パート5
マー君マー君だれじゃらほい。
「うわっちっさ、子分か?」
「さちの先輩、思ったこと口に出さないでくださいよ」
「いや、よく来たな、舎弟」
「舎弟でも、子分でもありません、テューバ歴は僕の方が上なんですからね!」
よく見ると大きい楽器を抱えている。と言うか、楽器の方が大きい。
「うわこいつもテューバとか?」
「だから思ったこと声に出さないでくださいよ」
どうやらこの男の娘www、とは幼馴染のようだ。家が近所で年下。さんざん沙知のにいじめられたのだろう、いじられキャラである。
と勝手に決めた。
「さちのさん、今日はすっぴんなんですね」
「お前も思ったこと口に出しちゃいかん」
「何ですかwwwそのお父さんみたいな口調、さっきから、ほら、早くいきますよ。音合わせするんでしょ、いつもこうなんだから」
いかん、何かこのチンチクリンにイニシアチブを握られている気がする。ダメなおねぇさん先輩。身の回りの世話をするかわいい後輩。みたいな。
「いや、仕切るのはこの私、あんたはその子分」
「全くいつもこうなんだから…」
二階からテューバとカバンを取ってくる。重っ。何これ腕ちぎれる。駅まで歩きとか無理では?
「ほらほらカバン、ずり落ちてます。なんで学校のカバン、いつも手提げなんですか。テューバ持てないじゃないですか」
「普通の女子高生らしくしたいのよ」
「あなたには無理です、だってテューバですよ?」
その通りである。母親に頼んで、リュックを持って来てもらった。