7-1.久々デート
結局私達はまだこの町に留まっていた。
あれから暫く経つが、
敵が動いたという情報は無い。
この町が襲われる事もないし、
他の町が被害にあったという情報も入っては来ない。
あれで諦めたとも思えないけど、
戦力の補充でもしているのだろうか。
「ア~ル~カ~!
遊びにでも行きませんか?
最近、根を詰めすぎです。
良い加減気を抜かないと持ちませんよ?」
私は宿のベットに座って集中して考え込んでいたが、
ノアちゃんに呼ばれて意識が浮上する。
「そうね。
そろそろノアちゃん成分を補充しないとね!」
私はノアちゃんに飛びついてベットに引きずり込む。
「きゃあ!どこ触ってるんですか!
くすぐったいです!やめてください!」
「ここか!ここが良いのか!」
ノアちゃんが笑い転げる姿に妙な気分になりながら、
しばらくノアちゃんをくすぐり続けた。
「アルカ!!!!」
ようやく開放されたノアちゃんは既に半ギレモードだった。
「ごめんなさい・・・
やりすぎました・・・」
「そうですよ!ずっとくすぐられてると苦しいんですよ!」
「あまりにも笑い転げるノアちゃんが可愛くて止められなかったの!」
「本当に反省してるんですか!?」
あかんそろそろ本気ギレモードに入りそう。
私は今まで散々ノアちゃんをキレさせてきたんだ。
もう怒りのボルテージがゲージで見えてる気がするくらい、
ノアちゃんの事はわかってる!
なら怒らせるな?
ごもっともです・・・
「まあ、良いです。
少しは元気が出たみたいですし」
ノアちゃんは急激に怒りを沈めていく。
いかん。また気を使わせてしまった。
「ごめんね。お詫びに今日は甘いものでも食べに行きましょう」
「良いんですか!」
「ええ。もちろん。
せっかくならセレネにも声かけてみる?」
「どうでしょうね。忙しくて断られる可能性が高いですし、
なら知らせない方が残念に思わなくて良いかもしれませんよ?」
「そうね。今度予定を空けてもらってから誘うことにしましょうか」
「そうですね!それが良いと思います!
セレネもきっと喜びます!」
「じゃあ、今日は二人だけで行きましょう。
それで、セレネを誘う時に行くお店も探しておきましょう」
「はい!」
私達は宿を出て町に繰り出す。
相変わらず行く先々で挨拶を交わすノアちゃん。
いつの間にかこの町でも人気者だ。
なんなのこのコミュニケーション能力。
私には絶対に真似できない。
「アルカ!こっちに美味しいお菓子屋さんがあるそうですよ!」
いつの間にか情報まで集めてきたノアちゃんに引っ張られて、
目的の店に辿り着く。
「本当に美味しいですね!」
早速買ったばかりのお菓子を食べているノアちゃんはご満悦だ。
ノアちゃん可愛い。
「アルカは食べないんですか?
美味しいですよ!
はい!あーん!」
ノアちゃんからのあーんだと!?
何この天使!うちの娘か!
「うん。美味しいね!」
ノアちゃんが差し出すお菓子を
少しドキドキしながら食べて平静を取り繕う。
「まだまだありますよ!」
それからしばらく幸せな時間が続いた。
「後は何がしたい?
ノアちゃんってあんまり服とか装飾品とか興味ないよね」
「そうですね。
そういうのはセレネと行ってあげてください。
私は美味しいものとダンジョン探索が好きです。
あと、ドワーフお爺さんのお店とか!」
なんともノアちゃんらしい。
もう少し大きくなったらおしゃれに目覚めるのだろうか。
でも、クレアの様子を見ていると、
興味ない人はずっと興味ないのかもしれない。
とはいえ、クレアは意外と綺麗好きだ。
常に戦闘服と武器を手放さないが、
身だしなみはしっかりしている。
意外とどこか良いところで育ったんだろうか。
そのうち聞いてみよう。
今ではクレアも友人と呼んで差し支えない。
もっといろいろ知って仲良くなりたいとは思ってる。
「たまには爺さんの店に冷やかしに行っちゃう?」
「良いですね!久しぶりに会いに行きましょう!」