表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

四月一日はまだ終わっていない

 見た目はまったく同じ、二つの絵画。


 だが、絵の鑑定は「見た目」だけではない。科学的な方法も存在そんざいする。真贋のきわめは可能だろう。


 しかも、世界的名画をいくつも所蔵しょぞうしている美術館だ。きのスタッフがそろっているに違いない。


 ところが、思ったよりも時間がかかっている。


 ニュースを見ている者たちは考える。ひょっとして、美術館にある絵は二枚とも贋作で、本物はぬすみ出されてしまったとか?


 それなら、警察けいさつがわの現在の動きを犯人はんにんがわに気づかれないよう、絵の鑑定に手間てまっているふりをする、ということもあり得る。


 そんな時、「鑑定が終わりました」と美術館の館長が言った。


「信じられないことですが」


 テレビの中で話す館長。その表情は非常にけわしい。


「鑑定の結果、どちらの絵も『本物』としか」


 まさかの発表だった。絵は二枚とも『本物』!?


 なおも絵の鑑定は続けるそうだが、


「その真贋を正しく判定はんていできるかどうかは、かなりきびしいでしょう」


 そこで奇策きさくに出る。


 館長はテレビを通してびかけた。


 真贋の鑑定ができる人材をもとむ。この美術館をおとずれて、二枚の絵の真贋を見極めてしい。


「犯人の覆面男さんたちだろうと、大歓迎だいかんげいです。ぜひ、もう一度この美術館に来て、正解を教えてください。心からおちしております」


 そして、テレビ画面に表示されたのは、「美術館の入館料金」だった。


 この直後に館長が、先ほどまでとは一転いってん、明るい顔に変わる。


「えー、本日は四月一日ということで、普段ふだんよりもおとくな『エイプリルフール料金』をご用意しました。さらになんと、先着二百名さまには、非売品の限定グッズをプレゼント!」


 ここにきての急激きゅうげきな変化だ。これによって、少なくない人々が、この事件の「真相しんそう」に気づいた。


 どうやら、二枚の絵の真贋が判明はんめいするのは、もう少し先になりそうだ。たぶん、今日の日付ひづけが変わってから・・・・・・。


 四月一日エイプリルフールはまだ終わっていない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ