにハルちゃん(分体)がついている。


 出来ればアレクシアさんにも個別に護衛を付けたいところだ。


 とは言えそれは難しい。

一先ずはヤチヨにツムギごと守ってもらうしかないだろう。




----------------------




『早々に出張任務だなんて。

 先輩は鬼です。冷血です』


『ごめんてば。

 そう長い期間にはならないから』


『冗談です。

 ちゃんと血は温かくて美味しいです。

 星三つを差し上げます』


 お墨付きが出た。

何採点?




----------------------




 今回の件で、国の中枢を随分と引っ掻き回してしまった。


 ツムギとアレクシアさんの身には危険が迫っている。

機に乗じて良からぬ事を企んでいる者が潜んでいるのだ。


 そうでなくとも、王妃様とツムギ達の和解が成立して計画が消え去る事に、協力的だった貴族達からの反発だって出る事だろう。




 この先の事は慎重に進める必要があるだろう。

少しばかり大事にし過ぎてしまった。

王族のガタガタっぷりも一部の貴族達には知れ渡っている。


 とは言え、この件に私が関わるわけにもいかない。

例え冒険者として護衛を請け負う事になるとしても、私ではダメなのだ。


 端から見た私は、この国の中枢を引っ掻き回した元凶だ。

手柄を理由に幾人もの姫に言い寄り手を出した、とんでもない痴れ者だ。


 この国の混乱は全て私が原因だと考える者もいるだろう。

ともすれば、シルヴァン王子が亡くなった事すらも、私の奸計と考えていたっておかしくない。




 どうやらこの状況は、あの決闘の影響も大きいようだ。

まるで王妃様が私を排除する為に急いで帰国してきたような絵面になってしまったからだ。


 王妃様はこの国の皆から慕われていた。

王妃様の正しさを追い求める姿勢は、多くの者達から称賛されていたようだ。


 普通、そういう人って早々に排斥されそうなものなのに。

王妃様がよっぽど上手く立ち回っていたのだろうか。

それともまさか、そういう国民性だとでもいうのかしら。


 何にせよ、その王妃様が未だ目覚めていない。

精根尽き果てて、眠りについたままだ。

幸い命に別状は無いみたいだけど、いつ目覚めるかもわからないそうだ。




 これはかなり不味い状況だ。


 王妃様との正式な和解がなされていない以上、正義の王妃様とその敵対者達という構図が崩れる事はない。


 私だけでなく、ツムギとアレクシアさんに不信感を抱く者も数多く存在している。


 実際、あれから話し合いは進んでいないようだ。

決闘から一晩明けた今でも、ツムギとアレクシアさんは事態を収拾しきれずにいる。


 今や味方に付けていた筈の重臣達ですら、まともに話し合いには応じてくれていないようだ。


 結果的に、私が公衆の面前で王妃様を打倒してしまった事は、重臣達の不信感を招く事にも繋がってしまった。


 王妃様に付くべきと考える者も、どちらも頼りにならないと判ずる者も出始めている。




 不幸中の幸いと言って良いのかは微妙だが、王妃様の強さも知れ渡っていたお陰で、表立って私達と敵対しようとする者は現れていない。


 とは言え時間の問題だ。

既に一部の者は動き出している。

この機に国を盗ろうとする者達や、純粋に国や王妃様の為を思って暴走する者達も現れるだろう。


 暫く私はムスペルに近づくわけにはいかない。

かと言って、ツムギ達を放って置くわけにもいかない。


 解決するまで帰って来るな、なんて言ってしまったけれど、一旦引かせるべきなのかもしれない。


 けれどツムギはそう思ってはいないようだ。

必ず自分の手でこの混乱に決着をつけると息巻いていた。

今は信じて待っていてくれと告げてきた。


 であるなら、私はツムギ達の奮闘を信じて待つとしよう。

本当は不安で堪らないけれど、伴侶の決意を信じないわけにはいかない。


 既に必要最低限の護衛は付けてある。

これ以上の口出しも手出しも無用のはずだ。


 そもそも私が手を出すと、より事態が大きくなっていくものだ。

今までの経験からそれを学んできたのだ。

いい加減自覚して、自重していかなければならない。



「わかってるんだけどなぁ」


『ダメよ。我慢なさい』


「ならリリカに行ってもらう?」


『便利に使いすぎよ。

 リリカにはリオシアを任せているじゃない』


「イロハはどう?

 分体使って潜入してみない?」


『嫌よ。面倒くさい。

 ヤチヨとヒサメ、それにサナまでいるのだもの。

 もう十分過ぎる人員を配してあるわ』


「でもほら、ヒサメちゃんは引きこもり気味だし、サナ、というかステラは離宮でしか活動しないだろうし……」


『ヤチヨ一人で十分よ。

 いざとなったら国の一つくらい簡単に落とせるわ。

 丸ごと更地にして忘れてしまってはどう?』


「思ってもない事言わないで」


『ならいい加減切り替えなさい。

 アルカに出来る事なんてそれだけよ。

 つまり今のあなたは無力なの。

 諦めて不貞寝でもしていなさい』


「そりゃあ、私に政治的な事なんてわからないけどさ」


『べんきょうする』

『こんかいのけいい』

『よくかんさつ』

『つぎがんばる』

『くらいでいい』


「うん……そうだね……」

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