パート7
今日は演奏会のはずだった。はず、と言うのは、私が行くのを一方的にやめたからだ。
また団員、リーダー連中と喧嘩してしまった。行かないって言ってしまった。だって下手くそなんだもん、彼奴ら。
「うう、いきたくねーってーか行かないけど」
ベッドから出ると、もう10時過ぎだった。あと一時間で開場である。もう間に合わない。行く時間にIKEAの青いコロコロ目覚まし、止めた記憶がある。
とりあえずトコトコ歩いて、タバコタバコ
「カチッ、フー」
って、えっ?タバコ?あたしなにやって…。
「なっ」
紺のスゥエット、UNIQLOのベスト、そしてそして…。
あたしは洗面所に走った。つーか狭っ、この家どこ?
男である。しかもオッさん。50近いだろうか。若作りの顔立ちだが、ひどいシミがあって、髪の毛は時折白い。
ポケットに携帯が入っている。憧れのiPhoneだった。しかも最新型の8である。黒いジャケットに黒。厨二病か。
メッセージが入った。
キムキムとかいつ奴からだ
「春アニメ、なに見る?」
しるか、そんなの。ああ、でもあれは見るかも。
「ユーフォ、見るかも」
すぐ返事が来た。
「またやるのあれ?」
「あれ?終わったっけ?」
つーか、iPhone、使いづらっ、なんで「戻る」がないのだ。どうやって打ち直すのだ。
「昨日はなんだか怒ってたな、確かにひどい案件だけど、せっかく一緒の部署になったんだし、楽しくやろうぜ」
このキムキムとか言う奴は同僚であろうか、休日の朝からメッセージ入れるなんて、マメなやつだ。
とりあえず、タバコタバコって何本吸うんだよ!この男!