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星の花束を、春風とともに

作者: 逢乃 雫

書きかけの手紙の


まだ少し残した


余白のうえを



やわらかな陽射しが


少しずつ光で


埋めていくように



季節は冬から春へと


少しずつ移りゆき



夜空に浮かぶ


三日月は



目醒め始めた


春の瞳のような


光をたたえて




冬から春への


星の花束



過ぎゆく木芽月(このめづき)の夜


西よりの空の


冬の大三角



その上にある


紅い星雲は


バラの花飾り(ロゼット)のように



五千光年を超えて


光を届けるすがたは



まるで夜空を彩る


星の花束




春から冬への


星の花束



星の光を宿したような


ミモザの銀の葉



いくつもの花が


金色に煌めきながら


春の訪れを告げて



あたたかさと感謝の


星の花束




空のロゼットは


目には見えなくても



その場所は星たちが


教えてくれるから



星雲から生まれる


星々もまたこの惑星を


照らす光となって



そして春風は


目には見えなくても



そのすがたは


草木がそよいで


教えてくれるから



新しい季節は


この地上をあたたかな


光で照らして




人も草木も


夜空の月や星も


日々を懸命に生きて



夏の暑い陽射しも


冬の厳しい寒さも


あるけれど



やがて空と風は巡り


季節も巡りゆく



膨らんでいく蕾たち


目醒めの瞳のような三日月



咲き始めたミモザの


金色に輝く花と銀の葉



聴こえてくる春の鼓動



雪解星(ゆきげぼし)のように


そこから春が


広がっていくような



そんなあたたかな


言の花や


言の葉を


花束にできたなら




そして届けられたら


爽やかな、


春の風とともに














ミモザは、銀色が入った葉でたくさんの金色の花が早春に咲き、「感謝」の花言葉があります。木芽月は二月のことです。


また、「冬の大三角」のベテルギウスとプロキオンの間に、ばら星雲と呼ばれる星雲があり、目ではよく見えませんが、写真に撮ると紅いバラの花飾り(ロゼット)のような姿をしています。


「雪解星」(ゆきげぼし)は、樹木の周りから丸く雪解けしていく様子を表す言葉で、春間近の夜空に煌めく星をさすこともあります。


巡りゆく季節の中での想いを、星や花、花束をモチーフに描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点]  あらすじの言の花と葉、という言葉に惹かれました。  この作品自体が、言の花と言の葉でできた花束なのですね。 [一言]  ミモザの葉のイメージがなく。初めて知りました。  星の光のような銀…
[良い点] いつも同じことばかり書いてしまいますが、本当に美しいです。 冬の大三角、ミモザ、雪解星。 うっとりしながら読ませていただきました。 ありがとうございます。
2023/03/03 17:27 退会済み
管理
[良い点] >書きかけの手紙の >まだ少し残した >余白のうえを この部分うまく表現できませんが、とてもいいですね。 星の花束の描写がものすごく素敵で感動しました。 三日月を瞳に例えたのはとっても…
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