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12 集結 1

登場人物紹介

挿絵(By みてみん)

アーロン:魔王軍の残した実験機Aヘブンベンヌの操縦者。召喚された西洋軍人で元魔王軍。奇怪な細胞に蝕まれた体を治すため蘇生の秘宝を求める。

挿絵(By みてみん)

聖輝せいき:魔王軍の残した実験機Aブルートセルポパルドの操縦者。元は王家に仕える騎士。主人だった姫君を蘇らせるため蘇生の秘宝を求める。

挿絵(By みてみん)

リリィ:魔王軍の残した実験機Aグールアンムトの操縦者。病の後遺症で最近まで動けなかった。体を完全に治癒させるため、蘇生の秘宝を求める。

挿絵(By みてみん)

アイル:魔王軍の残した実験機Aワールドハーミットの操縦者。滅んだエルフ国の元王。息子を生き返らせようと蘇生の秘宝を求める。

挿絵(By みてみん)

彩華いろは:実験機Aアビスエルナダハの操縦者。召喚された女サムライ。異性の戦友を蘇生させるため秘宝を求める。

挿絵(By みてみん)

ラン:ナーラー国最強のエージェント。実験機の調査に動く。乗機はSルビーフェニックス。

 夜が明けた。

 荒野の真ん中で、隊商は修理を急ぐ。

 昨日のアーロンが襲撃した際、何機もの運搬用機がダメージを受けていた。移動しながらよりもある程度直してからの方が目的地に早く着けると判断され、午前中は修理に専念する事になったのだ。


 彩華(いろは)・アイル・ラン・リリィの四人は乗機と同じ格納庫——商隊の持つ運搬用機の一つ——で待機していた。

 無論、襲撃に備えてである。

 

 そしてまだ早朝のうちに……

 倉庫に商人の一人が駆け込んできた。

「正体不明機が一機、接近しています!」



「先日の親衛隊でしょうか」

 彩華(いろは)が小首を傾げると、呆れた口調でランが言う。

「懲りずによくやるわね」

「何か策があるのかもしれないな。或いは別口かもしれないが」

 腕を組んで考えるアイル。

 Aヘブンベンヌだとすると、相手が三機だと知っているのに単機で正面から来た事になる。それは解せなかった。

 ならば罠があるのか、無関係な他の者なのかだが……


「ま、出撃はしましょう。関係ない旅人ならそれでよし。ヘブンベンヌなら、先ずは私が一人で相手をしてみるわ。どうせ隊商に近づかないようにしなきゃいけないしね」

 そう言ってランは自機の操縦席に向かった。

「無理はなさらないでください」

 同じく嫌な予感を覚えた彩華(いろは)が声をかけると、ランは振り向いてウインク一つ。

「オッケー。適当な所で助太刀を要請するわ」

 それを見送り、アイルも自機に向かう。

 だが一度だけ振り向き、リリィに声をかけた。

「君は機体に乗っていてくれ。あの中が一番安全だと思う」

「はい、わかりました」

 素直に承知するリリィ。


 秘宝を求める必要がもう無いので、彼女は既に戦いから退いている。

 それがラン・彩華(いろは)・アイルの認識だったのだ。

 リリィもそれを否定しなかった。



——格納庫の外——



 商人達が大慌てで運搬用機へと駆け込む中、三機が出撃する。

 ランがあえて突出し、接近する機体に近づいた。

 空の向こうから低空を飛んでくるのは——やはり元魔王軍親衛隊の乗るAヘブンベンヌ!


 ランは乗機Sルビーフェニックスで先制の射撃を放った。紅いエネルギー矢がまだ距離のあるうちから撃ち込まれる。

 ベンヌは急上昇してそれを避けると、上からビーム砲を放った。

 それを回避し、ランは次の矢を撃つ。


 大空を飛びながら互いに射撃を繰り返す二機の鳥人機。

 撃ち合いながらランに疑問が浮かんだ。

(ふうん? 商隊に近づこうとしないわね。私に先ず狙いを絞るつもりかしら)


 考えているうちにベンヌは高度を落し、あちこちにある岩山の一つを盾にする。

 陰から光線(ビーム)を撃たれ、ランも高度を落して別の岩山を盾にした。


 途端に駆け寄って来る機影が一機!

(伏兵!? そうか、魔王軍時代の仲間か何かを……)

 ランがそう思っている一瞬の間に、距離を物ともせず一気に間合いをゼロに詰めて来る。

 操縦者の叫びが通信機から届いた。

『今度こそ! 俺の手で始末してやる!』

 聞き覚えのある聖輝(せいき)の声。敵機はAブルートセルポパルド!


「あんた!? こんな時に、本気!?」

 驚愕しながらもランは急上昇をかけようとしたが、セルポパルドは岩山に駆け上ってさらに跳躍し、上へ逃げるフェニックスを捕らえた。

 フェニックスの片足にはセルポパルドの右腕、蛇頭の手が伸びて絡みついている。

 二機は放物線を描きながら地上へ落ちていった。


『いかん、ラン殿でも二対一では……』

 アイルが向かおうとするが、ベンヌは姿を消した二機を追わず、商隊の方へと真っすぐ飛んできた。

(こっちに来た?)

 多少の疑問は覚えたが、彩華(いろは)は自機に戦闘態勢をとらせる。

 Aアビスエルナダハが抜刀した。

 その隣でアイルのAワールドハーミットも。


 しかしその二機に絡みつく無数の触手!

 運搬用機の一つ、その陰に、いつの間にやらリリィのAグールアンムトが潜んでいたのだ。


「リリィさん!?」

 何をするのかと驚く彩華(いろは)

 同時にアーロンの叫びが通信機の向こうから聞こえた。

『燃え尽きろ! 劣等原住民どもがァ!』


 強烈なビームが着弾し、大爆発を起こした——。


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