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目覚めたら死んでから10年経っていた、まずは国に帰ろう  作者: しろねこ。


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死因と処刑

リオンに今まで行なっていた執務についてと、変わった国交について話を聞いていく。


自然とエリックの死因やその後の話となった。


より詳しく知りたいと言うとリオンがティタンも呼んでくれる。


エリックを殺したのは北の軍事国ナ=バークの者だ。


凍てついた土地と、氷のように冷たい女王が治める国で、エリックの生前からアドガルムとは仲は良くなかった。


だが攻め入られるほど悪いものではなかったはずだ。


表面上は。


実際にはレナンを陥れようとしたり、そしてレナンの家族を冤罪で処刑しようとしていた。


ナ=バークの者がエリックを拉致しようとしたこともある。


だが、あの時点ではその間者とナ=バーク国との明確な関係性を見つけることが出来ず、手出しが出来なかった。


「……あそこの女王は俺とレナンを嫌っていたが、まさか直接殺しに来るとは思っていなかった」

会えば必ずエリックを射殺すように見つめていたナ=バークの女王、ミネルヴァ。


軍事国ナ=バークの力はエリックとて軽く見られるものではなく、決定的な証拠を見つけるまでは攻め入られないと、つかず離れず表面上の付き合いをしていたつもりだった。


「正直あの時何でやられたのかわからなかった、魔法か武器か?」

死ぬ原因となったあの怪我。 


女王の手元から放たれた衝撃と熱を思い出すが、何だったのかわからない。


あの女王が操るは自分と同じ、氷魔法だったはずだ。


だから熱を感じたのは意外だった。


攻撃を受ける際に自分も二コラも防御壁を張っていたのだが、それを破る程の攻撃とはどれ程強い力だったのだろうか。


いまだに見当もつかず、エリックはずっと気になっていた。











「魔法でも既存の武器でもありませんでした。銃、という武器だそうです」


「銃?」

リオンが言ったのは全く聞き慣れない物だ。


「鉄で出来た銃というものに、鉄で出来た弾を使うそうです。弾を銃に込め、魔力を送る。そうすると凄まじい威力で発射され、回転し、体に食い込んでいく。弾は何かに当たると爆発をし、対象物を破壊するのだそうです」


「熱さと痛みはそういう事か」


恐らくエリックの体で弾けたのだろう。


あのときの熱を思い出し、思わずお腹を擦った。


「で、女王は殺せたのか?」


「ええ。少し時間はかかりましたが」

エリックを殺し、身を翻して逃げる女王を、あの場で取り押さえることは出来なかった。


追おうとしたがナ=バークの者に阻まれる。


それでも一時はニコラが追い詰めたのだが、捕まえる前にエリックの死によって、志し半ばで生命を失ってしまった。


だが、その武器を奪うことは出来た。


それを魔道具に詳しいロキにお願いし、調べてもらう。


仕組みを知り、試作を行なった。


時には危険を冒してまでナ=バークに偵察に行き、ロキは詳しい情報まで探ってきてくれた。


それにより元のものよりも高性能な武器に仕上げ、数も増やしてアドガルム兵に与えた。


「魔力がなくとも、火薬で撃てるようにし、訓練を重ねて兵達が万遍なく力をふるえるようにしました」

戦争はナ=バークと、そしてあちらと手を組んだリンドールと行われた。


リンドールの兵力は低いが、ナ=バークから提供された武器を使われ、苦戦を強いられる。


そんなアドガルムに加勢したのは、同盟国パルスと友好国のシェスタだ。


「エリックの弔い合戦、参加するぞ。奥さんも美人だしな」

躊躇う父を押し退け、シェスタ国の王太子であるグウィエンが兵を挙げた。


「大事な友人の為に、そして俺が王になるために助力してくれたエリックの為にも、我が国は加勢を申し出ます」

パルス国の国王ルアネドもそうして力を貸してくれる。











女王を討ったのはティタンだ。


捕らえてアドガルムにつれて帰るのは危険と判断する。


本当は皆の前で処刑したかったのだが、その場で首を斬ることをティタンは決意した。


だからティタンが女王の最期の言葉を耳にした。


「何故兄上を殺した、そんなに憎かったのか?」

確執については兄のエリックから聞いている。


だからきっと憎んでの事だったのだろうと、ティタンは疑ってなかった。


「殺したかったのはレナンよ」

その言葉にティタンは面食らう。


ミネルヴァは最後だからと、ただただ言葉を吐いていった。













いくら権力があろうと、手に入らなかった他国の王太子エリック。


それを簡単に奪っていったレナンが憎かった。


権力も美貌も、女王より劣っているはずの女。


人形のように、ただ王太子の責務をこなしていたエリックの頑なな心を溶かし、人間にしてしまったレナンが憎かったのだ。


「彼は私と同じ、王家の人形だったはずなのに」

国と政治に従うしかない女王とエリックはとても似ている、と思っていたらしい。











「勝手に同志にしてもらっては困る」

エリックはため息を吐いた。


うんざりしたが、もしもその気持ちに気づいて、別な方法を取っていたら結末は変わっていただろうか、と考えてしまう。


考えても詮無い事なのだが。


「以前に禍根を残していたハインツとラーラも片しました。ルドとライカが討っています」

ルドもライカも炎魔法が使える騎士だ。


剣も体術も使え、氷魔法を打ち破る双子騎士と、氷魔法しか使えない二人は相性が悪かったようだ。


片腕しかないハインツの剣は、双子騎士には届かなかった。


最後の時までハインツはラーラの命を助けようとしていたそうだ。


ラーラがそれを拒み、攻撃を仕掛けてきたことで叶わなかったが。


「もとよりラーラを生かしておくことは出来ませんでしたが、ハインツの最後を思うとやり切れませんね」

愛しいものを守ろうとするハインツの行動は当然の事だ。


だがラーラは大罪人。


大規模転移にて、アドガルム国内に女王とナ=バークの兵を送りこんでいる。


そして女王達をナ=バークへと逃亡させたのもラーラだ。


どう足掻いても見逃せるはずはなかった。


「ナ=バークへ攻め入った時は、ラーラの転移術をロキ様が阻んでくれました。銃の攻撃についても、以前からある防御壁よりも、緻密でより強力な防御壁をリリュシーヌ様が張ってくれたので、戦況はアドガルムに傾いてました。ミューズも怪我人を回復するために力を貸してくれて、死人も少なかったです」

ティタンの報告によると、魔力の高い三人は強い戦力となったようだ。


昔しっかりとアドガルムに引っ張っておいてよかった。


「今ナ=バークとリンドールはどうなっている?」


「ナ=バークは世代交代させ、軍事解体もさせました。我が国とパルス、そしてシェスタからも人を送り、見張らせ、二度と戦争が起きないようにしています。リンドールは我が国の属国となりました」

リオンの言葉におおむね納得した。


「解決したならばいい。大変であったろうな、ありがとう」

ルアネドは会ったのに、恩着せがましい言葉も何も言わなかった。


相当大変であったはずなのに。


恐らくエリックがまだ落ち着いていないからと、余計な話はしないでいてくれたのだ。


本当にルアネドは良い奴だ。


グウィエンもナンパ癖がなければ、友人想いの良い奴だ。


軽口は吐くが強い腕前とカリスマ性を持つ男。


国王に逆らい、挙兵するなどどれ程のリスクだったろうか。


改めてお礼を言わねばならない。


レナンをナンパしたことは許さないが。






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