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パート9
あたしの鋭いカンだとこうだ。この男とあたしは入れ替わっており、そしてオトコは高崎にいる。
おそらくマー君が迎えに行って、入れ替わったあたしを演奏会に連れて行っているはずだ。
出番は夕方前、まだ間に合う。そこで何とかもとに入れ替わるのだ。何とかってどうすれば良いのかわからないけれど。
カフェテーブルに車のキーがある。免許はこの間取ったばかりだがある。運転は自信ないけど、iPhoneを見ると、カーナビが入っている。高崎までの道はわかり。
これか、これしかないのか?
放置してあった男のカバンを漁ると、免許証が入っていた。
「よしっ、ダイハツって鍵に書いてあるし、きっと前に停めてある軽のワゴンね!これで行こう!」
あたしはテーブルのサイフとキーを掴んで、駐車場に走った。
「どれだかわからないけど、キーを押して、反応したやつよね」
ピピッ、ガシャ
「こ、これは。」
反応したのは、黄色いスポーツカーだった。
「マニュアル車…」
あたしは再び絶望した。