表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/73

32話 パーティーメンバーを、増やす提案をしてみました

「と、いうわけで、シャロを俺たちのパーティーで預かろうと思うんだけど」


「・・・・・・わけを聞こうじゃないの」


 ずい、と歩み寄りながら、リンネが言う。

 彼女の目がやけに冷たく感じられた。


「ほら、彼女あそこで働いてた、ってだけじゃない?それで拘束されちゃうのも、かわいそうかな、って」


 リンネは冷めた目をそのままに、続けて、とひらひら手を振った。


「なにもすぐにパーティーに加えよう、ってわけじゃないんだ。とりあえずはお試し期間ってことで、ギルドで拘束するかわりに、うちのパーティーで見張る、みたいなかんじでさ、どうかな?」


 リンネはまだ無言のまま、軽く目をつぶって人差し指を軽くあげた。


「なに?」

「いいたいことは、わかりました。私は、ね。でも、こういうことはパーティ全員ではからないといけないわよね。」


 そう思わない?と、彼女は斜め後ろに振り向いた。


「タロちゃん?あなたはどう思う?」


 そもそも、この部屋はタロのためにあつらえた部屋である。

 俺たちはともかく、オーウェンやギルド員たちに押しかけられて、タロは端の方で手持ち無沙汰にしているようだった。

 それが急に呼びかけられて、タロはとことこ前にでてきて、リンネの脇に腰をおろす。


「聞いてたわよね?タロちゃん。タロちゃんの意見がききたいわ?」


 タロはリンネをちらりとみて、それからシャロの方を見る。

 見られて、シャロはびくりと体を震わせた。

 タロはしばらくそうしてから、やがてぷい、と顔をそむけるようにした。


「タロちゃんは反対に一票、と。さあ、どうしましょうねえ」


 リンネはにこにこしながら、俺の方を見た。


「タロやリンネには悪いけど、もう決めたことだから」


 俺が言うと、リンネが、ついでタロが驚いたような顔をする。

 特にリンネは、俺が自分の意思をおし通したのにかなりびっくりしたようだ。


「ちょっと、ロッカさん?わたしは別にギルドにいってもいいと思ってるんですよ?あんまりわたしのこと、かまわないでください」


 横からシャロがそう言った。

 俺はそれすらもひとまずおいておいて、オーウェンに向かう。


「もともと、シャロはうちのパーティーに加入を願い出ていたんです。だから、彼女はうちのパーティーの預かりってことで、いいですよね?」

「ふむ」


 オーウェンはいつもの、あごひげをなでる癖をみせる。


「なにか事情がありそうじゃの」


 一瞬、彼の視線が鋭くなった。

 次の間にはいつものオーウェンに戻りつ、笑みを浮かべている。


「まあ、重要なことは聞けたきもするし、の。こちらがなにかあたらしく質問したいときには、いつでも応じてくれる、という条件でなら、ありじゃ。」

「シャロ、いい?」

「わたしはなにかいえる立場じゃないです。もう、まかせますよ」

「もちろん、なにかあったときの責任はロッカ君がとるんじゃぞ?」


 いいかね?というオーウェンに俺は大きくうなずいた。


―――――――――


「説明、してくれるんでしょうね。たらしこまれた、ってわけではないみたいだけど」


 人聞きが悪いですね、という顔をしたシャロを完全に無視して、リンネが俺につめよった。


 パーティー内での話し合いを後々報告することを条件に、オーウェンをはじめとしたギルド員はひきあげている。

 いまこの部屋には、俺とタロ、リンネにシャロと、パーティーメンバーしか残っていない。


「シャロがかわいそうだ、っていうのはほんとう。それが1番の理由だよ」


 俺がそういうと、シャロはふくざつな表情をして下を向いた。


「それとね、これはギルドにはないしょなんだけど、」


 詰め寄ったまま、さらになにかを言おうとしたリンネに、俺は続ける。


「アドルフが、いたんだ」


 聞いたリンネは、ふらつくように2、3歩うしろに下がってから、しばらくの間、絶句する。


「だから、俺たちだけでシャロの話を聞いた方がいいかな?っていうのもあって」

「そう、そうなんだ。それ、ほんとうに?」

「ほんとう。この傷も、アドルフにやられた」


 俺は前をはだけて傷を見せる。

 応急処置に加えて、リンネが全力で回復魔法をかけてくれたおかげで、すっかり傷は塞がっている。

 それでもしっかりとあとはのこって、赤くミミズ腫れのようになっていた。


「ええ、あ、まあそうね。傷口をみても、ちょっとわからないわ」


 なぜか真っ赤になりながら、リンネは急におとなしくなった。

 そのまま、近くにあった椅子にこしかける。


「アドルフ、アドルフさんですか?あの、有名な勇者の」

「やっぱり、知ってた?彼は俺の、俺たちの元パーティーリーダーだったんだよ」


 そうなんですね、と言ってから、シャロは下を向いて考えるふうにする。

 しばらくしてから、思い切ったように話し始めた。


「あの店に来てたのは知りませんでした。でも・・・・・・」


 彼女はちらちらと俺の方を見て、そうして続ける。


「わたしが、その、ロッカさんをですね、誘惑しようとした、その参考にした女性がいるんですが」


 リンネが上目でシャロを睨む。今日の彼女はいつにもまして表情豊かだ。


「そのひと、エヴァさんが相手にしていたのが、たしか勇者アドルフさんでした」



「なるほどね」


 とリンネが頭をかかえながら言った。


「あのバカ、それで・・・・・・」


 おさななじみとして、なにか思うところがあったのだろう。


「わたし、まだよくわかっていないんですけど」


 シャロが手を挙げて言った。


「あのひとたち、なにか悪いことをしようとしてたんですか?その、男の人をだます他に、ですけど」

「俺も、聞いた話だよ?オーウェンさんに」


 前置きして、俺は続けた。


「もともと、勇者堕とし、っていって、だますほうを専門にしてたのはその通り。それでそこからどうつながるかはわからないんだけど」


 話に飽きたのか、床に体を横たえて眠そうにしていたタロの耳がぴくり、と動いた。


「王政打破。武力による革命が、彼らの最大目的、なんだって」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 主人公の人の良さを出したいのか知らないけどログでもない人を助けたり仲間にしたりするのは共感出来ない。見てて不愉快になるキャラを作るのか不思議。
[気になる点] リンネのセリフで いいたいことは、わかりました。私は、ね。でも、こういうことはパーティ全員ではからないといけないわよね の、はからないといけないというのは採決をはからないといけないっっ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ