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【22】幕間 ~うたた寝~

 解毒薬の『白竜の鱗』を手に入れた私たちは、急ぎ馬車で歌劇場へと向かっていた。


「悪しき悪戯を買ってクッキーに混入したのは、若い女、ですか」


 ジオツキーが馬を操りながら私たちへ声を投げた。


「『お奇麗なドレス』で『クソ生意気」だってな」


 色男、ブロディンが聞き出してきたことを反芻(はんすう)する。


「クララさんに対する恨みとかが、あったんですかねえ……?」


 アメリは隣の席から、私を見上げる。


「うーん、わからないわね、何が目的なんだか。クララさんが目覚めたら、女のことが何かわかるかもしれないわ。歌劇場に戻ったら、すぐに白竜の鱗をクララさんに飲ませましょう」


 今のところそれ以上の情報が無い私たちは、夜も更けていたこともあって、次第に口が重くなっていった。そして、いつの間にか全員が黙って馬車に揺られていた。

 

 ……今日は色々ありすぎて、なんだか疲れたわ。


 私は今日一日のことを思い返していた。

 観劇して、アクティスと久しぶりに再会して。

 街で怪我を負わされて、灰青色の瞳の男性に助けられて。

 ……そういえば北部特有の肌色で、ランバルドの人だった。ああ、ランバルドはもう忘れたいわ!

 そうそう、それで悪しき悪戯よ! 白竜の鱗を求めてカプロキドの闇薬局に行って……。


 疲れたと自覚したら、なんだか体も(まぶた)も重くなってきて、私はうとうとし始めた。


「あのぉ、ブロディン、さっきのことですけど」


 アメリの声が聞こえたので、私は瞼をこすりながら、なんとか目を開けた。


「さっきはごめんなさい……私さっきブロディンが、あの女に本気になっちゃったのかと思っちゃって」


「信用されてませんね」


 ジオツキーがブロディンをからかう。


「オレは、トゥステリア王国とお嬢に、忠誠立ててるぞ?」


 盛り上がった胸筋の上に太い両腕を組んで、わざとブロディンは心外だとばかりに演じて見せた。ちなみにブロディンは私の名前を言い換えるのが面倒なので、いつもお嬢と呼んでるの。


「本当にごめんなさい、ブロディン。いつもはちゃんと信じてるんだけど……、さっきはフェリカ様を悪く言われて、つい頭がカーっとなっちゃてえ……」


 ブロディンは『わかってる』と、片手を挙げて応じた。

 アメリ。いつもとっても大事に私のこと思ってくれているのね、嬉しいわ。

 ありがとう、アメリ。


 そのやりとりを聞きながら、私はほっこりした気持ちに満たされて、まどろみ始めた。


「ねえジオツキー、ブロディン、これだけは信じてほしいの!」


 何を信じて欲しいのかしら? アメリ。

 目を開けていられなかった私は、耳だけで様子をうかがった。

 アメリは二人に熱く語り出した。


「あのね、フェリカ様は、そんなに(ひど)いひょろひょろ(まな)板じゃありませんからね? 二人にはちゃんとわかってて欲しいの! フェリカ様の名誉にかけて、ひょろひょろ俎板じゃ無いって信じてあげて、ねえ?」


 その瞬間、眠く重たい瞼なんか、どっかに吹っ飛んじゃったわよ。


「アメリっ!!」


「あれっ? フェリカ様、起きてたんですかあ? もしかして、聞こえちゃいましたぁ? 安心してくださいね、フェリカ様がそんなでもないって、二人に伝えておきましたから」


「そ、そんなでもない、ですって……?」


「フェリカ様? どおしたんですかぁ? ……なんか怒ってます?」


 ツインテールを跳ねさせて首を傾け、きょとんとするアメリ。

 もうこれだから天然娘は! 

 きっと私が何を言っても『馬耳東風』なのよっ(ジオツキーには聞かせられないけど)。


「……んもうっ、とにかくアメリ!! この口、おしゃべりしすぎよっ!」


 私はアメリの両頬を()()()()むぎぎぎ……と引っ張った。


「ふぇりひゃひゃまぁ、ひゃにふるんでふはぁ!?」  (翻訳:なにするんですかぁ!?)



 えーん! 私、恥ずかしくって、もう泣きたいんだからね~!?


馬耳東風…馬が春風を気にしないように、人から言われたことを気にも留めないw



読者のあなた様!

お読みいただきどうもありがとうございます<(_ _)> 作者の あき伽耶カヤです。


物語の途中ですがちょっとお邪魔いたします(^^)ふだんは読者さまの読後の余韻を大事にしたいので極力控えてますが、『第22話 幕間』のタイトルに乗っかりまして、作者も少々お喋りを。


この物語、たまたま見つけて読み続けてくださる方が、処女作「捕らわれ侯爵邸」の時よりも多いみたいです。なろう非登録(以前私も(^^))の方も追いかけてくださっているご様子で、本当に嬉しいやら有難いやら…! そして、なんと「侯爵邸」を読んでくださる方もいて! うわー本当にありがとうございますっ 粗削りで読みにくいでしょう? 感謝しかありません<(_ _)>( ノД`) 

その「侯爵邸」を踏まえて本作を読んだ方は、ちょいちょい侯爵邸の要素をいれてますので、お楽しみいただけるかと思います(小説冒頭、地図、今回のほっぺ等)。

勿論読まなくても、このお話は全く問題ございませんのでご安心を♪


さて物語が動き出して、フェリカたちは大忙しで奔走しています。これから出てくる登場人物もまだいますし、ハリポタじゃないけど「名前を訊けちゃうあの人」もまた出てきます。魔術や不思議空間も出てきます。

ちなみに、作者は名称や名前をいろいろモジるのが好きで(例外もあり)、想像つく範囲でそちらも楽しんでいただけたらと思います(スイーツ好きのアメリ等)。

今、物語は3合目過ぎた辺りです。完結まで書上げてあります!より面白くなるよう日々整えて投稿していますので、どうぞ今後ともあたたかく見守ってください。

それでは、作者はそろそろ楽屋へ向かいます(^^)


押してもいいぞ!と思う時がやってきましたら、ブックマーク、★で是非応援をよろしくお願いいたします! 感想もお気軽にどうぞ。 


では引き続きおたのしみください♪


末筆ですが、いつも応援してくださる書き友さんの皆様、本当にありがとうございます。まだまだ続きますので長い目でよろしくお願いいたします<(_ _)>


次回【第23話】クララは目覚めたけれど




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― 新着の感想 ―
[良い点] あきさんのお話は、悪徳商人との駆け引きシーンですら優しさが感じられ、一つ一つのエピソードを良い気持ちで読み終える事ができます。 前エピソードの、相手の体を案じるあまり、だまくらかして黒魔…
[良い点] 後書きが御謙遜だとしか思えない出来栄えの物語ですね。 ストーリーの流れも流暢ですし、要所要所で見せ場も豊富。 フェリカも御付きの面々も躍動感に溢れていており、的確な心情や風景の描写と相まっ…
[良い点] ここまで拝読しました。 友人のアクティスも気になりますが、ロデム は前作でもパーティで登場していた? どうかかわるか気になります。 歓楽街カプロキド を何度かカブキロ……とか読みそうになっ…
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